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魔法使いのバイエル―銀河帝国宇宙軍を退役した英雄元帥魔法の存在する惑星で乙女ゲーの守護天使にされる  作者: にーりあ
銀河帝国宇宙軍を退役した英雄元帥魔法の存在する惑星で乙女ゲーのイベントに巻き込まれる

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ドラゴン来襲 ②-2-2

「う、うそでしょ……え、なんで?」


マルレーネもひどい形相でその生物を見上げている。


驚いたのは二人だけではない。私を含めたすべての人間が驚かされた。


たが特筆すべきは、私の驚きは他の者たちのそれとは内容が違っただろうということ。


――フィフスガイア語だと?!


私の驚きの大部分は、その生物が聞き覚えのある言語を発したという点にある。


どう見ても巨大な害獣にみえるそれが、人の言語を用いた。


言語として理解できなければ、それはおそらく巨竜の恐ろしい咆哮としか捉えられないかもしれない。周りの態度を見る限り、どうもそれを言葉として理解していたのは私だけのようだ。


『我が眷属を討ったのは貴様らだな。その罪万死に値すると知れ』


発言から察するに、目の前の大蜥蜴はあのワイバーンどもの飼い主なのかもしれない。


逃げた個体から報告を受けお礼参りに来たと言うところか。


――少し無理をしてでも皆殺しにして……ふむ。今更だな。


私は頭を切り替える。後悔先に立たずとはどこの星系の教訓であったか。


「おいお前たち、この後はどうするつもりだ?」


『みな下がれ! 巫女見習い! 貴様も離脱せよ!』


私の問いを無視して髭中年が現場を仕切る。


パーティーリングから号令が響くと、戦えるものは散開し竜から距離を取り、船を操作するアンジェリカは船の前進速度を上げた。


『逃げられると思うな!』


竜は一声吠えると、その両腕を一度大きく持ち上げ、広げた翼共々一気に腕を地面へ打ち降ろす。


――いかん!


突如吹き荒れる風。


発生した衝撃波にその場の全員が吹き飛ばされる。


結界なにがしとかいうシステムが回復していない半壊状態の船が、風の影響を受け魔星球を落とすとともに、斜め上へ煽られ宙で横倒しとなった。



――〈召喚A型〉――



私はヘルメットを装着し間髪入れずスキルを使用する。


メインパレットに指定されていたスキルはタイムラグなしで発動した。転移した先はアンジェリカの真後ろ。手を伸ばせば抱え込める位置である。


船が横倒しになったことでアンジェリカの身体は宙に舞っていた。補助魔法の効果時間は既に切れている。壁に打ち付けられたら無傷というわけにはいかないだろう。


私は咄嗟に壁に激突しようとするアンジェリカの身体を掴み引き寄せた。


そのまま体の位置を入れ替えて、私がアンジェリカのクッションになる形で壁に衝突する。


「え?! なに?!」


何が起こったのかを認識できなかったアンジェリカが驚きの声を上げる。


「あなた、どうやって!」


“想定外の攻撃を受けました。意識の再覚醒まで三秒。戦闘用鎧衣コンバットスーツ再起動”


ヘルメットの中を覗き込むアンジェリカの顔が見えた。


その後映像が飛び、おろおろした表情で私を抱きしめるアンジェリカが見えた。


謎の力の干渉を受け、私の意識はわずかな時間落ちたようだ。


ARを見れば負傷を示すサインが明滅している。ケガを負ったらしい。バイザーの中、頭から流れた血が額と目の下を通り耳へと流れている。


『虫けらが! まだこのようなものを持っていたのか!』


遠くで竜の叫び声が聞こえた。


間髪を入れず船に衝撃が走る。古代竜が船に打撃を加えたのだろう。



――〈空間転移I型〉――



意識の覚醒と同時にスキルを実行したが、攻撃の回避には間に合わない。私はアンジェリカの頭を抱えて再びクッション役を演じる。


籠の中のボールのように、私の背は何度もしたたかに壁に打ち付けられた。


『無駄に頑丈だな。やはり虫の船は即刻処分せねば』


船外から竜の咆哮が聞こえる。伝わってくる衝撃から竜が船を抱え上げただろうことがわかる。


少しして、中身を確認するかのように船が前後左右に振られた。


「え! ちょっ! キャア!」


三半規管が悲鳴を上げるぐるぐると回る世界でアンジェリカが必死に私にしがみつく。スキル発動までのカウントダウンをみながら、私はアンジェリカの頭を中心に彼女の身体が投げ出されないようしっかりと抱えた。


竜は持ち上げた船を勢いに任せ地面に叩き付ける。船を破壊せんと何度も船を持ち上げては、地に打ち付ける。


激しく攪拌される船内で、私はAIの運動アシストをうけながらアンジェリカへのダメージを最小限にするようクッション役を継続した。


「もう駄目っ! 死んじゃう! あぁああぁっ!」


「しっかりしろ! 大丈夫だ! お前は死なない! この私がいる限り、お前を死なせることは決してない!」


「っ! ……っ」


狂乱していたアンジェリカが息を飲む。目を見開き私を凝視する。


幾度も壁に打ち続けられているがアンジェリカへの衝撃はそれほどきついものではないはずだ。彼女はそれを理解したのだろう。適当な慰めをかけたら案外それが効果覿面だったようで、アンジェリカはその瞬間ぴたりと静かになった。


そうして私とアンジェリカがにらみ合っているうちに、私たちはぐるぐる回る世界から解放される。


疑似血統魔術スキルが起動し、我々は操舵室のモニターに映っていた髭中年の付近へと転移したのだ。


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