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第119話 初めての料理

第119話です。

楽しんでいってください!

 ヴェーヴが部屋から食堂へ降りると、ふわりと香ばしい香りが鼻をくすぐった。


「わぁ……!」


本日何度目かの声が漏れる。

大きな木のテーブルには、色鮮やかな料理がずらりと並んでいた。

黄金色のお米の上には、大きなエビや貝、イカがごろごろと乗っている。

その隣には、薄く切られたタコと色鮮やかな野菜を和えた料理。

こんがり焼き色のついた丸いパン。

そして、まだ食後ではないにもかかわらず、つやつやと輝くレモンタルトまで並べられていた。


「すごい!」


ヴェーヴは目を輝かせながらテーブルへ駆け寄る。


「今日は海鮮料理ー。」


「いっぱい、いっぱい!」


双子が得意げに胸を張る。


「ほらほら、座って座って!」


「冷めちゃうよー。」


リュシエンヌに背中を押され、ヴェーヴは慌てて椅子へ腰掛けた。

その隣にはリリスが静かに座る。


「いただきます。」


「いただきまーす!」


4人の声が重なった。


「これ、何?」


ヴェーヴは目の前の大皿を指差す。


「パエリア!」


「セレストラではよく食べるんだー。」


2人がニコニコとして答える。


「魚介のおだしで炊いたご飯だよー。」


「ご飯なの!?」


ヴェーヴは驚きながらスプーンでひと口すくう。

ぱくり。


「・・・!」


魚介のうま味が口いっぱいに広がる。


ぷりぷりのエビ。

しっかりした歯ごたえのイカ。

貝の濃厚な風味。


初めて食べる味なのに、どこか優しくて温かい。


「おいしいー!」


思わず声を上げると、双子は顔を見合わせて笑った。


「でしょでしょ!」


「いっぱい食べてねー。」


「うん!」


今度は隣の小皿へ手を伸ばす。


「これは?」


「タコのマリネ。」


「お酢と香草で味付けしてるんだ!」


恐る恐る口へ運ぶ。


「ん!」


さっぱりとしていて、噛むと弾力がある。

もぐもぐとしていると、口の中に甘みが広がった。


「これも好き!」


「やった、やった!」


リュシエンヌが嬉しそうに両手を上げた。


「パンも食べてみてー。」


エリーヌが焼きたてのフォカッチャを差し出す。


「ふわふわ!」


ちぎると、湯気と一緒に小麦の柔らかい香りが立ち上った。


「パエリアと一緒でもおいしいよー。」


「ほんとだ!」


ヴェーヴは夢中になって料理を頬張る。

その様子を見ていたリリスは、穏やかに目を細めた。


「ふふっ。」


「リリス、笑ったー。」


「珍しい!」


「そんなに珍しいかしら。」


「珍しいよー。」


「前はおいしいご飯食べても、顔、変わらなかったもん!」


双子の言葉に、リリスは少しだけ目を丸くした。


「・・・そうだったかもしれないわね。」


静かな声だった。

しかし、その表情はどこか柔らかい。

ヴェーヴは首を傾げながらも、焼きたてのフォカッチャを頬張る。


「師匠ももっと食べなよ!」


「ええ。」


そう答えたリリスは自然な、心からの笑みを浮かべて料理へ手を伸ばした。

その光景を見つめる双子もまた、そっと笑みを交わす。

今は、大切な弟子と笑いながら食卓を囲んでいる。

それが、双子にとって不思議なことで、この上なくうれしいことだった。

窓の外では、雨が静かに石畳を濡らしていた。

これからものんびり投稿していきます!

ちょこちょこ覗きに来てください!

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