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キラメキDaughters(ドーターズ)  作者: 千賢光太郎
9話 姉妹と一緒に、惑星シリウスで感謝祭イベントに招かれた、まさか
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アイドルとしてインタビューを受けた。質問って怖いわあ

語り手は明日谷大和君です。変身をする前の一人称は「俺」です。大和君が変身すると「キラナデシコ」に化けます。そのときの一人称は「私」に代わります。ではきらめく世界をお楽しみください。本日もお読みいただき、ありがとうございます。あなたに良きできごとが起こりますよう、心からお祈りします。

声を上げ、俺から私へ姿を変える。私の中にいる「大和」の姉と妹は何度も瞬きを行い、口を大きく開け、立っていた。


体からたくさんの汗が流れる。緊張しているのか、『彼』の姉と妹に事実を見られたからか。


「ドーターズ、あと1分で出番です。今すぐ舞台袖に上がってください」


スタッフが私たちに告げる。


「ほら、アスナ、ナデシコ」


ココアに手を握られ、私たちはステージ前に立つ。


「お次はシリウスイチゴ豊漁の立役者、キラメキドーターズが登場します。どうぞ、拍手でお出迎えください」


桃色の子熊が台本を持ち、私たちに目を向けた。舞台に上がると、多くの動物が手を叩いて喜んでいる。甘い香りが漂い、熊たちは顔が真っ赤に染まり、がばがばワインを飲んでいる。


「キラメキドーターズ、本日はお忙しい中、お越しいただきありがとうございます」

「いえいえ」


私たちは頭を下げる。留奈と美鈴が手を振り、私は返す。


「姉ちゃん、スカートめくって」


子熊がジョッキをもって叫ぶ。嫌よ。


「キラメキドーターズは、夢世界アルムで生まれたアイドルヒロイングループで、キラメキの力を通し、元気を与えます。数日前、シリウスイチゴを取る際、お世話になりました」


私たちは頭を下げると、あちこちから喜びの声が上がる。


「早速ですが、ドーターズの裏話をいくつかお聞きしたいと思います。聞くところによると、キラナデシコ、キラアスナとキラココアがシミ病で苦しんでいたとき、別の惑星アルデバランにある険しい山へ登ったそうですね」


なぜそれを知っている?


「は、はい。一部分だけひょうがふって、当たると雪だるまに変わったり、道の見えない場所があったり、変なクイズがあったりと、アスレチックを楽しむかのような山でした」


「大変ですねえ。アイドルの仕事もアスレチックだらけでしょ」


おそらく、良いこともあれば悪いこともあるという意味で、彼女は述べたのだろう。


「え、ええ」


「では一つ、みなさんにクイズを出します。アスナ、ココア、お答えください。シミ病を治すために、ナデシコたちがとった草はなんという名前でしょう。会場の皆さん、わかりますか? 正解者にはキラメキドーターズのサイン色紙をお渡しします」


熊たちが手を挙げた。


「スミレ」

「レガレッタ」

「タンポポ」

「タンポン」

「ポンポコソウ」

「ウソダソウ」

「タケイソウ」

「バイブ」


草や花の名前に交じって、変なのもある。下ネタに吹いちゃったんだけど。


「どれも不正解、答えはアスナにココア、声を合わせてください」


挿絵(By みてみん)


「「エンタメンゼン」」


わーっと子熊たちが騒ぐ。


「あのエンタメンゼンをとったのか」

「エンタメンゼンって何?」

「知らない、なんかすごい草なんだろうよ」


観客の反応はこんなものか。


「エンタメンゼンをとって仲間を助ける、百合ゆりな気持ちで、アスナやココアもナデシコを助けたのですね。乙女惑星スピカにて、初めてのアイドルライブを行ったとき、ある事件をきっかにナデシコが消され、アスナとココアは二人、力を合わせて彼女を助けました」


大和は何か言いたそう。


「アスナとココアは二人で歌いながら、氷漬けにされそうな女の子を温めました。そのとき、どんな気持ちを抱いていたのですか?」


熊はアスナにマイクを渡す。


「うーん、この子が温かくなればいいなって思ったよ」


かわいい。マイクはココアに渡される。


「冷たい体や心を温めるのが私たちの仕事です。その子が凍えなくてよかった」


礼儀正しいなあ。


「アスナとココアはお互いの体を温めあう機会はないのですか」

「体を……馬鹿なことを言わないでください」


ココアが顔を真っ赤に染める。


「ねえ、勇者様たちが体を温めあえば、私たちは盛り上がりますよね」


会場が乱れ、耳が痛い。


「昨日、いやんやんな漫画を読んでいたら財布が凍ってしまって」

「あなたの使い方が悪いだけでしょ」


突っ込んでしまった。どっと笑いがおこる。


「だから雪女が現れたのか! 雪女の心をドーターズが溶かしたと聞きますが」

「はい、雪女は過去に傷があって、私たちが希望を与えました」


「へえ、口づけしたの? 雪女の唾液はどんな味でした?」

「キズでなくキスでしょ」


「キスをてんぷらにするとおいしいのですよ、雪女はてんぷらにしたら、すぐ溶けてしまいそうですね」

「できるわけないでしょ。キスって魚と間違えないの」


「正月に食べると」

「数の子か」


「化け物が東京都の渋谷を歩いて」

「バケモノの子か、韻すら踏んでいないし、よく東京を知っているな」


会場が揺れ、空気の境目が見えた。


「東京は知らないけれど、アルム御世界にいるお姫様なら知っています。植物に食べられたアルムの世界にいるお姫様を、お救いになったと聞きます。お姫様はどのような人ですか? かわいい以外の表現でお願いします。お姫様はかわいいので」


アスナは「うーん、きれい」言った。

「品があり、おしとやかで、人懐っこい子ですわ」ココアが手を軽く叩く。


「姫様はこちらでは怖いですよ。何しろ体に触れたら、ぶっ飛ばされるので」

「そりゃあなたたち、人の胸やお尻などを触っていますもの。士鶴ちゃんにも同じところを触ったのでしょ」


「ええ、なんでそれが失礼に当たるのか、さっぱりわかりません。私たちの世界では、相手の体に触れるという行為は、敬意を抱いているのです」


私たちの基準だと、触れる場所によって、セクハラになってしまう。文化の違いというものか……


「会場にいるみなさんに尋ねます。姫様からムチでぶたれたいと願う人」


司会者が手を上げると、観客の4割が手を挙げた。


「優しい声でぶたれたいですよね。ここで、ドーターズの癒される声を披露してもらいます。今から歌う曲は」


なんて強引な展開だ。


「快楽地獄、質問攻めフルコース」


お読みいただきありがとうございます。「脚本」に沿ってステージ進行を行う。大変です。見ている側だと、サクサク進んでいるように見えて、舞台に上がっている側だと、アクシデントが起きないか、ひやりとしますね。


次回はより深い質問責めに会う予定です。

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