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第118話 守るための時間

第118話です。

楽しんでいってください!

 リリスが双子の正面に座る。

白い涼し気なソファには虹色の刺繍が施されている。


「ヴェーヴは!?」


「部屋で寝ているわ。疲れてしまったのかもしれないわね。」


リリスはふわりと微笑む。


「リリス、変わったー。」


「変わった、変わった!」


そんなリリスを見て、2人が楽しそうに言う。


「・・・そうかしら?」


「うんうん!」


リュシエンヌが元気よく頷く。


「前はもっと、壊れちゃいそうだったよー?」


「そう、かしらね。」


リリスは曖昧に頷くと、おもむろに口を開いた。


「何か動きがあったの?」


いつもと同じ口調。

しかし、双子の表情が真剣みを帯びる。


「動きはあったよ。」


「遺跡があるところに境界融和派の人員が増えてる。」


リリスが続きを促す。


「どれくらいかしら?」


「近くの遺跡に、それぞれ10人から20人。」


「前は2、3人。」


2人は困ったように顔を見合わせた。


「遺跡に変化はないのに・・・。」


「近くの街にも、いっぱい増えてる。」


エリーヌがどこかから1枚の地図を取り出した。

そこにはいくつかの赤い印。


「宿にも。」


「港にも。」


「広場にも。」


「監視かしら?」


リリスがつぶやくと、双子が同時に首を傾げる。


「わかんない。」


「新しい顔は?」


リリスの問いに、リュシエンヌが耳を澄ませる仕草をした。


「旅人が何人かみたい。」


どうように耳を澄ましていたエリーヌも口を開く。


「派閥の人とは別。・・・1人を除いて。」


「虹色の裾。」


「顔は見えなかったって。」


「・・・そう。」


リリスが眉間にしわを寄せる。


「知ってる人?」


リュシエンヌが首を傾げる。

リリスは静かに首を振りながら答えた。


「違うわ。」


そう言いながら、手を静かに握りしめる。


この国で虹は神聖な物。

それを身に着ける者は少なくない。

しかし――

裾だけが、虹色・・・。


リリスの脳内にはかつて交渉を持ち掛けてきた人物の姿があった。


彼なら、まずい、かしらね・・・。


精霊たちがそれだけをわざわざ伝える理由は1つだ。


「気を付けましょう。」


小さく呟いた。


「遺跡の方は他に何かあったかしら?」


「派閥の人員は、何かを探してるみたい。」


「精霊は、何か言ってるかしら?」


「ううん。」


「精霊たちも、何にもわかんないみたい。」


「遺跡の中も、いつも通り。」


「街の中も、いつも通り。」


「そうなのね・・・。」


リリスは考え込むように腕を組み、視線を下げる。


「ただね、」


リュシエンヌがおもむろに口を開いた。


「火の精霊も、風の精霊も、待ってるって言ってるんだ。」


「穏やかな水の精霊なんて、朝からずっとそわそわしてる。」


「誰かが来るのを待ってるって。」


双子は顔を見合わせる。


「私たちは、ヴェーヴが関係あるんじゃないかって思ってる。」


意を決したようにエリーヌがまっすぐにリリスを見つめる。


「あの子は、何?」


「どうして、そう思ったの?」


リリスが静かに問い返す。

双子はまっすぐにリリスを見つめた。


「3年ぶりに、リリスが来た。」


「その隣に、精霊の気配がする女の子。」


「上位の、きれいな精霊の気配。」


「・・・。」


リリスが沈黙し、困ったように微笑む。

双子は再び顔を見合わせてニコリ、と笑みを浮かべる。


「もうすぐご飯ー。」


「ご飯、ご飯!」


張りつめた空気を破るような元気な声。

2人は勢いをつけて立ち上がった。


「今日は海鮮料理ー。」


「お魚、お魚!」


「ヴェーヴ、呼んできてねー。」


タタタッと軽い足音を響かせて部屋を出ていく2人。

彼女らの後姿を、リリスは見つめていた。


「・・・ありがとう。」

これからものんびり投稿していきます!

ちょこちょこ覗きに来てください!

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