A Maging③-3-1
詳しく調べるという名目の元、私はスガワラ氏に頼んでれいのやつをルイーザの酒場から貸し出させた。
同時に、広い土地を借りたいというお願いもした。
れいのやつを調べるのに必要だという説明でも、きっと彼は快く応じてくれた気はする。
だが私は、正直に情報を開示した。
今まで接してきた印象だが、彼には自分の知的好奇心を満たすためならあらゆる手段の行使をいとわないという危うさがある。
そういう輩を相手にする時、相手の好物に関わることでの嘘や誤魔化しは危険だ。あの好々爺とした態度の裏に何が潜んでいるか知れないうちは、特に気をつけねばならない。
だってここはなんたって魔法の存在する惑星なのだ。下手なことをして彼の逆鱗に触れ、対処できない魔法など使われては目も当てられない。人間なんてどんなに賢そうにみえても計算や理性を感情で台無しにしてしまう動物なんだから。用心に越したことはない。
そういう理由から、私は私が思うよりも彼との友好の価値を高く見積もった。
「ほっほっほ。土地など、こんごともよろしく、してくださるならいくらでも差し上げますとも」
その結果が、土地貸与改め譲渡、である。
土地の場所は学園の敷地から少し離れた、緑の都のはずれにある森の中の一区画。広さにして十ヘクタールほどだという。
元は学園長の個人所有図書館建設予定地であったらしい。学園図書館の増築が急遽決まったことで個人図書館の必要性がなくなり工事を中断。以降そのまま現場は放置され今に至っているとか。
「私のようなものが国土を占有して問題にはならないのですか?」
「土地代はともかく、所有二年目からは税は収めねばならないでしょうなぁ。ですが、ルベリウス殿のお話が想定通り進むのなら何の問題もありますまい。予定が狂うのなら返していただければよろしいですしのう」
オズ=スガワラが現職知事を務めるここスモルニィ永世中立国では、亜人であっても華族以上の身分を持つ者なら、知事権限で土地の所有を許されるのだという。
――うまくいってもいかなくてもリスクはないわけか。あまり重要な土地でもないようだし、私にとってもそれは都合がいいが、まずは場所の確認をさせてもらおうか。
そうして翌日、私は現地視察へ出発。
与えられた土地は、木々を伐採しただけの荒れ地という印象。
工事を途中でやめたせいか、現場には大小の伐採されたままの木々やごつごつした岩や石が散乱していた。
ここに建物を建てるなら、まず整地から始めなければならないだろう。
――広さは十分。なかなかいい場所だ。周りを木々に囲まれているというのがいい。アレを降ろすことになったら、ちと目立つからな。
私はれいのやつを作動させて、敷地ぎりぎりに残っていた適当な木の根元にそれを植えた。
うまくいけば連絡を取ることができるようになるはずだ。いつになるかは全く見当がつかないが。




