夢
結局あれ以上結界核に触れなかった。
眼鏡っ子め。とんでもない守備力だった。
そこから家に戻るまでは、皆無言だった。
それもそうだ。
既に空が明るくなり始めている。ほぼ徹夜の作業だったため、歩くだけで、精一杯だった。
家の前には母さんが立っていた。
色々と言われるかと覚悟したが、手をぎゅっと握られて、「もう寝なさい」と言われただけだった。
正直、倒れそうだったので助かった。おれはそのまま部屋に戻り、布団に倒れ込んだ。
そのまま、意識が途切れた。
その日は夢をみた。普段あまり見ないのだが、最近良く見る。
かといっても特別な夢ではない。単純に親父がでてくる夢だ。
親父が大きな丸太から熊を作ると言い出して、真似して小さい熊をおれが作った時だ。
母さんがそんなの宿に置くの?と呆れつつも、おれの熊を可愛いと褒めてくれた。
かっこいいように作ったのにと膨れていると、親父にかっこいいと褒められて嬉しかった。
親父の楽しそうな顔を久しぶりに見た気がした。
心地よい気持ちで目が覚める。
あれ?っと状況が飲み込めないが、自分が昨日と同じ格好であることを見てすぐに思いだす。
昨日はよくわからない一日だった。
おしぼりで顔を拭き、眠っている思考を叩き起こす。
窓の外を見ると、太陽は既に真上だ。
やばい。既に帰ってるかもしれない。
昨日の2人に聞きたいことが山ほどある。
おれは慌てて服を着替え、部屋を飛び出して、ロビーへ向かった。




