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俺の悪魔が可愛いすぎるっ!  作者: 柏木 絢
第一章 冒険者編
3/7

第二話 残念なところばかり増やさないでくれ

「なぁルファ、ゴブリン討伐はいつにする?」


 何気なく聞いた俺の一言。今日は色々と(精神的に)疲れたし休んで、明日か明後日に出発したいのが本音だが、

 ・・・・・・どうやらルファは違うらしい。


「今から向かうのではないのですか?ゴブリン如き、直ぐに殲滅出来るでしょう」


 さて、俺はどう答えるべきだろうか。


 彼女の上司である魔王として俺の意見(休みたい!)を伝えるべきか。

 魔王として、彼女の実力(殲滅余裕)を信じて今から向かうべきか。


 いやはや、俺は甘いらしい。


 目の前で、『早く行かないのですか?』なんて首を傾げる美少女を信じれぬ訳がない。


「いや、ルファが良いなら今から行こう」


「あぁ、(わたくし)を信じてくださるシュウ様は最高ですぅ

 ・・・・・・さて、向かいましょうか。シュウ様の装備は万全ですか?」


 

 休みたいと思っても口には出さない。

期待されたら出来る魔王で居たいと思ってしまうのは仕方ないだろう。


「俺なら大丈夫だぞ。

 さて、目的地は・・・・・・ファスト領のギリギリまで行くのか」


「そのようですね。しかしここからなら歩いて小一時間程でしよう」


「そうだな。まぁ、とりあえず行くか」


〜〜〜


 ファスト領、要するにこの領地なのだが、その端辺りにある村がゴブリンを見かけたと言う。

まぁ、安全な地域な地域と言われる草原だから、はぐれゴブリンだろうが、戦う術を持たない村人には脅威であろう。


 村まではルファの言う通り、少し歩けば着くので距離はさほど問題では無い。


「ではシュウ様、向かいましょう!」



 やけに軽い足取りのルファ。道中特に何もないので会話を重ねている。


「失礼かもしれませんが、シュウ様は召喚魔法しか使えないのですか?」


 この世界に存在する数多くの魔法の内、俺は召喚魔法しか使えない。そして成功する確率は馬鹿みたいに低い。

そもそも使ってみた頭数が少ないとか言い訳はあるのだが、十八歳で異世界転生して一週間なのだ。

魔力だって微々たるものらしい


「そうなんだよなぁ。これも神からの貰いものだからな。他の魔法は適正がゼロなんだ。」


 俺が答えると、やはり!と言った反応を見せた。

 悪魔から見ると才能とかが見えるのだろうか?俺が召喚魔法しか使えないのが分かっていたような・・・・・・?


「悪魔ってそういうの分かるのか?」


「いえっ、ギルドの筋肉が言ってました!」


 可哀想にガイムス。名前を覚えていないらしいぞ


 少し気になった会話はそれくらいだろうか。後は好きな食べ物だとかそういった話をしていた。


 意外にもルファはお酒を飲まないと言う。俺が勝手に、沢山飲んで酔絡みするタイプだと想像していただけあって本当に意外だ。

 ・・・・・・理由を聞けば過去の仲間にこれからは飲むなと言われたのだという。

あながち俺の想像も間違っていないかもしれん。

けど絶対どこかで呑ませよう。


 


実は話の途中、何度も顔が蕩けていたが、周りに人がいなかったのが幸いと言えよう。


〜〜〜


 そして俺達は依頼のあった村へと着いた。一面草原の場所に集まった十数軒の家々。入口と思わしき場所には、村を表す看板もあった。


「クエストの依頼主はこの村の村長ですね」


「とりあえず話を聞こうか」


「え?今直ぐにゴブリンの群れに突撃では無いのですか?」


「そりゃあ、被害の確認と敵の確認をしないと行けないからね」


 驚いた。ルファはここまで頭がお花畑(彼岸花)だったのか。

 とりあえず戦って勝つと言う思考は悪魔的には正常なのだろうが・・・・・・この先配下を増やせと言われると心配になってくる。

みんなこんなのだったらどうしよう俺生きてるかな?


