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出逢い Ⅲ

階段は、思ったほど長くはなかった。

すぐに木でできた扉が見えた。

一度だけ深く呼吸をし、扉を開けた。



「うわぁ・・・・・・!!」



赤塗の綺麗な、神社のような大きな建物が遠くに見える。

あの建物に向けて、同じ赤塗の鳥居が連なっている。

鳥居の下には、おそらく建物へ向かうのだろう、乙喜と同じ白装束を着ている人たちが並んでいる。

きっと閻魔大王はあの建物にいる。

乙喜も人の列に加わった。




しばらくすると、建物に近づいてきた。

さっきは鳥居の道の中にいたから見えなかったが、建物の前には大きな門があり、順番が回ってきた者が1人ずつ通されているようだ。

門には看板が掲げてあり、『閻魔王庁・分別窓口』と書いてある。



「分別?」



乙喜は、門の下にいる役人らしき人に聞いてみた。



「あの、すいません。 この看板の分別ってどういう意味なんですか?」


「天国行きか地獄行きかを、大王様に決めてもらうことが分別と言います」


「行先って、天国か地獄しかないんですか? 間違って死んじゃった人とかが、生き返るってことはないんですか?」


「まあ前例はないですね。 だいたい、ここから人間界につながる道はないですしね」


「もう生き返れないってことですか?」


「そうなりますね」


「そんな・・・・・・私はまだ死にたくないです。 出口なら自分で探します!!」


「へ?」



乙喜は昔から、決断力だけはあった。

選んだ選択肢が正解なのか間違いなのか、深くは考えずに決断してきた。


どこかに出口がないか探してみると、あった。門の横に小さな井戸が。

乙喜は見つけるやいなや、役人に捕まらないよう必死で走った。



「ちょっと君!! そっちは・・・・・」



役人の言葉は、最後までは届かなかった。

乙喜は思い切って井戸に飛び込んだ。


役人は大慌てで、門に設置してある連絡器の方へ向かった。



「こちら分別窓口前!! 至急上へ取り次ぎお願いします!! 死者が1人妖ノ界(ようのかい)へ脱走しました!!」





「だそうです。 どうしますか大王様?」



連絡を受けた管理室の役人は、音声をそのまま閻魔大王へ流していた。

役人の真正面にあるモニターには、けだるそうに机に肘をつき座っている閻魔大王の姿があった。

とくに焦った様子はない。



「あそこの井戸は確か・・・・・・百喜屋の近くに通じておったか」


「はい」


「なら、あやつにわしから伝えておこう。 どうにかするじゃろう」


「了解いたしました」



そう言って役人は通信を切ると、自らの仕事に戻った。



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