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6話 逃げなきゃヤバいじゃん!? 助けてぇ〜!


 厨房の片隅に2人が現れると、皿洗いや下働きメンバーが呆然とした表情で、ぽやリーマンとマイラを見ていた。


「アルフレドぼっちゃまと、マイラ…?どうなさいましたか!?」

「えっと、マイラさんが具合悪いみたいで……!

すみません、少し休ませてもらってもいいですか?」


 見習いの少年が1人、椅子を持って近寄ってきた。


「大丈夫ですか?マイラさん。座れそうですか?」

「ええ、ありがとう」


 皿洗いの少女が水の入ったコップを彼女の近くに置いた。


「なんだか震えてますけど、膝掛け要りますか?」

「大丈夫よ、ありがとう」


 彼らの様子を伺っていた他の人達は自分の仕事に戻り、各々野菜の皮を剥いたり切ったりしていた。


(お昼ごはんの準備をしているのかな?)


 マイラの様子を伺うと、顔色が少し良くなってきたみたいだ。


(マイラさんには家族の質問をするのは危険なのか。エディくんなら歳も近いし、大丈夫かなあ?)


 マイラの体調が落ち着いてから厨房の皆に礼を言った後、廊下に出てから自室へ転移した。


「戻ってこれた!転移って便利だなあ」


(そういえば、転移以外はどんなのがあるんだろう?)


 机の引き出しを開けると、透明な下敷きみたいなものが入っていた。


「なにこれ?こんなのあったっけ??」


 触れてみると、文字が表示された。


アルフレド・フォン・クロイツ 公爵家長男 15歳 

清水 和(しみず なごみ) ぽやリーマン 24歳)


スキル:長距離転移 上級、加速 上級、剣技 中級、威圧 初級、統率 初級

パッシブスキル:耐毒 極、対精神攻撃 中級、柔らか笑顔 上級


「これでやっていけるのか、いけないのか。よく分からない……」



 本棚を、もう一度調べてみると、スキルに関するものがあった。将軍クラスだと上級で、極はほとんどいないらしい。


「えっ。耐毒 極って、どういう事!?」


 混乱していると、エディが部屋に入ってきた。


「若様。今月の領地についての報告書をお持ちしました。当主様へのご意見や提案があれば後ほど私から伝えますので、ご覧ください」

「ありがとう、エディくん。あのね、このスキルが見られる下敷きみたいなものが机に入ってたんだけど…。耐毒が極になってたんだ」


 スキル一覧を手に持ったまま尋ねてみると、エディくんの顔から血の気が引いた。


「そのスキル自体は高位貴族や王族なら誰でも持っています。しかし、上級ならともかく、極まで高めた人の話は私は聞いた事がありません」


(ええー!?やっぱり逃げなきゃやばいじゃん!?どうしよう、どこなら……)


 キョロキョロしていると、机に置いていたクラリスの絵が視界に入った。


「ぼ、僕。クラリスに報告書についての意見も聞いてみるよ!色々相談したいこともあるし!婚約者だから良いよね??」


 エディの目がスッと細くなった。


(若様から、高潔さが失われている)


「若様、スキル一覧を私にも見せていただけますか? 以前の若様は、クラリス様を巻き込みたくないからと、初陣の後は『もう会う資格なんてない』と、そのようなことは一切口にされませんでした。

……貴方は本当に、アルフレド様ですか?」


(なんか、ここでバラすのは危険な気がする!)


「エディくん。クラリスの家で話すから、一緒について来てくれる?」

「はぐらかすおつもりか?」

「絶対話すから!」

「……お供します」


(まあ、この方がはぐらかそうが、あちらにはクラリス様とお父上もいらっしゃる。疑問は解消されるだろうしな)


 ぽやリーマンは、慌てて鞄に書類を入れるとエディの手を握り、クラリスの屋敷の門の前に転移した。



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