第122話 蒼涙の遺跡
第122話です。
楽しんでいってください!
カツリ、と透き通った階段を靴が鳴らす。
「わぁ、きれー!」
ヴェーヴは上を見上げ、感嘆の息を吐く。
頭上には色とりどりの魚が悠々と泳ぎ、日の光が差し込んできている。
遺跡の中は少しひんやりとしていて、汗ばんだ額を冷ましていく。
「ねぇ、アグニ。この先って何があるの?」
「封印の地だ。」
「何が封印されてるの?」
首を傾げるヴェーヴの問いには答えず、アグニ=ゼルは歩く速さをわずかに上げた。
ヴェーヴはそれについて行きながら、頬を膨らませてリリスを見上げた。
橙色の瞳には、不満が浮かんでいる。
「教えてくれてもいいのにー!」
「話せない事情があるのでしょう。」
リリスはいつも通りの微笑みでうなずく。
「むー。」
ヴェーヴは頬を膨らませながら足を動かす。
階段はどこまでも続いている。
壁に手を触れると、少し冷たい。
しかし、水で濡れるわけではなかった。
「なに、これ?」
代わりに、ふわりと涼やかな何かが手に触れる。
「精霊力ね。ヴぇーヴのものとよく似ているわ。」
「へ?でも、なんか違うよ?」
ヴェーヴはもう一度壁に手を触れる。
冷たく澄んだ力が指先をさらさらと流れていく。
嫌な感じはしない。
むしろ、どこか懐かしかった。
「僕のは、もっとあったかい気がする・・・。」
ヴェーヴが首を傾げると、不意に声が響いた。
『それはねぇ、契約が関係してるのよぉ。』
耳元でささやかれたような、甘い声。
それと同時に、壁や天井から水滴が浮かび上がり、空中を舞う。
それらは一つ、また一つと透明な蝶に姿を変える。
「きれー・・・。」
ヴェーヴはそっと手を伸ばす。
蝶は指先にとまり、ふるりと揺れて消えた。
『あと、少し・・・。』
少女のような弾んだ声が聞こえる。
次の瞬間――ふわり、と視界が白く染まる。
まぶしいわけではない。
どこまでも優しい、包み込むような光だった。
『やっと・・・来てくれたわぁ。』
前を歩いていたアグニ=ゼルが2人を振り返る。
「到着だ。」
白い光がゆっくりと消えていく。
『早く、いらっしゃいな。』
あたりは透き通った、青と白の神殿。
柱も床も、天井も。
水晶を削り出したように輝いている。
空気が澄み、水の音だけが響く。
「ここが、封印の地――ラクリマ=ディエルの神殿だ。」
これからものんびり投稿していきます!
ちょこちょこ覗きに来てください!




