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出逢い Ⅰ

「・・・・・・」



どれくらいたったのか。

乙喜は目を覚ました。


目の前には、綺麗な花畑が広がっている。

少し先には川があり、そのほとりには老婆が立っている。

どこかで聞いたことのあるような光景だ。


「もしかして私・・・・・・」


さっきのことが本当なら、自分は死んでしまったのだろうか。

幽霊を見たことはたくさんあるが、あんなふうに直接話しかけられたのも攻撃されたのも初めてだった。


一体、あいつらは何者なのだろうか。



乙喜がぼんやりと座っていると、川の畔の老婆が手を大きく振りながら乙喜を呼ぶ。


「そこの嬢ちゃんや!! こっちに来なさいや~!!」


座っているだけでは何も分からない。

とりあえず乙喜は老婆の所へ行ってみた。



「あの~・・・・・・」


「おかしいの~。 どっかに落っことして来たんかの~」


呼ばれて老婆の所に来てはみたが、老婆はバインダーにはさんである分厚い資料をバラバラとめくっている。老婆の所に来て、もう5分も経っている。

痺れを切らした乙喜は、一生懸命資料をあさっている老婆に声をかけた。


「私、呼ばれたから来たんですけど・・・・・・どうかされたんですか?」


「いや~それがのぉ・・・・・・これな、今日ここ三途の川に来る予定の名簿なんじゃが、嬢ちゃんの名前がどこを探しても載ってないんじゃよ~」


「はい?」


「まあ取り合えず、川を渡たりんさい。 渡ったらすぐに役員がいるから、そこで詳しく調べてもらいんさいな」


「待ってください!! 死ぬ予定がなかったんなら、生き返らせてください!! まだ死にたくありません!! 死ぬわけにはいかないんです!!」


「そういうことはオラにはできねぇだ。 とりあえず川を渡りんしゃい」


「そんな・・・・・・」


「あと、これを着て行くだ」



そう言って老婆が手渡してきたのは、白い着物、いわゆる死に装束というものだった。

しぶしぶ乙喜は装束に着替え船に乗った。

すぐに老婆が、慣れた手つきで船を押しやった。船は真っ直ぐに川の向こう岸に向かっていく。辺りには濃い霧がかかっている。

老婆が見えなくなるのに、そう時間はかからなかった。




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