第91話 町に到着
第91話です。
楽しんでいってください!
王都を出てから、2日が経った。
ヴェーヴとリリスは目的地に向かって道なりに進んでいる。
なぜ魔法で移動しないのか?
それは――
「ごめんね、ヴェーヴ。私が言ったことない所だから・・・。」
「大丈夫!師匠とたっくさん話せるし!」
魔法で行くには、そこに行ったことがなければならない。
場所のイメージを脳裏に浮かべ、転移するためだ。
ちなみに、飛行魔法は魔力の消費が激しいため徒歩となった。
「ねぇねぇ、師匠。遺跡があるとこってどんなとこなの?」
のんびりと整備された道の上を歩きながらヴェーヴがリリスを見上げる。
「そうね・・・。南の火山地帯にあるの。初心者向けの迷宮として知られているわ。」
「迷宮?」
ヴェーヴは聞きなれない単語に首を傾げる。
「迷宮には、様々な種類の魔物がいるの。祖先の遺産という一説が有名ね。」
「マモノ・・・、魔物って、あの魔物!?」
「ええ、そうよ。」
ヴェーヴは頬を膨らませ、リリスを恨めし気に見る。
「先に言ってよ!」
リリスは目を細め、微笑んだ。
「ふふっ、ごめんなさいね。でも、今のヴェーヴなら余裕よ!」
「そう言う問題じゃないー!」
ヴェーヴはそう言いながらリリスの背中をぽかぽかと叩く。
リリスは肩を震わせながらそれを受け入れていたのだった。
太陽が真上に昇ったころ。
2人は大きな木の下に腰掛けていた。
木陰は少し涼しく、春らしい風がヴェーヴの金の髪を揺らした。
手にはシャシャからもらったカバンに詰められていた携帯食が握られている。
ヴェーヴはカチコチになったパンのようなものを口に入れ、力強くかみしめる。
すると、それはバキリ、と音を立てて割れた。
「硬い・・・。」
何度食べても慣れぬその硬さにヴェーヴは目を細めた。
リリスは苦笑しながら口を開く。
「もう少しで宿屋町につくから、そこで何か買いましょうか。」
「うん!」
ヴェーヴはごくりとパンを飲み込むと、目を輝かせて大きく頷いた。
「わぁ!」
休憩から約3時間後。
2人は石積みの壁で囲まれた町の門の前に立っていた。
それを見て、ヴェーヴは思わず声を上げる。
「師匠、あれ、何してるの?」
門の前にはたくさんの人が列をなしている。
馬に乗った者、荷車に乗っている者、ヴェーヴたちと同じく旅人のような服装をした者など、様々だった。
「検問ね。いろんな人が利用する所だから、問題を起こさないか、とかいろんなことを確認しているの。」
リリスは「並びましょうか。」と言いながら歩き始めた。
ヴェーヴは並んでいる人々をキョロキョロとみながらリリスについて行った。
その時、ドンッとヴェーヴは何かにぶつかり、尻もちをついた。
「ごめんねー。立てる?」
見上げると、そこには目深にフードを被った人物がヴェーヴに向かって手を差し伸べていた。
「大丈夫です。」
その手を取り、立ち上がる。
「怪我はしてないみたいだねー。よかったー。」
その人物は妙に間延びした声でそう言い、僅かに見える口元に笑みを浮かべる。
そして、踵を返して手を振り、立ち去って行った。
「それじゃーねー。」
これからものんびり投稿していきます!
ちょこちょこ覗きに来てください!




