第三話 間違いない
現状でゴブリンにダメージを与える手段はルファがゴブリンの体に触れるしかない。
だが、俺は可愛いルファをゴブリンに触らせたくない!
ならばすべき行動は一つ。
「よし、ルファ。俺が行く」
そうだ!俺が戦ってみせる!
俺は腰に下げていた長剣を取り出す。
・・・・・・重い。これでは今までろくな戦闘をしてきていないのがルファにバレるか?
「いえルイ様、私におまかせ下さい。危険な目に会わせることなど出来ません!」
「まてルファ、俺だって魔王になったんだ。ゴブリンだって倒してみせる」
「ルイ様・・・・・・私の事をそこまで危険な目に合わせたくないのですね。言葉にされずとも分かります」
いや、そうなんだけど・・・・・・そうなんだけど?
「その必要はありません!私が行ってまいります」
そうなるんだね。うん。分かってたよ。
配下が魔王に従わないのは魔王に責任があるのかな?
既にルファはゴブリンの群れに再び向かっている。
「ルイ様の為、喜んで死になさい!」
同じ台詞を言って飛び出すのに恥は感じないのだろうな。
ゴブリンたちもルファを確認したようで、迎え撃とうと手を伸ばしたり、棒を振り上げたりする。
一拍、
悲鳴が、聞こえた。
低音が掠れて高く響く。これはゴブリンの声だ。
ルファがゴブリンの腹部を触っている。
その手は綺麗なままに、ゴブリンの体だけが焼けていく様は悪魔という存在の偉大さの表れだろう。
ゴブリンは逃げる事も出来ず、その場で叫び続ける。
ルファも『やーだぁぁぁ!』なんて叫んでいるが彼女は一体何なのか・・・・・・
それにしても、
「地味だなぁ」
地味過ぎる。悪魔の体に触れた魔物は焼けていく。納得はしているが、いかんせん地味過ぎる。
俺は完全な手持ち無沙汰なので応援をする事にした。
十M程の距離にいるルファに向かって叫ぶ
「頑張れルファ」
すると向こうから反応が返ってきた。
「ルイ様!!勿体なきお言葉を・・・・・・。私、全力を出します!
ゴブリン共、私の体に触れるがいい!」
なんだろうこの気持ち。ゴブリンが早く討伐されるのは嬉しい事なのに、ルファが触れていると思うと複雑・・・・・・。
は!!まさかこれが恋心。
「早く倒れろゴブリン共め。早ければ私がルイ様に褒めていただけるかもしれないだろう!」
無いな。間違いない。
可愛いけど、俺に忠実だけど、強い(?)けど。
ん?どこがいけないんだ?
「やっと終わりました・・・・・・。ルイ様に褒めていただいけるでしょうか?
いや、もしや『もっと早くできるだろう!』だとかお仕置きされてしまうのでしょうか。
あぁ、どんなルイ様も素敵すぎるぅ」
本人の前でこういう事を言える所だな。・・・・・・可愛いけど。
「よし、ありがとうルファ。怪我は無いか?」
「ご心配ありがとうございます。しかし私は無傷でございます故、ご心配には至りません」
「そうか。それじゃあ魔石だけ取って村に戻ろう」
もう日も傾き始めている。後一時間もすれば暗くなるだろうから、今日は村に泊めてもらう事にしたなるだろう。
「了解しました。それでは少々お待ちください」
そう言われたが、魔石を取るのは俺も手伝った。
討伐を全てルファに任せてしまったからにはこれくらいは手伝わねば俺のささやかなプライドが傷ついてしまう。
ちなみに魔石は拳程の大きさで、魔物は例外なく体に含んでいる。
心臓の様な役割をしているらしく、魔石を壊すとその魔物も死ぬのだ。
普通に討伐するよりは簡単に思えるが、魔石は体の内部にある為、壊すのは難しい。
魔道具の素材になる他、種類事に魔石が分かれている為、クエストの討伐証明等にもなるのだ。
「さて、これで終わりだな」
俺のリュックももうかなり重くなっている。これもルファにお願いして俺に持たせて貰っているのだ。
村へは三十分程、ルファとの会話を楽しみつつ向かった。
〜〜〜
村に着いた時の空は赤かった。
月がうっすらと見え始める夕焼けの景色をルファは初めて見たという。
「村長、ゴブリンの討伐は無事に終わりました」
そう言って、俺は回収した魔石を見せる。
「おぉ!ありがとうございます冒険者様。我々の安全はお二人によって護られました。
今日はこの村の宿に泊まっていって下さい。存分におもてなししましょう」
村長の笑顔には俺も思わず笑みが零れた。
今までもクエストの依頼主の笑顔を何度見てきた。その全てがやって良かったと思えるのだ。
実は今回が討伐系の依頼は初めてで、ルファを召喚出来て少し調子に乗っていたのだが、それでもこの笑顔が見れたので良しだ。
これからは気を付けよう。うん。
「それではお二方、着いてきて頂けますかな?」
「はい」「了解しました」
〜〜〜
「着きました。村一番の宿です。本日はここでゆっくりとお休みになった下さい」
「驚いた。綺麗な宿だな」
「そうですね。私初めでです」
それはかなりの大きさがある宿だった。
二階建てで、一階は食堂になっているらしい。
中に入ってまた驚いた。村と言うのに、かなりの人数で賑わっている。
被害が無いということで村は見て回っていなかったが、かなり大きい村なのだろう。
受付で一番驚いた。
「村を救ってくださった冒険者様ですね?村長から軽くお話を伺いました。こちらのお部屋にどうぞ」
俺達は部屋の鍵を渡された。
驚いたよ。だって、二人で一つの部屋に泊まるんだもん。
「さぁ、ルイ様行きましょう」
俺、大丈夫かな?何もされない・・・・・・よね?
本日もありがとうございます!
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