第90話 旅立ち
第90話です。
楽しんでいってください!
シャシャが帰ってきたのは、ちょうど昼ご飯を食べ終わった時だった。
ラヴィは朝食後、女王陛下に報告をしに行っている。
「ただいまー!」
朝と同じように窓から部屋の中に入ってくる。
カラスから人へと姿を変えた時、その手に持っていたのは2つのカバンだった。
「はい、これがリリスで・・・こっちがヴェーヴね。」
渡されたかばんは見た目に反してずっしりと重い。
「シャシャさん、この中って何が入ってるの?」
ヴェーヴは自分にピッタリなサイズのリュックを机に置きながら尋ねる。
「えっとね、保存食2週間分、布、薬品、小さなナイフ、魔石が25個。」
「すごい量ね。本当に、こんなにいいの?それに、これマジックバックでしょう?大丈夫なの?」
カバンを受け取ってすぐに中身を確認していたリリスはシャシャを振り向く。
「もっちろん!」
シャシャが自信満々に頷く。
それを不安そうにリリスが見つめる。
その視線を受け、シャシャはそっと視線をそらしてヴェーヴに小さな箱のようなものを渡した。
「これ、なに?」
「これはね、食べたら元気が出るやつ!」
シャシャは見事などや顔を披露しながら胸を張る。
「お母様の特製だから、すっごい元気になるよ。疲れたときに食べてね。」
「シャシャさん、ありがとう!」
ヴェーヴはお礼を言い、それをリュックのポケットにしまおうとした。
「それはすぐに取り出せるところに入れておいた方がいいわよ。」
リリスがヴェーヴの手から小袋を抜き取り、ベルトに取り付けた。
そして、立ち上がるといつも通りの微笑みを浮かべる。
「それじゃあ、いきましょうか。」
「うん!」
ヴェーヴはどこか安心したように笑う。
その時、バンッと音を立ててダイニングルームの扉が開いた。
そこに立っていたのは、肩で息をしているラヴィ。
彼女はずんずんとリリスとヴェーヴに近づいた。
「ねぇ、そんな動きにくくて防御力の低い装備で行くつもり?遺跡ってかなり強い魔物が出るんだけど?」
「え、そうなの?」
ヴェーヴは思わず声を上げる。
遺跡に行って探し物をするだけだと思っていたのだ。
当たり前である。
対して、リリスは「あっ!」と声を上げていた。
ラヴィはその様子を見て、あきれたような視線を向ける。
「・・・あんたはいいでしょうけど、ヴェーヴはどうすんのよ?」
「・・・やっぱり、まずいかしら?」
「せめて、最低限揃えなさいよ。」
2人はヴェーヴを見つめながら言葉を交わすと、困ったように眉を寄せる。
「私は、一応戦闘服があるからそれでいいとして・・・。」
「ヴェーヴの分がないか。」
そんな時、ヴェーヴのすぐ横から声が響いた。
「大丈夫!戦闘服はそのかばんの中にあるから!」
シャシャがリュックを開き、中から服を取り出す。
それは、白と茶色を基調とした服だった。
戦闘服というには少し軽装過ぎる印象。
「はい、着てきて!」
その服を渡され、部屋を追い出される。
ちょうど待機していたクレールにヴェーヴは連れていかれたのだった。
ヴェーヴが着替え終えて、門の前に向かった。
到着すると、リリスも普段とは装いが変わっていた。
いつも通りのブラウスとロングスカートの上に白いローブを羽織っていた。
その手には、別の黒いローブがあった。
「あら、おかえり、ヴェーヴ。」
「おかえり。」
「やっぱり、似合ってる。かわいいー!」
ヴェーヴはレギンスとショートパンツ、白のショートジャケットという動きやすさを重視した服装だった。
どう見ても軽装で、ヴェーヴは少し不安そうにシャシャを見上げる。
「ねぇ、シャシャさん、これって大丈夫なの?」
「大丈夫。私がお忍びの時に来てたやつだし、防御力は保証するよ!」
ニコニコしながらとんでもないことを言うシャシャをスルーして、ヴェーヴとリリスはカバンを持った。
「それじゃ、いってきます!」
「「行ってらっしゃい。」」
ヴェーヴはリリスと並び、1歩足を踏み出した。
後ろを振り返ると、シャシャは大きく手を振り、ラヴィは腕を組んだまま2人を見送っている。
それにこたえるように、ヴェーヴも大きく手を振り返した。
これからものんびり投稿していきます!
ちょこちょこ覗きに来てください!




