第92話 宿が決定
第92話です。
楽しんでいってください!
「師匠、お待たせ!」
ヴェーヴが駆け寄ったとき、リリスはすでに検問の列に並んでいた。
「遅かったわね。何かあったの?」
「ちょっとぶつかっちゃった!」
2人が他愛もない話を続けていると、いつの間にか門のすぐ前にまで列が進んでいた。
正面には大きな門と、小さな門が見える。
前の人が門の中に通されると、顔に傷のある衛兵が2人の前に立った。
「荷物を改めさせてもらう。ここに出してくれ。」
ヴェーヴがリリスを見上げると、彼女はわずかに頷いてカバンを肩からおろした。
ヴェーヴもそれに倣い、示された台の上に置く。
「失礼する。」
衛兵は2人のカバンを開けて中身を確認する。
1分程度で確認は終了した。
「ご協力、感謝する。・・・身分証明書を提示してくれ。」
もう1人、衛兵がやってきてヴェーヴの背にリュックを背負わせてくれる。
その間に、リリスはカバンの奥底から1枚の紙を取り出していた。
「これでお願い。」
そう言って差し出された紙には青い印鑑が押されている。
衛兵はその紙をじっと見つめ、顔を上げた。
「失礼いたしました。」
そう言って礼をしながら「どうぞ、お通りください。」と門を開いた。
「案内の者をお付けいたしますか?」
「大丈夫よ。」
リリスは申し出を断り、カバンを持つとヴェーヴを振り向いた。
「行きましょうか。」
「うん!」
ヴェーヴはリリスに駆け寄り、彼女に並ぶ。
こうして、2人は無事に町の中に入ることができたのだった。
「これ、おいしい!」
町に入ってから、2人は食事ができる店へと直行した。
ここに立ち寄ることは決まっていたから、何を食べるかはすでに決まっている。
「よかったわ。久しぶりの甘いものね。」
2人が入ったのはカフェだった。
カフェというには大きい建物には女性客が絶え間なく訪れている。
品はあるが、のんびりとした雰囲気の明るい店だ。
ヴェーヴは果物がたっぷり乗ったパフェをほおばり、満面の笑みを浮かべる。
その正面でも、リリスがプリンを口に運び、頬をほころばせていた。
ちなみに、これで2人とも3皿目である。
「師匠、この後はどうするの?」
「そうね、今日はここの宿に泊まりましょうか。」
「やったぁ!」
ヴェーヴは手を動かしながら歓声を上げる。
「この後、宿を取りに行きましょう。」
そう言いながら、リリスはヴェーヴの口元についていたクリームを拭う。
2人は心行くまで甘いものを堪能し、店を後にした。
「宿って、どこにあるの?」
ヴェーヴはリリスを見上げて、そう尋ねる。
「宿がまとまっている地区があるの。とりあえず、そこに行ってみましょう。」
そう言ってリリスが足を向けたのは、たくさんの人が行き交う通り。
そこには多種多様な趣の宿が立ち並んでいた。
「わぁ!いっぱいあるね。」
「どこに泊まろうかしらね?・・・ちょっと、見て回りましょうか。」
リリスが微笑みを浮かべ、通りの建物を指さす。
そこには10件程度の宿があった。
ヴェーヴはその瞳を輝かせてリリスを見上げると、大きく頷く。
そして、彼女の手を取って足早に通りを歩き始めた。
初めに見た宿はどこにでもある、1階が酒場で2回が宿といったものだった。
よし、次!
ヴェーヴはそこを即座に候補から消し去り、ずんずんと歩いて行く。
2件目は異様に大きい、貴族の邸宅のような宿。
3件目は1階が食堂、2回が宿というこれまたどこにでもある宿。
4件目は――
5件目は――
2人は結局、すべての宿を見て回り、1つの宿に決める。
リリスはその宿――『白露庵』に足を踏み入れた。
「いらっしゃいませ。」
2人の横に立つのはエルフの男性。
彼は見たことのない服を身にまとっていた。
「2人で泊まりたいのだけど、部屋は空いているかしら?」
「はい。どのようなお部屋をご所望でしょうか?」
男性は紙を紐で綴じたものをめくりながらそう尋ねる。
「お任せするわ。初めてだからね。」
「承りました。・・・それでは、ご案内させていただきます。」
彼は鍵を手に取り、立ち上がった。
しばらくはこんな感じで書いて行こうと思ってます。
これからものんびり投稿していきます!
ちょこちょこ覗きに来てください!




