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4話 胃が痛いよお!


 翌朝。アルフレド(中身ぽやリーマン)は、たっぷりと睡眠を取って元気一杯だ。


「よく寝たあ。出勤時間を気にせず眠れるって幸せぇ」


 身支度を整えると、エディくんが呼びに来た。


「若様、おはようございます。朝食の準備が整いましたので、食堂にお越しください」

「エディくん、おはよう。朝から呼びに来てくれて、ありがと〜」


(若様が寝起きだからか、ほにゃんとされている……!?こんな表情、見たことない!可愛いいい!)



食堂に着くと、バルドリックとセリンは席に座っていた。


「おはようございます。父上、セリン様」


 セリンは表情は固いまま、会釈をしてくれた。


「ああ、おはよう。昨日は夕食を久しぶりに完食したと聞いたぞ。それによく眠れたようだな」

「はい、スープがとても美味しかったです」

「そうか。あれは、リナリアやお前が幼い頃に好きだった味だったな…」


(リナリアって……誰?)

 

 セリンは一瞬静止し、バルドリックは目を細めて甘く微笑んだ。


「……変わらぬ味があるというのは、ありがたいことだ」


(……何か、変だ。怖い)


 給仕係がそんな空気を変えようとしてくれたのか、焼きたてのパンを3人の皿に置きに来てくれた。


「わあ、美味しそう。ありがとう〜」


 リーマンが柔らかく笑うと、給仕係は一礼して元の定位置についた。


 そんな彼を見たセリンは目を見開き、バルドリックは新しいおもちゃを見るような目になった。


 ニコニコしながら完食した彼は、おかわりを頼んだ。


 そんな義理の息子に気を取られたのか、セリンは誤ってナイフで指を切ってしまった。バルドリックは慌てて駆け寄ろうとする侍女を手で制した。


「後で手当すれば問題ない。術の代償で痛覚を失っているしな。食事を続けよう」


 その場にいたバルドリック以外の全員が一瞬静止した。


「いやいや、バイキンが入っちゃったら大変でしょう!?」


(待って、この術って……。成功しても副作用が出るんだったっけ。しかもどれが消えるかはランダム……)

(そういえば、セリン様。なんかアルフレドくんの記憶より、明らかに細くなってない?ほっぺはふっくらしてるような…)


 彼女と目が合うと、胃を掴まれたような痛みを覚えた。


「パンの温かさや風の温度は感じる事ができるから大丈夫よ」


 彼女は血をナプキンで拭いながら微笑みを浮かべて食事に戻っていた。


「え、でも…。痛くないって事は、周りに気が付かれるまで無理してる事が自覚できなかったり、大怪我しても分からないって事ですよね……」

「ええ、そうね。でもね、捕虜なのに五体満足で生かしてもらえてるだけでもありがたい事なのよ?」


一瞬、空気が止まった。



(胃が痛いよおっ)


 2人の様子を静かに観察していたバルドリックは、片方の口角を上げて、口を開いた。


「ふむ……そんなに心配なら」


 バルドリックはカップを置き、ゆっくりと口を開く。


「彼女の体調や現在地を使用人や侍医が共有する為の魔道具を作らせよう」


(え……?)


「異常があれば即座に把握できる。問題はないだろう」


 セリンはわずかに目を伏せたが、何も言わなかった。



(僕、監視を強化させちゃった!?やらかしたぁ!)



 アルフレド(中身ぽやリーマン)は、胃痛に襲われながらもおかわりを完食した。


「食べすぎちゃったので、腹ごなしにお散歩してきますね」

「ああ。アルフレド、分かっているとは思うが。……私のアトリエには入るなよ」

「はい、父上」


(アトリエって、どこ?)




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