第102話 通路の先②
第102話です。
楽しんでいってください!
「それにしても、よくわかったわね。」
リリスがわずかに目を細め、炎の壁があった場所へと視線を移す。
「・・・なんとなく?」
ヴェーヴは首を傾げた。
本当に、何となくなのだ。
あの炎は、危なくない。
そんな気がした。
「そうなのね。」
リリスがもう一度ヴェーヴの頭をなでる。
そんな時、ぶわりとその場に熱量があふれかえる。
2人は反射的に通路の奥を見据えた。
そこには、先ほどまでなかったはずのものが浮かんでいた。
それは、曖昧な輪郭で透明。
でも、確かにそこにある。
「なんだろ、これ・・・。」
ヴェーヴは小さく言葉をこぼす。
それにこたえるように、球が揺らぐ。
『貴君が、継承者か。』
球からどこか幼い声が響き、ヴェーヴにふわふわと近づく。
リリスが険しい顔つきでヴェーヴの前に立ち、球をにらむ。
『そんなに警戒しなくともよい。』
「警戒しない方が、おかしいと思うわ。」
『そうか。』
球がリリスの目線の高さまで上昇する。
『俺は、火の精霊だ。』
その瞬間、球から赤い炎が溢れる。
数瞬後、目の前の通路が炎の海にのまれていた。
『ついてこい。』
それだけ言い残し、球がふわりふわりと通路を進んでいった。
ヴェーヴはそっとリリスの服の袖を引っ張る。
「師匠、僕、行ってみたい。」
リリスがヴェーヴを静かに見おろす。
ヴェーヴはそのきれいな翡翠色の瞳をまっすぐに見返した。
リリスの表情がふっと和らぐ。
「わかったわ。でも、危ないわよ?」
リリスは再び、炎の海と化している通路に視線を戻す。
少し向こうでは、球が赤い光を反射しながらその場に浮かんでいた。
「大丈夫だよ。だって、壁の時とおんなじ感じがする。」
確かな熱が2人の肌を焼く。
それでも、ヴェーヴはまっすぐに前を見据えていた。
2人は何も言わず、ゆっくりと通路に足を踏み入れる。
膨大な熱量が2人を襲う、と思いきや、わずかに温かい程度だった。
ヴェーヴはきょろきょろと通路を見回す。
赤い火の端々に青や緑、紫など、火とは思えない色がちらちらと覗いていた。
しばらく歩くと、巨大な岩が通路をふさぐようにそびえたっているのが見えた。
球はその前で付与付与と漂い、ヴェーヴたちの到着を待っている。
ヴェーヴはそこまで足を進めた。
『岩に触れろ。道が開ける。』
球がそう言い、ヴェーヴの隣に浮かぶ。
ヴェーヴはそれに背中を押されるように1歩踏み出した。
リリスは警戒しながらも、それを静かに見守る。
これに触れば、いいんだよね・・・?
ヴェーヴは一瞬、巨大な岩を見上げる。
そして、静かに岩の表面に手を付けた。
岩は少しひんやりとしている。
次の瞬間、ヴェーヴが手を触れた場所にピシリ、とまっすぐ縦にひびが入っていく。
「へ?」
ヴェーヴは思わず、それを見上げる。
ひびが天井に届いた瞬間、岩が左右に分かれてズズズ、と動いた。
わずかに地面が揺れた。
岩のその先には――
広い空間が広がっていた。
これからものんびり投稿していきます!
ちょこちょこ覗きに来てください!




