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魔道具開発は世界を変える  作者: 博雅
第一章 魔力補充の粉編
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祭り後

 持ち上げると、がらがらと袋の中身が音を立てる。


「ククッ」


 その重さに笑みがこぼれる。27個だ、27個。

 今年は去年の二倍以上の素材を手に入れることができた。


 祭りは既に終わり、開いている店はない。しかし、今は店を出していた人たちが飲む時間であり、祭りの時以上に笑いや言い争いのような声で騒がしい。


 そんなことに全く興味がないため、借りていた簡易屋台をその場でばらし、素材の入った袋を持ち上げ、家に向かう。


「よい……しょ……流石に重いな……」


 袋を背負い直す。素材が入った袋は重く、揺れて歩きにくい。

 袋には、素材以外に金槌が入っており、それも地味に効いている。


 前傾姿勢になり、背負うようにして、ゆっくりと歩くことにした。少し前の地面しか見えず、人が来ても避けられないが、祭りに向かう方向に歩いてくる人もいないだろう。


 少し水でも飲もうかと、足を止めようとした時、後ろからすぐ横を走り去っていく人がいた。

 首だけ上げてちらりとみると、走り去っていく後ろ姿が一瞬だけ見えた。しかし、すぐに曲がってしまい見えなくなった。


「今の服……討伐隊か?光の具合でそう見えただけかな。」


 この辺りは魔物が全然出ないので、討伐隊を見るのは珍しい。隣町に駐屯地はあるので、祭りに来ていたのかもしれない。


「それにしても、足が速かった……。でも魔道具は見えなかったな」


 さっき見た姿を思い出す。

 討伐隊なら何かしら持ってそうだが。


「討伐隊に入れば色々な魔道具が……無理だな。あんなに走れないし。力もこの有様だし。」


 自分の今の姿を想像してみて、無理だと結論を出す。

 水筒から水を飲んで、喉を潤す。


「あーおれも品質のいい魔道具から出た水を直接飲みたいなぁ。自分専用の魔道具で飲む水は美味しいんだろうなぁ」


 ぷはっと息を吐き出し、先ほどまでの疲れを少しでも飛ばそうと少し大きな声で欲望を口に出した。


「さてと」


 そして、また歩き出した。


「しかし、ゴミ屋……広まってたな」


 歩いているだけは暇なので、祭りの様子を思い出していた。来たお客さんのほとんどが、おれの店をゴミ屋と呼んでいた。別にいいのだが、少し落ち込む。ゴミじゃないんだけどなぁと思う。


「でも、あまり使い方を広める気はないしなぁ」


 粗悪素材を砕き、特定の素材混ぜると属性に関係なく魔力を充填できることに気がついたのは偶然だ。これは親父も驚いていた。しかし、親父には黙ってるように言われた。なんでも、お前が困ったとき、きっと道を切り開く切り札になるとのことだ。それから内緒にしている。


「うちの回収箱もゴミ箱って言われてるしな。実際、入ってるのゴミばっかだし」


 カウンター近くに置いてある手作りの箱を思い出す。

 

「仕方ないか……いっそゴミ買取って言った方が集めやすいのかな。いやいや、それだと本当にゴミだらけになる。」


 そんな事を考えていると、祭りの明かりから離れ、辺りが急に暗くなっていることに気づいた。

 ただ、少し違和感があり、立ち止まる。


「……なんか、来た時より暗くないか……?」


 空を見上げて月を見るが、別に隠れたりしていない。そして、ハッとして道端の蛍火街灯を見る。


「光量が……弱い?」


 微妙な差なので分かりにくい。歩きながら他の街灯も眺めてみる。


「……⁈やっぱり暗い……この三番目の街灯。来た時も暗かったが、今はほとんど光っていない。流石にあの時はもう少し明るかった」


 暗いことはわかったが、さらに混乱する。


「一つなら故障や魔力切れだろうが、全部が暗い?全部壊れたわけでもないだろうに。」


 答えを得るために、視点を変えて考えてみる。街灯をみて、すべての街灯が紐で繋がっている様子を見る。


「蛍火街灯は、魔力を通す紐で繋げて異なる素材でも明るさが一定になるようになっている。たまに暗いものがあるのは、単純に素材の劣化だ。」


 初めて蛍火街灯を見た時に、町長さんから聞いた話を思い出しながら、考察を深める。


「全体が暗いという事は全体の魔力が落ちている?この短時間で?」


 ほんの二、三時間でここまで魔力を消費するとは思えない。

 つまり……。


「蛍火街灯全体の魔力が失われている」


 おそらく、どこかの街灯、もしくはこの紐の先端から魔力が失われる何かが起きている。

 今いるのは、街灯の端だ。つまり、ここから紐に沿っていけば、原因にたどり着ける。


「確かこの街灯がつながってるのは……あの祠あたりか。」


 原因が知りたくて、街灯沿いに歩き出した。

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