戦闘中に質問されたら、気が抜けるからやめてほしい
語り手は明日谷大和君、変身をする前の一人称は「俺」で、
人前だと「僕」に、「キラナデシコ」に化けると「私」に代わります。
ではきらめく世界をお楽しみください。本日もお読みいただき、ありがとうございます。あなたに良きできごとが起こりますよう、心からお祈りします。
「ヤナミ」
サングラスをかけた女、ヤナミが「投げキッス」を司会者にあてた。子熊からむくむくと何かが現れる。両手がマイクの形をとった化け物、私たちをみて不気味にほほ笑んだ。
「お前ら、もっと聞きたいだろ。キラメキドーターズがどんなセ××スをやっているのか」
留奈は口をぽかーんと開け、美鈴は姉に抱き着いている。ヤナミが私たちを指さした。
「さ、クスミ、あいつらにどんどん恥ずかしい質問をしな。恥をさらし、暗闇へ引きこもってしまえ」
「ヤナミさん、昨日、暇だからって鼻をほじくって、なめていましたよね」
クスミ記者は私たちでなく、目の前にいたヤナミに尋ねる。
「なんで私のプライベートを尋ねるのよ。それに鼻をほじくって、なめていないし」
「週刊居・候によれば、ヤナミさんは鏡を見て、にやあと10分ほど微笑むと書いていました。本当ですか? 本当ならどんな妄想を?」
「う、ウソに決まっているでしょ。そんな週刊誌の名前、聞いたことがないわ」
「早入新聞です。ヤナミさん、最近はBL漫画にはまってこの前、クスミを召喚してBLごっこを楽しんでいたと聞きますが、どういう人が責めると、濡れるのでしょうか?」
「金髪の俺様王子……じゃなくて、今のストップ」
ヤナミが召喚したクスミ記者は、なぜか彼女の心をえぐっている。あの子もカナセと同じMなのか。
「ヤナミさん、お答えください」
クスミ司会者がマイクを向けた。ヤナミは後ろを振り返り、消え
「今日は逃がしません」
目をギラギラ輝かせた熊たちがヤナミをつかんだ。ある熊は胸をもみ、別のくまぁはスリットをめくって太ももをすりすり。私たちの後ろにも子熊たちがギラギラ目を輝かせ、危害を加えようとしている。
「みんな、ライブを開いて浄化するよ」
私が扇子を空高く掲げると、アスナもココアもうなずいた。
「マナテ、カナセ、留奈さんや美鈴ちゃんを守って」
双子はうなずいた。私たちはクスミ司会者を三角形を結ぶように囲んで、歌い始める。クスミ司会者の周りが白い光に包まれた。
「アスナさん、この歌はどういうきっかけで生まれたのですか?」
司会者が空を飛び、アスナにマイクを向けた。
「え、特訓中に」
「アスナ、歌を中断しないで」
光は消え、クスミ司会者の体も元に戻る。
「ご、ごめん」
「アスナさんは大和さんをお好きだと聞きましたが」
「うん、だーい好き」
アスナがクスミ司会者のインタビューに、明るい気分で答えている。ココアが震えている。
「ココアさん、大和さんのどこが好きなのですか?」
司会者がアスナからココアにマイクを向けた。
「かわいいところですわ。しっかりしていて……今はそれどころじゃありません」
「怪物なのにかわいいのですか」
「ええ、じゃなくて、アスナ、ナデシコ、早く歌って」
ココアは首を横に振る。
「怪物がいる世界では、そういうのを男の娘って言うらしいです」
「知っていますよ、それくらい。じゃなくて、なくてクニシャン」
司会者はココアにマイクを突き付ける。なんかいやらしい。
「先日、須田愛良ちゃんと明日谷大和君がデートをしていましたね。覚えていますよね」
「はい、私は楽しみながら見ておりました。ああ、こちらの世界で大和様とデートをしているのだなあと思うと」
私の中にいる「彼」が暴れている。
「デートするとき、どちらから声をかけますか?」
「もちろん、私です」
「ココア、インタビューに答えないで。私の中にいる彼がものすごく暴れているの。ひゃうう」
どくどくどぴゅるっと、彼が出てきたくてたまらない。私の意識が薄れようとする。あれ、姿が戻った。お、落ちる――。
あ、ああ、じ、地面につく。助けてくれ、いや、早く言わないと。言葉が、手、押さえ
ガッシリ!!!