「申し訳ありませんシュウ様!(わたくし)が全く理解していなかったばかりに・・・・・・お詫びにこの場で脱ぎましょうか、」


「いや、大丈夫だ!?つーかなんで!?!?とりあえず脱ぐのは止めてくれ。まじで、頼む。」


出来たら二人きりの密室でとは口から出なかった。くそう。いえば絶対乗ってくれるだろうにっ。


 でもさ、配下がこんなのばかりだったら本当にどうしようか。


 ともあれ、服に手をかけるルファを引きずり、俺は村の村長へと会いに行く。

 村長は直ぐに見つかった。かなりお歳を召しており。長い髭が小さい身長で地面に着きそうな程だった。彼女は声を震わせ話した。


「感謝します冒険者様。これで私達は安心して明日を迎える事が出来るでしょう」


「はい。シュウ様は完璧な御方ですから、全てお任せ下さいませ!

 ですが!シュウ様のお手を煩わせる訳には行きません。全て(わたくし)にお任せ下さいませ」


「任せてください村長。必ずやゴブリンを倒します」


 いい加減俺もツッコミに慣れてきたかも知れない。

 人間は半日でここまで適応するらしい。覚えておこう。


「冒険者様、私達を脅かすゴブリン達は東側に見えています。一度東へ向かった村の戦士達は帰ってきませんでした。その辺りに縄張りがあるのは間違いないでしょう」


「なるほど。数は何体程でしたか?」


「村から見える範囲で十は超えていました」


 少し多いな。一斉にかかってくれば小さな村ではひとたまりもないだろう。

 それだけの数だと仲間とはぐれただけのゴブリンでは無さそうだが・・・・・・どうしてここまで来たのだろうか?


 ともあれ、話を聞く限り未だ被害がないと言うのがせめてもの救いだろうか。

 一応ルファには聞いておこう。


「ルファ、十以上を一度に相手取れるか?」


「余裕だと思います。何人集まっても烏合の衆です」


 む?今ルファが難しい言葉を使ったぞ?

 いや、何点かを除けばルファは優秀な悪魔なんだろう。

そうだ。気にしてはいけない。

 俺は軽く受け流し、村長に向かい合う。


「俺達が脅威を取り除きます!」

 

 決まった!中々なタイミングで言えたのでは無かろうか。


 目に映るのは村長の涙が浮かびそうな顔。


 横目に映ってしまったのはルファが俺に向ける顔。

 ルファの顔については詳しく言わない。この気持ちの良い俺の心を汚されてしまいそうだからだ。


 それでもルファに話しかけた。


「それじゃルファ、行こう」


 村人達の声援を受け、俺達は東の草原へ進んだ。

流石の悪魔様は切り替えができるようで。



ーーー


 しばらく進んだところに、目的(ゴブリン)を見つけた。


 ずんぐりむっくりな人型の体型は二メートル程だろうか。緑色の体。間違いない。ゴブリンだ。


異世界で少し経つがそれでも興奮するらしい。俺は少し弾んだ声でルファに訊ねた。

 村長より聞いた数よりは少し多いようだが、ルファは問題ないと言った。


「では、シュウ様。(わたくし)が行ってまいります」


「任せた!」


 俺は短く返事を返す。自信満々なルファの力を見るのは初めてだ。どれほどの力を持っているのだろうか。


 ルファがゴブリン達の前で立ち止まり、魔法を行使する。


「ルイ様に喜んで貰う為、喜んで死になさい!」


 ルファが両手を前に出す。その手の前にはバランスボール程の火球が現れ、段々と大きくなってゆく。

同時に、ゴブリン達も(ルファ)に気付いたらしいが、もう遅い。


 ゴブリン達が一斉にかかろうとした時、ルファの魔法が放たれた。


 そしてゴブリンの群れは殲滅、余裕な笑みで村に戻る。




 ・・・・・・はずだった。


 ルファから聞こえるのは不安にさせる一言。


「ルイ様。魔法が安定しません!直ぐに消えてしまいます!」


「なっ、ルファ!直ぐに戻ってこい!詳しくは後で聞く!」


「わかりました──キャッ」


ゴブリンはルファを逃がさない。魔法を使えない少女とゴブリンでは雲泥の差だった。走るルファを追うゴブリン達。涎を垂らして追いかけているゴブリンは気色が悪い。


かと言って俺に助けることが出来ないのが情けない。



いよいよゴブリンの伸ばした手がルファに触れた時、


「やだぁぁぁ!」


「ギャァァァァァァ!!!」


ルファとゴブリンが同時に悲鳴をあげた。

よく見れば、触れたゴブリンの手が焼けている。


「はっ!ゴブリンめ、貴様みたいな下等な魔物が(わたくし)程の高貴な悪魔に汚れた手が触れられる訳無いでしょう!?

