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愛する上司は罪深き転生者(冤罪だけど)  作者: 安藤昌益
今度こそ

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22/25

彼は私に見つけてもらいたい

 では、ロレンツィオをどう捜せばいいのだろうか?ベアトリーチェは、それを考えなければならないことに、ようやく思いついた。

「私って、こんなにうっかり屋さんだったのか?後から考える人間だったのか?そんなはずはないと思っていたのに・・・そういう者だと考えたことも、そういうこともなかったはずなのにな。」

とため息をついた。

「ロレンツィオがいてくれたからだな、これも。何ということだ。自分が、素晴らしい奴だと思っていたが、それはみんなロレンツィオのお蔭だったんだな。全くお粗末な女だったんだな。」


 彼が作り上げた、あの村に自ら行くこともまず考えた。正確な場所は知らない。大体の場所は聞いていたし、太陽や星、月の位置、地形から、さらに場所を絞り込める。だが、本当に正確な位置はわからない。それに、不可知の魔法結界で覆っているはずである。その周辺に行っても、たどり着けない可能性が高い。

「ああ、これも直ぐに思いつかないとは・・・こういう時には、ロレンツィオがすかさず答えてくれていたんだな。全く私というのは・・・。」

 それならどうしたらいいか?彼らは、ロレンツィオ達は都市に出入れしていた。生産物を売って、自分達では作れないものを手に入れるためだ。それを利用して、彼女は彼から逃げ出した。場所を変えていることは確かだろう。では、どこだ?ここだ、王都だ。どうして?

「ロレンツィオは私を見に来ているはずだ。そのためには王都を選ぶはずだ。王とは、何でも手に入るし、自分たちが作るものを高く売れる。リスクはあるか?灯台下もの暗しだからな。彼ならそうだ。」

 そう思うと、彼に勝った、彼が自分の物になった、自分の部下になったような気持ちになった。自分のすぐ後ろに、傍らにいて自分を助ける彼を、自分が把握している、支配している、かつて共にいた彼の姿が思い出された。


 王都の市場、特別な店が並ぶ通りなどを度々まわった。

 そして。無防備なほどに、簡単に彼の姿をみつけることができた。というより、彼女に気が付いた彼が、彼女を待ち構えていたという方が正確だったたかもしれない。彼女が彼を見つけた時には、彼は彼女を見つけていた。半ばこのことも、彼女の計画にはあった、というよりもそれを期待期待していた。見つけて彼女に近づいてくるのであれば、彼を取り戻す第1歩になると確信していたからだった。もう、そうなれば彼は自分のものだと、自分の物となったのだと感じていた、否思い込んでいた。


「母上。どうしたのですか?」

 義理の子供達、17歳になる長男と15歳の長女はベアトリーチェの話に違和感を感じて、ハーモニーして尋ねた。彼女が色々なことを教えるように語るのはいつものことであり、2人は熱心にそれを聞くのもいつものことだった。

「あなた方が何時でも、一家の主になれるようにということですよ。もう、何時でもそうなれる、そうなることができなければならない年齢だということですよ。」

 彼らの顔色、表情から察したベアトリーチェは、何となく屋敷のことなどの引継ぎをしているかのようなことをしていることに弁解した。既視感がある。騎士団でもそう言われたことがしばしばある。その時も、

「君達は、何時でも、部隊を率いて戦う心構えを持っていなければならないだろう?私がやっていることを即やらねばならない時が来た場合、戸惑っていたら私の責任になるだろう?後継者を作ることは義務だし、君達がそれに相応しくなったということだよ。」

と言い聞かせた。もちろん、引継ぎをしているのだ、本当は。


 自分自身の準備は簡単だった。外出着、旅ができるくらいの身軽なもの。部屋着、下着、剣等の武器、そして多少の金、他。軽くもてるカバンに入れられるものだけ。

 そして、見つけた、ロレンツィオを。屋敷から少し離れたところで、しばし、決して長い時間ではない、長い時間立ち止まっていれば不審に思われる、立ち止まって見ている人影を見つけた。屋敷の窓から、注意深く探しているとそんな人影を見つけた。ロレンツィオだと直感した。疑問もなにも感じなかった。

「ようやく見つけたわ。待っていなさい。」

 まるで得物を見つけた肉食獣のような顔だった。舌なめずりこそ、していなかったが、獲物の味を楽しみにしているような顔だった。

 

 

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