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魔法使いのバイエル―銀河帝国宇宙軍を退役した英雄元帥魔法の存在する惑星で乙女ゲーの守護天使にされる  作者: にーりあ
銀河帝国宇宙軍を退役した英雄元帥魔法の存在する惑星で乙女ゲーのイベントに巻き込まれる

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海賊の虫船 ①-3-1

「ドルニエ閣下! この警報は――」

「ワイバーンの群れだ。どうやら魔星球のステージは四を超えていたらしい」


私がロビーに着いた時髭中年とマルレーネが何やら話し合っていた。


マルレーネの後ろにはクロエとエンデルクがおり、そこへアンジェリカが合流する。


「砲台だけで迎撃は無理」


「僕のド・グーも空では――」

「慌てるな。迎撃できぬ数ではない。上に出る。エドワードの娘は私と来い。エンデルクは招待生とともに砲台を担当せよ。巫女見習いには操舵を任せる」


「承知しました」


「わかりました伯父上」


「かしこまりました閣下!」


ロビーに集まった面々に髭中年が役割を与える。


迎撃に出るのは髭中年とマルレーネ。船の砲台担当は王子エンデルクと眼鏡ボブ少女クロエ。アンジェリカは船の操舵を担当するようだ。


「外に出て戦えるものなのか?」


「船には風の結界が張られているから平気よ」


「ならば私もそっちへ行った方がいいのではないのか?」


「甲板での戦闘にはコツがいるの。触っちゃいけないものとか色々あるのよ。それらを説明している時間はないわ。あなたは私と一緒に操舵室」


「いやしかし――」

「理解した? 二度は言わないわ」


「……ああ。了解した」


アンジェリカの言を受け私は困惑する。てっきりこの女はいつもの調子で「喋ってる暇があるならあんたも出なさい!」或いは「あんた守護天使なんだから突撃してきなさいよ! ほらはやく! 飛べ!」くらいの無理強いはしてくると考えていたからだ。


なんだか気味が悪い。船の食事が合わなくて腹の具合でも悪いのだろうか。


どうかろくでもないとばっちりがきませんように。などと考えつつ私は暗澹たる気持ちでアンジェリカの後ろをついていく。



『オーフネディトュゥア』


廊下の突き当りでアンジェリカが何やら呟くと壁がスライドし、その先に空間が現れた。


「ここは?」


「操舵室よ。早く入りなさい」


私はアンジェリカに言われるまま彼女に続いて室内に入る。途端、暗かった室内が一気に明るくなった。


――これは……。


私は室内の光景に息を呑む。


そこにあったのはがらんどうな部屋。――その壁一面に、船の周りの景色が映し出されている。


液晶パネルでもプロジェクター投影でもない。一目でそのギミックが異質と、明らかにこの土地にとってはオーバーテクノロジーの産物とわかる代物だ。


――これは科学だ。しかも帝国の技術レベルと、なんら遜色のない。


イオン化したナノマシンで準立体映像を作る全天周モニター。


こんな惑星の住人らが成した発明とは到底思えない。文明度から見て設計思想が突飛に過ぎる。


――理力フォースを用いたモニターが発明されたこと自体はかなり前のことだが、それを一般運用するためのシステム改修がなされたのはつい最近のはず……。


「その辺に座ってて」


驚く私をよそに部屋の中心に立つアンジェリカ。


操舵室と聞いていたので、部屋の中央に丸い操舵桿でもあるのかと思っていたがそういったものは見当たらない。


どうするのかと思ってアンジェリカを見れば、彼女は先ほどから両腕を地面に平行に前へ伸ばす前ならえの姿勢を取ったまま、何やら小声でぶつぶつ呟いていた。


念仏を唱え続ける彼女はやがて伸ばしたままの左右の腕を微妙に上下に揺らしはじめ、そのうち前ならえの先頭の人間がする両手を腰に据えるというポージングをとる。


すると数秒後、アンジェリカの嵌めているグローブのビスがにわかに光り始め、それに同期して彼女の足元で複雑な幾何学模様の淡い光が浮かび上がり、明滅し始めた。


「なにをしている?」


「船のコントロールを私にリンクさせただけよ。集中しなきゃいけないから話しかけないで」


アンジェリカは正面を向いたまま私の問いに答えた。


――……光が、紐づいて? ……! なんだ、それは?


違う。理力フォースによるものではない。


それは瞬時にシステムが解析し、もたらしてくれた答え。


スキルツリーシステムをアップデートし、この惑星の魔法についての追加情報を獲得していなければ解き明かされなかった仕組みが、そこにはあった。


操作されているのは想粒子グレインビットではなく、聖粒輝だ。


――聖粒輝を変質させ疑似想粒子(グレインビット)を生み出し、それを変換消費することで理力フォースのような作用を再現しているのだ。


奇想天外。ある意味、魔法とフォースの融合。厳密には違うがそう言えなくもない。


一体何者が、この発明を行ったのか。


――しかもやっていることはノンヴァーバルアクセスか? センサーは見当たらないが……まさか、そこは魔法なのか?


そういえばこの女は魔道具を使って魔術を使っていた。今もそれと同じ要領でこの船を操作しているのかもしれない。


この部屋だけ技術革新され過ぎている。


操舵にAIを使うという概念はないようだが、もしかするとこの船は――。


――いや、今はそれよりも……。


仮説の数が増えるにつれ嫌な予感が増す。


だがその予感の裏付けを取る方法は今のところない。この場でそれらを確かめる術はない。


ここから先はこの場で考えても詮無きことだ。


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