03 地下二階
地下二階
迷宮なら当然下に続く。
『地下二階はどうなるのか?』
そう考えた時、迷路上に赤い点が浮かぶ。
階段の位置かな?
そう思いながら、奥まった位置にポイントイメージする。
一番長い通路の奥だ。
どうせなら、迷宮を楽しんでもらいたい。
そんな想いがあったからだ。
ポイントを決めて意識する。
すると、階段が出来た。
迷路のポイントが1P減って74Pになる。
階段も分岐として数えるようだ。
意識を二階に移したところで一番上の数字が01から02に変わる。
一番上の数字が階数を意味している事が判った。
それが確認できたところで、意識を迷路に戻す。
階段の下に例によって真っ直ぐな道が突き当たりまで道がある。
道をクネクネと曲げて迷路の広さを探った。
この辺の要領は一階で掴んでいる。
判ったことは一階と同じ広さだ。
位置関係もまったく一緒で、対応していた。
一階と同様に迷路を展開させる。
ただ今回は一階に比較して余裕を持たせた。
分岐の間をすぐに埋めずに木の根のように広げていく。
試行錯誤でメイン通路を考える。
そこから枝分かれをするようにだ。
そして、ほぼ大きなレイアウトを完成させる。
『これで、完成!』
と出来合いに満足した迷路だ。
そこで気付いた。
多少空間を広げて展開させておいた場所だ。
すると、残った部分は勝手に迷路が出来上がる。
二マスまではふさがるのは承知していた。
だから、一階ではその点を考慮して目一杯通路を配置した。
けれども、二階はめんどくさくなった。
そのため、隆之は大雑把なレイアウトを決めただけだ。
残った空間は空けて置くつもりでいた。
たしかに、残った空間はカウントを消費しないレベルで埋めてくれた。
『まあ、空いてもしょうがない』
そう思っていたのは事実。
ところが、細かい枝が伸びきって静かになる。
そこから、さらに迷路が動いた。
残った足りない分は通路が広がって通路空間となる。
だから、期せずしてホールのような物があちこちに出来上がった。
かなり、便利な機能だ。
一階はそれを知らなくて25Pもポイントをつかった。
そして、細かい指示を出して空間を埋める作業をした。
その点にずいぶん気を使って配置だ。
それを、思うとかなり楽に出来た。
おまけに節約になった。
二階では15Pで、複雑な迷路を呈している。
これで残り59Pだ。
しかし、迷路だけでは面白くない。
迷路ならモンスターが当たり前だ。
『モンスターをどのように置くのかな?』
そう考えた時、目の前の三段目の文字が浮かぶ。
20Pだ。
『この数字が何を意味するのか?』
とりあえず、一階に配置しようと考えた。
すると、一番上の数字が02から01に変わる。
やはり、階数表示だ。
これで、謎の一部は判ってきた。
三段目の20Pの方は変化が無い。
『ひょっとすると設置数かな』
そう考えて、一個置いてみる。
数字が20Pから19Pに変わった。
全部で20個では少なすぎる。
『それでは、二階はどうなるのかな?』
そう思って二階をイメージした。
すると、一番上が02に変わる。
そして、19Pが20Pに変わった。
これで、モンスター設置ポイントは各階20個とわかった。
そして、三段目の数字の意味もわかる。
もう一度一階に戻ってモンスター設置を20個全部を設置する。
出来るだけ、迷路の奥まったところだ。
こうして、考えると25ポイントも使って迷路を作った意味が無い。
もっと節約するべきだ。
そう思って数字を見て初めて気付いた。
最初100Pだった数字。
59Pのはずが39Pに変わっていた。
設置にばかり気を回していたので気付かなかった。
モンスターポイントも『分岐』として数えられるらしい。
これは、全部設置するかどうか思案物だ。
三階まではやり直しが出来る。
でも、こんなペースでは100階なんて絶対に無理。
何か仕掛けがあるはずだ。
ここまで、判った事をまとめると。
数字の並びは
階数
設置分岐数(全迷路)ポイント
各階におけるモンスター設置数
資産?
分岐はモンスター設置でも使用する。
分岐以降の長さに制限はない。
モンスター設置の限界数は各階20だ。
ここまではすんなり判った。
最後の四段目は不明だ。
四段目ははっきりしないけど資産なのかな。
ここまでは、なんら変化しなかった。
迷宮製作に関しては費用を使わないらしい。
そして、1億Gはおそらく、ここの数字を指している。
多分、運営を開始すると変化する数字に思えた。
こうして考えると、設置の分岐の数100は結構厳しい。
『もっと増やしたい』
そう考えた時だ。
「分岐数をいくつ購入しますか。一個100G」
突然、返事が来た。
最初のスクロールと一緒だ。
今回は、少し冷静に見ることが出来た。
空間に浮かぶ『ホワイトボード?』という印象。
外周は巻物の様子を見せている。
けれども、歪の無い平面はホワイトボードそのものだ。
単に、外周に巻物の飾りが付いているだけ。
書かれている文字は最初の不親切な目的と同じだ。
判りやすい、教科書体の文字。
その表示で四段目が『資産』と判る。
そして、分岐の数は購入できる事も。
『それなら、売ることも可能かな?』
そう考えた。
「分岐数をいくつ売りますか。一個10G」
買う時の十分の一にあきれた。
それなら、持っていたほうが得だ。
でも余分に持っていても無駄な可能性もある。
いつでも、買える事を考えるなら必要な時だけ買うべきだ。
『余分に持っていてメリットがあるのかどうかだけど・・・』
そう考えた時だ。
「開始後は、運営締め日以外購入できません」
頭の中を読んだように返事が来た。
『頭の中を読んでいるのかな・・・』
そう思ってしまう。
すると、その考えにしっかり返事が来た。
「運営に関することだけです。といっても信じないでしょうね。あの娘可愛い
いなとか、・・・筒抜けです。でも私は人工知能なので、人間の思考から、
運営に関する返事をするだけです」
『その返事に少しだけ安心できるのか?』
複雑なところだ。
『あんなことや、こんなことを考えたらどうなるのかな?』
すると
「・・・・・・」
おそらく、沈黙を意味する『点』と思う。
目一杯恥ずかしさを感じる羽目になってしまう。
ただ、相手は人間では無さそうだった。
そもそも、迷路の概要は感じる。
それなのに自分の身体は意識していない。
いや、出来ないのか。
ここが、どこかの『イメージ空間』とわかった。
『お前は誰?』
『ここはどこ?』
『他に人はいるのか?』
立て続けにいろいろな質問を思い浮かべる。
しかし、何も返事はなかった。
こんどは、沈黙を意味する点も現れない。
だいたい、『運営締め日ってなんだ?』
そう考えた。
「目的の世界では一日は24時間、30日で一月、12ヶ月で一年です。
短期単位では六日で一週間を指し、五週間で一月になります。そして、月末
が締め日です」
この書き込みで、これから攻略する世界の様相が判った。
『しかし、月単位?』
かなり長い時間だ。
『俺の身体はどうなるのかな?』
不安になるところだった。
「この迷宮世界での時間は実時間とは関係ありません。何世紀経っても現実で
は千分の一秒も過ぎていませんから」
どうやら、本当に別次元にきたような気配だ。
そのことに少しだけ安心する。
『ところで、モンスターポイントは売買できるのかな?』
そう考えた時だ。
「できません」
すぐに返事が返ってきた。
律儀な人工頭脳だ。
隆之は余分な事を考えずに迷路作成に戻った。




