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第97話 潜入

第97話です。

楽しんでいってください!

 「ここが、目的地のはず・・・。」


エルシアが1件の立派な建物を指さす。

3人が身をひそめるのは裏手にある雑木林の中。

全員が真っ黒な衣装を身にまとっている。


「さて、早く仕事を終わらせてしまいましょうか。」


リリスがいつも通り、穏やかな笑みを浮かべてそうつぶやく。


「師匠、怖い・・・。」


「そうだね・・・。」


そんなリリスを見て、ぼそりとつぶやく2人。

気付いてか気づかずか、リリスはさっと木々の間から1歩踏み出す。

そして、建物の外壁に手を当てて目を閉じた。


「ねぇ、エルシアさん。師匠何やってるの?」


「結界の類の有無を調べてる。あれ、すごく便利なんだよ・・・。」


2人はひそひそと言葉を交わし、周囲を警戒する。

現在は3人とも姿が景色と同化するように魔法をかけているが、警戒するに越したことはない。


 ――約1分。

リリスがゆっくりと目を開け、2人を振り返る。

彼女は手招きし、踵を返して外壁を軽々と飛び越えた。


「・・・いくよ。」


エルシアは外套を翻し、跳躍する。

ヴェーヴは助走をつけながら、自身の身長の2倍はあろうかという高さの壁をちらりと見上げた。


これくらいなら、大丈夫かな?


そう思いながら、足に力をこめて真上に飛び上がった。

壁の上辺に手をつき、向こう側にドンッと音を立てて降りた。


「うぅ・・・足痛い・・・。」


若干しびれている足を軽くさすり、顔を上げる。

目の前にあるのは、とにかく立派な建物。

月光が白い外壁に反射している。


「リリス・・・制限は?」


「ありませんでした。・・・少し妙ですね。」


そんな言葉を交わす2人を見上げ、首を傾げた。


「なんで?」


「貴族の屋敷に結界の1つも貼られていないなんて、無警戒過ぎるの。」


「いつ襲われるか・・・わからないからね・・・。」


ヴェーヴはこくこくと頷く。


「それじゃ、いくよ・・・。」


エルシアは迷いなく建物へと駆けだす。

ヴェーヴとリリスもその後に続いた。



 3人は使用人用の入り口から建物の中に身を滑り込ませる。

真夜中だからか、明かりはなく、人の気配も感じられない。

むき出しの石造りの廊下はすこしひんやりとしていた。


そんな中をエルシアは迷いなく駆ける。

長い廊下を何度か曲がり、1つの扉を抜けた。


扉の先は、絨毯がひかれた廊下。

絵画が壁に飾られ、壺のようなものが置かれている。

エルシアは左右を確認し、今度は右に曲がった。


リリスが続き、ヴェーヴも足を踏み出そうとした瞬間、目の端に何か光るものが見えた。


・・・?


ヴェーヴの足が自然と止まる。

その時、頭の中に声が響いた。


『ヴェーヴ、早く来て頂戴。』


ヴェーヴはハッとして踵を返し、できるだけ音を立てないように駆けだした。




 そうして、3人は1つの部屋の前に立った。


わずかに扉が開き、光がこぼれている。

中は装飾品が飾られた煌びやかな空間。

そこににいるのは2人の女性と男性だった。

女性は暗い色のドレスとまとっており、その顔に笑みを浮かべている。

扉に背を向けて座っている男性は、とにかく派手な外套をまとっていた。


エルシアが手に魔力を込め、結界を構築する。

すると、2人の声が響いた。

いつも読んでくださってありがとうございます!


ちょっとしたお知らせです。

これまで週3日で更新していましたが、少しペースを見直し、これからは週2日(木曜と日曜)にさせていただこうと思います。


自分のペース的に少し余裕がなくなってきてしまい、このような形にさせていただきました。

更新を楽しみにしてくださっている方には申し訳ありません。


これからも楽しんでもらえたらうれしいです!

引き続きお願いします。

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