7.心の奥に押し込んだ愛①
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火星side
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先輩と再会したあの日。
まるで時が止まったように、
そして静かに今まで抑えていた感情が溢れ出した―――。
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その日は火星は部活動の為、
軽音部の部室に向かい鍵を開けて準備をしていた。
(弦、そろそろ張り替えようかな…)
そんなことを考えていた時。
ドアが開く音が聞こえる。
「お疲れ様で、…」
ベスタたちが入ってきたのだと思い、
ベース弦を見ていたのをドアの方向に顔を上げて視線を移す。
しかし、そこに居たのは
想像していた人物ではなかった。
「な、んで…」
「…久しぶり」
部室に入ってきたのは以前所属していた部活の先輩であり、
―――自分の元恋人だった。
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「関係者以外、立ち入り禁止ですけど…」
「一応、許可はとってる…」
気まずい空気が流れる。
早く、ここから逃げたい。
―――いや、むしろ自分の目の前から立ち去ってほしいとさえ思う。
「…なにしに、来たんですか」
「…火星と、話したくて」
視線は合わせていないが、なんとか正気を保ちながら話す。
「俺は、…ないです、ので」
今更、話して何になるのだろう?
あんなに惨めな思いをしたのに。
この場に居たいはずもなく
逃げようとドアの方へ向かうが、
ケレスの横を通り過ぎる前に、ギュッと腕をつかまれる。
「っ!…離して、くださいっ」
急に腕を取られ驚きを隠せず、
さらに何が起きているのかが分からず動揺してしまう。
「ごめん、でも聞いてほしい」
「い、や…ですっ」
何も聞きたくなかった。
昔、別れ際に言われた言葉が、フラッシュバックしてくる。
『女ぽいからいけると思ったけど、やっぱ無理だわ』
『もう新しい相手いるから、俺の目の前から消えてほしい』
忘れたいのに、思い出したくないのに、
唐突な出来事で”あの当時のこと”が蘇ってしまう。
(いやだ、聞きたくない、いやだ、…いやだっ)
「~~~いい加減にしろよっ!!!!」
気づいたら衝動で、ケレスの頬に平手打ちしていた。
捕まれていた腕は一瞬離れたが、
それでもケレスは諦めないのかドアの方へ行かないように立ちふさがる。
「…ごめん、でも火星のこと
大事だから、聞いてほしいんだ」
「…っ、俺のこと、裏切ったのに、
…よく、そんなことが言えますね」
拒絶しても、離れようとしても上手くいかず
―――かと言って、どうすればいいのかも分からず。
途方に暮れるように、涙がこぼれ落ちていく。
「自分勝手、すぎでしょ…」
「…そう、だな」
半分諦めるように、その場で静かに泣いた。
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「自分勝手で、ごめん」
「…」
話す許可していないが、
ケレスはバツが悪そうに話し始めた。
「あの時も、今も…火星のこと、傷つけた。
でも、火星のことを守りたかった」
「…どういう、意味ですか」
何も話したくないので黙っていたが、
思わぬ言葉に反応してしまう。
「…一生言うつもりもなかった。このまま俺の事、嫌いに、
いや…軽蔑してくれたらと思ったから」
「…」
「でも、後悔してる。
あの時から、ずっと。今も。何もかも…
もう少し、…うまく危険から逃れる術はあったのにな」
「…え」
さっきからずっと言っている意味が分からず、困惑する。
「…危険、ってどういうことですか」
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