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第115話 セレストラへ入国

第115話です。

楽しんでいってください!

 ――翌日。

2人は屋敷のダイニングルームで荷物の最終確認をしていた。


「これでいいかな?」


「ええ、大丈夫よ。」


ヴェーヴはこくりと頷き、カバンを背負う。


「それじゃあ、行ってくるわね。」


リリスは扉のそばで控えていたクレールにそう言った。

彼女はいつも通りの笑みを浮かべてこくりと頷く。


「行ってらっしゃいませ。」


どこかおどけたように、大げさな口調としぐさで見送られた2人はリリスの魔法で転移していった。





 「わぁ!おっきい!」


最近、何度も口にしている気がするそのセリフをこぼす。

リリスが転移したのはセレストラとの国境に位置する関所。

大きく、重厚な石造りの関所は威圧感があった。


「ここは国の境にある砦も兼ねているからね。」


リリスの説明に相槌をうちながらヴェーヴはもう一度関所を見上げた。

おっきい・・・。


少し関所――もとい、砦の見物をしていた2人に兵士が声をかける。


「出国許可証はお持ちですか?」


「ええ。」


リリスがカバンから取り出した2冊の手帳を一読した兵士はピシリと兵礼をする。


「リリス様、ジェルヴェーズ様でお間違えないでしょうか。」


2人が同時に頷くと、「こちらへどうぞ。」と関所の受付のようなところに通された。

兵士が受付にいる別の者に出国許可証を手渡す。


「出国理由をお答えください。」


許可証をじっと見つめていた彼女が不意に顔を上げ、そう問いかける。


「セレストラにいる知人に会いに行くためよ。」


リリスがさらりと口にする。


知人、知人・・・?


ヴェーヴは脳内で首を傾げながらも、首を大きく縦に振った。


「・・・承知いたしました。出国を許可します。」


受付の女性が許可証に判を押し、リリスに手渡す。

リリスはそれを再びカバンにしまう。


「ヴェーヴ、行きましょうか。」


「うん!」


ヴェーヴはリリスの後について、すぐ隣にあった小さな扉を通り抜けた。



 「あれ?おっきい方のもんじゃないんだ。」


ヴェーヴは扉を通ってから首を傾げる。

目の前に広がるのは小さな町。

かなりの数の建物があり、人々が行き交っていた。


「そうよ。あれは飾りみたいなものだから・・・。」


リリスは苦笑しながら答え、言葉を続ける。


「それと、ここはまだセレストラじゃないわよ。その間にある休憩所みたいなところね。」


「へー。すごいね!」


ヴェーヴはきらきらとした目で周囲を見回す。

と、いっても、普通の宿場町などと変わらない。

店があって、宿がある。

観光地などない、何の変哲もない町だ。


「・・・今回は、このままセレストラに入国するわよ。」


期待した目で見上げたヴェーヴの視線を交わしながらリリスは言う。


「えー・・・。」


「あっちの方が、ここより面白いものがいっぱいあるんだから、少し我慢して頂戴。」


「はーい・・・。」


不満を思いっきり顔に出しながら答えるヴェーヴ。

リリスはそんな彼女を連れ、苦笑しながら歩き始めた。





 扉を通ってとにかくまっすぐに行くと、こちらにも似た形の受付があった。


「はーい、入国許可証、出してくださーい!」


2人を出迎えたのは元気な女性。

彼女はニコニコと手を差し出した。

そこにリリスは再び見覚えのある手帳を取り出し、彼女の手に乗せた。


「はーい、お預かりしましたー!」


彼女は内容に目を通し、口を開く。


「お名前はリリスとジェルヴェーズでお間違えないですかー?」


「ええ。」


「はい。」


2人が答えるのを確認し、手帳をリリスに変えす。


「どーぞ!そう言えば、なんでお2人はセレストラにー?」


「知人に会いに行くのよ。」


「へー、どんな人ー?」


「これ、早く通さんか!」


受付の女性が雑談を始めようとしたその時、扉の奥から男性がひょこりと顔を出す。

こちらは女性とは対照的に怒った表情だ。


「はーい、ごめんなさーい。それじゃ、楽しんでねー!」


彼女の元気な声に見送られ、2人は再び扉を潜り抜けたのだった。



 砦を出てからしばらく歩くと、リリスがヴェーヴを振り返る。


「それじゃあ、私が行ったことのあるところまで、一気に跳びましょうか。」


「はーい・・・。」


未だに不満げなヴェーヴに苦笑しつつ、リリスは彼女の手を取る。


「『(ホン)( ダン)( レスパス)』」


その場に光が溢れ、次の瞬間2人の姿が消える。


その様子を見ていた影が、1つ。


「おやおやー。とうとうここまで来た、か。」


木の影から姿を現したのはフードを目深にかぶった人物。

妙に間延びした中性的な声でそう呟き、口元に笑みを浮かべる。

その人物はちらりと虹色がのぞくコートの裾を翻し、どこかへと駆けだした。

これからものんびり投稿していきます!

ちょこちょこ覗きに来てください!

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