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魔弾の錬金術師は復讐に生きる ~亡き最愛の妻は吸血鬼だった~  作者: 結城 からく


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第45話 錬金術師は入国する

 砦内を疾走していると、前方に兵士の姿を認める。

 数人が横一列に並んで銃を構えていた。

 彼らは一斉に発砲してくる。


(……軌道が読める)


 私は走りながら思考を巡らせる。

 狙いがかなり大雑把なので、動かずとも大半は当たらない。

 焦りによるものだろうか。

 突然の戦闘で驚いているのは私だけではないのだ。

 彼らだってこういった形で騒ぎが起こるとは夢にも思っていなかったろう。


 命中しそうな弾を判断した私は、地を這うように走って回避する。

 さらに跳んで壁を駆けると、兵士達のそばをすれ違った。

 驚く彼らを横目に射程外へと身を躍らせる。


 明らかに人間を超越した動きだった。

 己のことながら感心してしまう。

 本格的に怪物になってきたようだ。

 これはさすがに認めざるを得なかった。


 私は目に付いた階段を下る。

 地上階まで向かうとそこには、施錠された鉄扉があった。

 上階から聞こえる足音を認識しながら閂を外し、そのまま屋外に出ようとしてふと閃く。


(これは使えるかもしれない)


 私は蝶番を蹴りで破壊すると、鉄扉を掴んで持ち上げた。

 分厚いせいでかなりの重量だが、今の膂力なら難なく動かせる。

 それを確かめた私は鉄扉を盾にして走り出した。


 すぐに後方から兵士の気配がした。

 私は背中を守るように鉄扉を構えながら走る。

 衝突音が響くも、今度は身体に命中しない。

 弾丸は鉄扉に阻まれているようだ。


 ちょうど砦の向こう側に出た私はそのまま進もうとする。

 一瞬、移動に使ってきた馬のことが頭を過ぎるが、この状況で回収に向かう余裕はなかった。

 置いていくしかないだろう。


 私はひたすら走る。

 慌てて駆け付けたであろう兵士達が、盾と銃を使った陣形を組んでいる。


「動くな! 止まれ!」


 私は鉄扉を盾に突進する。

 兵士達は必死に銃撃を繰り返すが、やはり何の被害もない。

 こちらが止まらないと悟ると、彼らは慌てて脇に飛び退いて避けた。

 直撃すれば重傷だったろう。


 私は彼らに申し訳なく思いながら走り続ける。

 砦から逃亡してもしばらく進んだ。


 周囲が暗くなってきた頃、無数の弾がめり込んだ鉄扉を捨てて振り返ると追っ手はいなかった。

 さすがに執拗に追跡してくるほど熱心かつ無謀な者はいなかったらしい。


 何よりここは既にナリア公国だ。

 国外の問題となった以上、さらなる介入はできないのだろう。


 こうして私は、一波乱ありながらもナリア公国に踏み行ったのであった。

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