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第98話 静かな報告

第98話です。

楽しんでいってください!

 少しくぐもった声が、結界内に響く。


『それでは、役に立てたということですのね?』


『もちろんですとも!』


男性が少々大げさなしぐさで続ける。


『すべて滞りなく。今後とも、よろしくお願いしますね?』


『もちろんよ。わたくしも、こんな争いはうんざり。』


『おや、そんなことを言ってしまってよろしいので?』


『いいのですよ。どうせ、誰もいないのですから。』


女性がほほほ、と笑う。


『そうでした、そうでした!使用人は、全員解雇したんでしたな!』


『どうせ、戦場に行ってばかりだもの。雇っても、あまり意味はなくてよ。』


女性が優雅なしぐさで扇子を閉じる。

顔の一部を隠していた物がなくなり、彼女の素顔があらわになった。


「・・・っ!」


ヴェーヴの隣からわずかに声が漏れる。

見上げると、リリスが目を見開いていた。

その手を取り、ぎゅっと握る。


師匠、大丈夫・・・?


ヴェーヴは無言でリリスを見上げた。

リリスはピクリ、と反応し、ヴェーヴに視線を向ける。

そして、大丈夫という風に微笑んだ。


そんな時でも、2人の会話は続いていく。


『それでは、私は明日には戦場に戻りますので。』


『そうですね。それでは、また後日!』


『『人間と魔女の平等を!!』』


部屋の中が光に包まれる。

ヴェーヴは思わず目をぎゅっとつぶった。


光が収まり、目を開ける。

部屋の中にいた2人は、跡形もなく消えていた。





 ――宿にて。


エルシアの部屋に重い空気が満ちる。

それは、リリスの言葉によってもたらされたものだった。


「つまり・・・リリスは、あの女性について知ってるんだね?」


「はい。母の、部隊の小隊長です・・・。」


リリスがぐっとこぶしを握り締める。


「そして、あの言葉・・・境界融和派、だよね・・・。」


「境界融和派って何?」


ヴェーヴは思わず問いを発する。

エルシアがヴェーヴを振り返り、口を開いた。


「一方的に強い側がいる限り、対等な共存は成立しない・・・だから、人間と魔女の差を埋めようとしてる派閥の者たち・・・。」


「とにかく、報告するべきだと思います。」


「・・・いいの?」


「ええ。」


リリスははっきりと頷く。

エルシアはそれを確認し、通信用の魔道具を取り出した。


見覚えのある女性が映し出された。

彼女は、目をこすりながら手元の紙をひたすらめくっている。


「ミラさん・・・報告です・・・。」


エルシアが呼びかけ、ようやく顔を上げる。


「早いな。」


エルシアは会話を続けながら、手元の機械に何かを打ち込んでいる。


「先ほど帰ってきたところです・・・。証拠と会話内容、そこからわかることについてまとめた資料を送るので・・・見ておいてください・・・。」


彼女の手元の機械が淡い光に包まれる。

それと同時に、ミラの隣に設置された機械も同様の光を放った。

彼女はそこから出た紙を手に取り、視線を走らせる。


「これは、まずいな。」


ミラがぼそりと言葉をこぼす。


「・・・はい。」


「わかった。すぐに陛下へ届けよう。ご苦労だった。」


そう言ってプツリ、と電話が一方的に切られた。

部屋の中に静寂が広がる。


「・・・それじゃあ、私たちも、失礼しますね。」


「・・・うん。おやすみ・・・。」


リリスが立ち上がるのに合わせて、ヴェーヴも立ち上がった。

これからものんびり投稿していきます!

ちょこちょこ覗きに来てください!

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