第120話 再開の理由
第120話です。
楽しんでいってください!
――翌朝。
「荷物の確認は終わった?」
「うん!ばっちり!」
ヴェーヴはすっかり背負いなれたリュックを持ち上げる。
その時、コンコンコンと扉をノックする音が響いた。
「2人とも、朝ごはんが、ってぇぇぇぇぇぇぇ!?」
朝食の準備ができたと呼びに来たであろうリュシエンヌが絶叫した。
扉付近に立っていたヴェーヴは耳をふさぎ、顔をゆがめている。
リリスはリュシエンヌを不思議そうな顔で見ていた。
「な、」
「「な?」」
「なんで最上位精霊がいるのぉぉぉぉぉぉぉ!?」
タタタッという音が響き、さらに扉が開く。
「どうし――」
エリーヌがリュシエンヌの後ろから顔を出し、無言で椅子に座っている人――精霊を凝視する。
「わー・・・。」
彼女の視線の先、椅子に座っているのは白い白金色の少年。
身にまとっているのは特徴的な赤い衣。
「アグニ、おはよう!」
「ああ。」
彼は短く返事をしてちらりとヴェーヴを見た。
当たり前のように受け入れられている光景を目の当たりにし、双子は固まったままだ。
「え!?」
「えー?」
「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」」
リュシエンヌが思わずといった調子で頭を抱える。
「リリス、知り合いなのー?」
何事もなかったかのように荷物の点検をしていたリリスにエリーヌが尋ねる。
「ええ。」
「ええー・・・。」
「最上位精霊だよ!?」
「と、言うかそれ以上だよー?」
「さっきから、王様、王様って!」
「火の王様ー?」
「そうね。」
さらりと答えたリリスに、双子が目を見開く。
「昨日はいなかったよねー?」
「いなかった、いなかった!」
騒ぎっぱなしの双子を、アグニ=ゼルが横目で見る。
「俺は、『始火の観測者』。王などと名乗った覚えはない。」
「でもでも!」
「精霊たち、ずっとざわざわー。」
双子が互いの顔を見合わせる。
「勝手に騒いでいるだけだ。」
「かって、」
「に・・・?」
双子が一瞬放心し、次の瞬間同時に首を振る。
「とにかくー。」
「朝ごはん、朝ごはん!」
「話はその後―。」
「やったぁ!」
状況があまりよくわかっていないヴェーヴは無邪気に喜び、リリスはわずかに苦笑する。
4人と1柱はダイニングルームへと向かった。
「えっと、これ、きいていいやつ―?」
朝食が始まると同時に、エリーヌが遠慮がちに手を上げる。
今日のメニューはサラダとスクランブルエッグ、スープ、パンだ。
ヴェーヴが早速それらをほおばりながら双子を見て首を傾げた。
「どほひたの?」
「いやー・・・。」
エリーヌがリリスをちらりと見る。
「・・・『静円』。」
リリスは苦笑しつつ、さらりと魔法を展開する。
「今更な気がするのだけど、ね・・・。」
ヴェーヴの隣に座るアグニ=ゼルを見る。
「聞きたいのは、彼のことよね?」
「昨日のと関係あったりする!?」
リュシエンヌが勢いよく尋ねる。
「あるわね。・・・彼は、ヴェーヴと契約している精霊よ。」
「……契約?」
「契約って、契約!?」
「最上位精霊と!?」
「始祖の観測者と!?」
双子はそろって口をぱくぱくさせる。
「そんな契約、聞いたことないよー。」
「教科書にも載ってないよ!」
ヴェーヴはスクランブルエッグとサラダをパンにはさんでほおばる。
「だから、次に会いに行くのも彼と同列の精霊。」
「同列・・・同列!?」
リュシエンヌが目を見開く。
「もしかして、水の精霊―?」
「そう。水の精霊、ラクリマというらしいわ。・・・だから、落ち着きがなかったのでしょうね。」
リリスは苦笑し、頷いた。
「うーん・・・わかった、わかった!私たちは、あんまりできることなさそう!」
「できることなら手伝うー。」
「ありがとう。」
リリスが困ったように微笑むとおいしそうに朝食を食べ進めるヴェーヴを見た。
双子はどこか呆れたようで、でも楽しそうにその様子を見ていた。
朝食後、全員がエントランス部分に立っていた。
「ほんとに、案内しなくて大丈夫ー?」
「心配、心配・・・。」
2人は目の前に立っているヴェーヴを見る。
「大丈夫よ。私たちが行くのは、あなたたちの知っている遺跡とは別だもの。」
「それに、アグニもいるからね!」
リリスとヴェーヴがそう言うと、双子は大きく頷いて笑みを浮かべた。
「「それじゃ、行ってらっしゃい!」」
「いってきます!」
ヴェーヴが大きな声であいさつし、リリスが軽く手を振った。
アグニ=ゼルはその様子を静かに見つめていた。
これからものんびり投稿していきます!
ちょこちょこ覗きに来てください!




