6.足りない心を埋めてあげたい①
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地球side
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最近、火星が元気がない。
―――それもそのはず。
あんな出来事があれば、気分も落ち込むだろうと思っていた。
「…?」
だけど数日間、火星を見かける度に
落ち込むというより、悩んでいる感じにも見えた。
(親しかったら事情、聞けたんだろうな…)
生徒会でも、やはり火星はそんな感じだった。
しかし、あいにく水星ようなフレンドリーな感じで
聞き出せるようなコミュニケーションスキルは、持ち合わせていない。
(こういう時に限って水星は、追試でこの場には居ないし)
近くにいる金星も、火星の様子に「何かあったのか?」
と察しているようだったが、聞けないようであった。
「…」
―――俺は火星のことを意識して束の間、
別の意味でどう接していいかわからない状態だった。
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翌日の放課後。
地球はこの状況をどうにかしたいと思い、
ある場所に足を運んだ。
(ここには来たものの…果たしているのか?)
軽音部の部室前。
先日火星の過去を話してくれた、
あの男にもう一度会おうと思ったのだ。
ただ、そんな都合よく男がいるはずもなく。
(…会えるわけ、ないか)
あの時も、たまたま通りかかったのだろう。
そう思い、帰ろうとした時だった。
「あれ~?
あの時の ”純情”くん、じゃん~」
なんと、都合よく現れてくれた。
「なにそれ、俺のこと?」
「ほかに誰がいんの?」
「…」
相変わらずニヤニヤしながら話しかけてくる男に
心底うざいと思いながらも、尋ねる。
「アンタ、今時間ある?」
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男は、部室の鍵を開けて中に入れば?と促してくれた。
そこで初めて、軽音部の部員だったことに気づく。
(だからあんなに、火星の過去に詳しかったのか…)
「驚いた、火星じゃなくて俺に用事?」
「…」
男は近くにある椅子に座り、
前と同じように座るように伝えてきたが断る。
「はいはい、そんな睨むなって~」
お~怖い怖い、とわざとらしく言いながらも、
話は聞いてくれる様子なので、単刀直入に話した。
「火星が…元気ない。
でも落ち込んでいるというより、悩んでいる感じだった」
「…それで?」
真面目に話すと、目の前に座っている男は
先ほどのおちゃらけた感じではなく真剣な表情で聞き返す。
「どうにかしたい」
「…どうにかしたい、ねぇ~」
少しフッと笑ったように見えたが、
男はまた真剣な表情になる。
「火星に、どうしてほしいの?」
俺は今の状況を『どうにかしたい』とは思って聞きに来たが、
そこまでは考えていなかった。
(…どうしてほしい、か)
いつもの火星に戻ってほしい、と一瞬考えたが
普段の火星を思い返す。
(いつもの火星って、なんだ?)
「ん?どうした~?」
「いや…」
返答がなく、聞き返しても言葉を濁す様子に
苦笑いした男は地球の額に中指で勢いよく弾いた。
「~~~痛っ!」
「難しく考えすぎ(笑)」
「アンタが…!変な質問するからだろ…!」
「え~?そんなことないでしょ」
再度ニヤニヤしながら話す男に、
いきなりデコピンをされ腹立ちつつも
答えられない自分にも腹が立っていた。
(火星に、どうしてほしいか、なんて…)
「ただ、俺は火星が悩んでいるなら…力になりたい」
正直、今まで他人に興味なかった俺が言うのは
傍から見たら説得力がないかもしれない。
「俺は、もし火星が…
一人で抱え込んでいるなら支えたいと思っている」
でもこれ以上、火星が元気がない状態を
見ていたくはなかったのだ。
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