(わたくし)に触れていいのはシュウ様だけなのです!」


ルファが壊れた・・・・・・のか?

あれが本性なら困ったものだが、そもそも今までのでもお腹いっぱいなのに。ギャップ萌えって奴を狙うのか?

可愛いのに、残念なとこばかり増やさないでくれ。


 一通り言い終わったのか、戻ってきたルファに俺は尋ねた。


「ハァ、何があった?」


「申し訳ありません。ゴブリンの汚れた手に触れられてしまい、(わたくし)の体はシュウ様だけのものです。どうか見捨てないで下さいませ」


いや、そういう事じゃ無いのだが。

ジト目の俺で我に返ったのか、真面目な顔で話し出す。


「恐らくですが、この場は純粋な魔力が少なすぎます。こうも汚れた魔力ばかりでは(わたくし)、いえ、悪魔に魔法は使えません」


 初めてきく単語だ。魔力に純粋だとがある事や、悪魔の魔法に制限がある事。詳しく聞かねば分からんな。

そして高まる俺の興奮。なんだそれ!?楽しみすぎるぞ!


「詳しく頼む」


「承知しました。元の魔力とは純粋なものです。昔から人間は魔法の使い手が自身の魔力を自身の魔力(かたち)に変化させ、魔法として具現化します。


 すると、放たれた魔法が魔力として空間に戻った時、その魔力には使い手の魔力(かたち)が少量残ってしまいます。

 それが汚れた魔力です。この時代も人間はその魔力にも適応する体なのでしょう。


 比べて、悪魔の体は純粋な魔力を媒体に、言えば自身の魔力(もの)だけでなく空間の魔力も使えるので強力であったのですが、

 今の悪魔では誰一人として魔法は使えないと考えて良いでしょう。空気中の純粋な魔力が少なすぎます。

 完全に(わたくし)誤算でした。申し訳ございません」


なるほど。とりあえず今はルファに魔法が使えないのか。

俺ははっきり言って戦力外だ。何か策を立てねば。


いや、ルファにゴブリンを触って貰えばいいか?

美少女が恐る恐るゴブリンに近づく・・・・・・いい絵かとは言いきれんな。要考案だ。何より俺の心が痛む。


正攻法も考えねばならぬか


「ルファ、純粋な魔力ってのはどうやったら増える?」


「昔は、魔王城全体に魔力変換の魔法陣が描かれており、常に魔王城周辺は純粋な魔力が漂っていました。それに伴い、時間が経てば純粋な魔力も広がって行く。と言った形でした」


「魔王城か・・・・・・」


 魔王城。悪魔を復活させた身として、魔王として必要になってくるのだろうか?いや、話を聞く限りは必要だろう。

 でないとルファが悪魔だとバレた時、為す術もなく人間に負けてしまう。


困ったな。

ゴブリン討伐の期限は三日だったはずだ。まだ夕方にもなっていないが、一度帰るのが無難か。



本日もありがとうございます!

感想、意見、誤字などありましたらコメントくださると幸いです。



最後の魔法について大丈夫でしょうか


人間は

魔力を体に入れる(どんな魔力でもOK、これは時間で溜まっていく、上限あり)

魔力を自分の形にする

魔力を具現化し、体から出す(魔法にする)

(火や水、武器等、)

魔法が空気に戻る時、使い手の魔力の形が少し残る(混ざった、汚れた魔力)



悪魔は

空気中の、自身の純粋な魔力を具現化させる。

(魔法にする)

(火や水、武器等)

魔法が空気中に戻る時も純粋な魔力として戻る。



って感じですかね?


なんか悪魔のインフレがすごい気もしますが、現代の汚れた魔力君に頑張ってもらいましょう。




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