04 迷宮期限
迷宮期限
とりあえず、二階にもモンスターポイントを設置してみる。
やり直しを前提に20箇所設置を試みる。
どうせなら目一杯設置して試したいからだ。
残りポイントが19Pに変わった。
とてもじゃないが3階の設置は無理だ。
どうせ、やり直すことが前提。
苦労して白紙ではたまらない。
三階の設置よりこの迷宮で良いのかどうかだ。
『これで、迷路としてやっていけるのか?』
その点に不安があった。
すると、メッセージが浮かぶ。
「シミュレートを実行しますか。使用金額今回だけ0G。
以降一回につき1000G使用、Y/N」
どうやら、出来具合を確認できそうな気配。
それも、最初の一回だけはサービスの雰囲気だ。
さすがに、そこまで不親切でないことに感謝した。
一回の試しが1000Gだ。
初期費用が10000Gしか無い状態で1000Gは大きい。
簡単に出来る物ではない。
しかし、試してみないと判らない事が多い。
苦労して?(楽しんで?)作った迷路だ。
できばえを試したいのは事実。
ここは、無駄を覚悟でためすべきだろう。
三階を作る手間を考えると早く試したかった。
作った上に『無駄でした』では精神的に疲れる。
結果を早く知りたい欲求に無駄を恐れる不安が重なる。
そのため、工程を急いだのは事実だ。
質問に対して『Y』をイメージする。
今までは『N』をイメージしたわけではない。
別のことを考えただけだ。
初めて、『Y』を強くイメージした。
「本当に試してよいですかY/N」
確認が出る。
苦笑いを浮かべて、もう一度『Y』をイメージする。
その返事に対して、改めて質問が来た。
「実行しますか?Y/N ポイントは残っていますよ」
親切なのかしつこいのか良く判らない。
それが『親切だった』と後で気付く。
けれども、この時は『しつこい』と感じてしまったのは事実だ。
少し怒り気味に『Y』をイメージする。
別にこの人工知能がこの世界に連れ込んだわけではない。
なのに、この時は理不尽に連れ込まれたことに怒りを感じていた。
その怒りに対して、なかなか要求が通らないことで苛立った。
入り口に六人の冒険者が入ってきた。
六人と判ったのは点が表示されたからだ。
『近くに寄ってみよう』
そう考えると、スムーズに移動。
そして、人型の五倍くらいの位置で俯瞰する。
キャラクター視点を維持したい。
前列中央の男がリーダーに見えた。
そこで、その男の斜め後ろからの視点を思い浮かべる。
まるで、瞬間移動したように視点が切り替った。
改めて、パーティー構成を見る。
全員人間の姿をしていた。
さすがに顔ははっきり作られていない。
前列の三人は剣を構えている。
中央の男がリーダーに感じたのは入り口で三箇所に分かれる分岐。
そこで、指差して方向を決めたからだ。
ここで、迷路の大きさに気付く。
人の背丈を開けて三人が横並びだ。
感覚的には2メートル。
そして、両サイドにもそれだけ空いている。
だから、8メートル?
一マスの大きさがようやく具体的にわかる。
それなら、迷宮の大きさは一辺が400メートル?
予想より遥かに大きな迷宮にあきれるばかりだ。
後列はスペルキャラクターに感じた。
それも、女性だ。
『この世界の理なのかな?』
そう考えたときだ。
「男性は、魔法を使えません。でも例外はあります。賢者といわれる職種です
50階以上の迷宮でマスターを倒した時です。
そのパーティーは全員が賢者の称号を得ます」
その返事に首をかしげる。
『迷宮マスターを倒す・・・どういうこと?』
その意味を考えるといやな予感がする。
『マスターというのは・・・』
考えたくないけど、無意識に考えていたらしい。
「あなたのことです。五十階以上で最深部に進入されてすべてのモンスターポ
イントを全損すると迷宮はクリアーされます」
倒され方は判ったけど・・・
『倒されたマスターはどうなる?』
祈るような気持ちで声をかける。
「禁則事項です」
某小説の女性キャラのような回答。
どうやら、返事をしてはいけない内容だ。
『倒されない様に保護は何かある?』
浅い階のうちに倒されてはたまらないからだ。
祈るような気持ちで質問してみる。
「地下五十階までは保護が掛かります。しかし、そこまでに破産した時は倒さ
れたと同じ扱いです。そして、迷宮を開始して10年以内に51階を作らな
ければ破産と同様です」
その書き込みに唖然とする孝之。
100ポイントで51階?
それは、絶対に不可能だ。
けれども、今はシミュレーションの途中。
頭を切り替えてキャラクターを見る。
後列の真ん中はとがった耳の女性だ。
白いローブを着ている。
おそらく、回復担当と思われた。
その両サイドは黒いローブの魔法使いだった。
少し進行して隊列が変わる。
前列が二人になって、一人が一番後ろに回った。
長い通路で、背後から襲われることを警戒している。
改めて、通路の長さにあきれる。
自分で作ったのに・・・
待機時間、ひたすら待機時間・・・
広い迷宮は判った!
広すぎて、モンスターと接触しない。
変化のない待ち時間の連続だ。
『早く接触しろ!』
ついに、焦れてそう怒鳴りたくなる。
「時間を早めます」
そんな返事の後、キャラクターの進行が走るようになる。
走っているのに、歩くような格好。
時間を早回しに見てる印象だ。
その格好は、少し笑えた。