「大和君、ごめん」
アスナが俺を抱きかかえていた。後50センチで脳は粉々に砕けていただろう。アスナの胸が俺の口と鼻をふさぐ。
「ごめんね、私が気を抜いたばかりに」
「アスナさん、ココアさんが『私が大和様のお嫁様です』おっしゃっていたのですが、一言お願いします」
司会者がいつの間にか、アスナの隣にいて、尋ねる。
「なんですって、大和君のお嫁様は私よ」
「いいえ、大和様のお嫁は私ですわ」
ココアが真っ赤な顔を浮かべ、降りてきた。アスナは俺を地面において、ココアと取っ組み合いのけんかを始める。
「二人とも、こんなことをしている場合じゃ」
「大和」
留奈姉が両手でメガホンを作る。
「あの司会者の口をふさぎなさい」
姉に目を向ける。カナセは姉をおんぶしていた。マナテと美鈴は子熊たちを一匹ずつ『処理』している。
「カナ君、私を喧嘩している二人の前に連れてって」
俺は手でふさごうとしたが、司会者はどけた。
「そういえば須田愛良ちゃんが、大二郎君と一緒に遊ぶと言ってましたよ」
俺はうろたえながらも、おなかから怒りが沸き上がる。力がみなぎる。
「輝け、私の希望――枯れた心に元気な花を咲かせよう、キラナデシコ。熱き炎で口をふさぐ、きらきら炎の舞」
扇の先端から炎が現れ、奴に放つ。
「あちゃちゃちゃちゃ、緊急事態です、火事が発生しました」
「いい加減にしろ!」
戦うアスナとココアの前に立つ留奈。彼女の一声で、二人の手が止まる。
「だらしない。あの子の青ざめた顔を見なさい。あんたたちが喧嘩しているから、弟が困っている。第一、アイドルなのに、人前で結婚って言ってさ、あんたたち、アイドルを舐めているの? あんたたちはアイドルしっ……説教は後、早くナデシコを助けなさい」
「お前、邪魔」
クスミ司会者が指を鳴らすと、真っ黒な影が現れ、留奈をつかもうとしたら、ヤナミが奴らにけりを入れた。
「早くしな、ドーターズ。それとこの人と美鈴は襲ったらだめよ」
ヤナミは留奈を見て微笑んだ。留奈はつばを飲み込み、頬が薄桃色に染まる。
「ごめんね、ナデシコ」
「すみません、ナデシコ。留奈さん、説教、ありがとうございます。クスミを浄化しましょう」
「ええ、アスナ、歌をお願い」
クスミを真ん中に、私たちは囲み、歌い始めた。気分が乗ってくる。三人で裸になって、抱き着く。二人の体、なんて暖かいの。脳がとろけそう。
「まだ聞きたかったのに~」
クスミは言いながら、光となって消えた。
「ヤナミ、お前は何が狙いだ?」
カナセがヤナミに尋ねる。
「ドーターズの邪魔、キラキラ輝くあんたたちを見ていると、反吐が出る。そうでしょ、留奈。それとカナセ、あなたは私と同じ」
ヤナミは留奈たちをもう一度見て、消えた。
「あいつ、どういう意味で言ったんだ?」
カナセは留奈をおんぶしたまま、消えたヤナミをにらむ。私があたりを見回すと、子熊たちはすべて倒れていた。頭に『靴の跡』が残っている。
お読みいただきありがとうございます。
この後、大和君は愛良ちゃんとのデートについて掘り下げられます。
そこで大変な目にあったようです。
話はまだ続きます。クイズの答えは明日になります。
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