第108話 次の行き先
第108話です。
楽しんでいってください!
「そういえば、この後はどうするの・・・?」
ヴェーヴがリリス特製のサンドウィッチをもぐもぐと咀嚼しながらパッと顔を上げる。
「次は、蒼涙の遺跡が妥当だろう。」
「そんな遺跡、きいたことがないわ・・・。」
リリスが困ったように眉を寄せる。
ヴェーヴはアグニ=ゼルを振り返った。
「ねぇ、その遺跡ってどこにあるの?」
「この大陸の最東端にある。海の中にある遺跡だな。」
「海!」
見たことない!
ヴェーヴはパァッと顔を輝かせる。
それとは対照的に、リリスの表情は少し陰っていた。
「それなら、入国許可を申請しなくちゃいけないわね。一度王都に戻りましょうか。」
リリスは水を一口飲み、荷物を片付け始める。
ヴェーヴもあわてて残りを口に詰め込み、それを手伝い始めた。
「『空間跳』。」
辺りが眩い光に包まれる。
ヴェーヴは何度も経験した浮遊感に身を任せ、目を閉じた。
ザワザワと葉が風に吹かれて揺れる音がした。
ヴェーヴが目を開くと同時に、すぐそばから声が聞こえる。
「おかえり、ヴェーヴ!」
わずかにぼやける目をこすりながら上を見上げると、深い青色が目に入った。
「ただいま、シャシャさん!」
にこっと笑みを浮かべ、挨拶を返す。
周囲を見回すと、そこは何も置かれていない広い部屋だった。
シャシャがニコニコしながらヴェーヴの頭をなでる。
「それで、紅焔の廟はどうだった?・・・聞くまでもないかもしれないけど、ね?」
シャシャはちらりとアグニ=ゼルに視線を向ける。
アグニ=ゼルは静かにその視線を受け止めていた。
「問題ないわ。」
リリスが答えると、シャシャはわずかに目を細める。
「よかったー。それじゃ、次はどこに行くの?」
シャシャは近くに置かれた椅子に腰かけると、リリスを見上げた。
「大陸の最東端にある蒼涙の遺跡、らしいのだけど・・・。」
「蒼涙の遺跡?」
シャシャはそのまま言葉を返す。
「シャシャさんも、知らないの?」
「知らないね・・・。でも、最東端なら、セレストラかなー?」
ヴェーヴはきょとんとした顔でシャシャを見上げる。
彼女はにこっと笑みを浮かべ、流れるような口調で話す。
「セレストラは自由の国。誰もが笑い、誰もが歌う。でも気を付けて、底に潜むは暗い夜。落ちてしまったら戻れない。」
歌い上げるような口調。
「これ、最近王都に来てる吟遊詩人が歌ってたんだー!」
「・・・また城を抜け出したの?」
リリスがため息をこぼし、そう尋ねる。
シャシャは一瞬ハッとした顔でリリスを見上げる。
次の瞬間、取り繕ったように真面目な顔を浮かべた。
「・・・。」
「もう。陛下に報告しておこうかしら。」
無言のシャシャを追い詰めるように、リリスが言う。
「やーだー!入国許可1週間で何とかするから、内緒にしてて!」
「5日、5日でできる!」
「・・・わかったわ。」
リリスはいつも通りの穏やかな微笑みを浮かべる。
シャシャはほっと胸をなでおろしていた。
「あ、そうそう。荷物、預かるね。物資の補充とかもあるし・・・。」
「ありがとう。」
リリスが肩にかけていたカバンを下ろす。
ヴェーヴも背負っていたリュックを下ろし、シャシャに手渡した。
「それじゃ、5日後に来てねー。」
シャシャに見送られ、2人と1柱はその場から姿を消したのだった。
光が収まるのを確認し、シャシャはそっと目を伏せる。
「何も、起こらないといいけど・・・。」
再び視線を前に向けたとき、その瞳は強い意志が込められた光を宿していた。
・・・とりあえず、入国許可!
早くしないとー!
シャシャは足早に部屋を後にしたのだった。
これからものんびり投稿していきます!
ちょこちょこ覗きに来てください!




