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惑星サイダー  作者: あろ
地球と火星のお話
15/18

6.足りない心を埋めてあげたい①

━━━━━━━━━━━━━━━━━


地球side


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最近、火星が元気がない。


―――それもそのはず。

あんな出来事があれば、気分も落ち込むだろうと思っていた。



「…?」



だけど数日間、火星を見かける度に

落ち込むというより、悩んでいる感じにも見えた。



(親しかったら事情、聞けたんだろうな…)



生徒会でも、やはり火星はそんな感じだった。


しかし、あいにく水星ようなフレンドリーな感じで

聞き出せるようなコミュニケーションスキルは、持ち合わせていない。



(こういう時に限って水星は、追試でこの場には居ないし)



近くにいる金星も、火星の様子に「何かあったのか?」

と察しているようだったが、聞けないようであった。



「…」



―――俺は火星のことを意識して束の間、

別の意味でどう接していいかわからない状態だった。



━━━━━━━━━━━━━━━━━



翌日の放課後。


地球はこの状況をどうにかしたいと思い、

ある場所に足を運んだ。



(ここには来たものの…果たしているのか?)




軽音部の部室前。


先日火星の過去を話してくれた、

あの男にもう一度会おうと思ったのだ。



ただ、そんな都合よく男がいるはずもなく。



(…会えるわけ、ないか)



あの時も、たまたま通りかかったのだろう。

そう思い、帰ろうとした時だった。



「あれ~?



 あの時の ”純情”くん、じゃん~」



なんと、都合よく現れてくれた。




「なにそれ、俺のこと?」


「ほかに誰がいんの?」


「…」


相変わらずニヤニヤしながら話しかけてくる男に

心底うざいと思いながらも、尋ねる。




「アンタ、今時間ある?」




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男は、部室の鍵を開けて中に入れば?と促してくれた。

そこで初めて、軽音部の部員だったことに気づく。



(だからあんなに、火星の過去に詳しかったのか…)



「驚いた、火星じゃなくて俺に用事?」


「…」


男は近くにある椅子に座り、

前と同じように座るように伝えてきたが断る。



「はいはい、そんな睨むなって~」



お~怖い怖い、とわざとらしく言いながらも、

話は聞いてくれる様子なので、単刀直入に話した。



「火星が…元気ない。

 でも落ち込んでいるというより、悩んでいる感じだった」


「…それで?」


真面目に話すと、目の前に座っている男は

先ほどのおちゃらけた感じではなく真剣な表情で聞き返す。



「どうにかしたい」


「…どうにかしたい、ねぇ~」



少しフッと笑ったように見えたが、

男はまた真剣な表情になる。



「火星に、どうしてほしいの?」



俺は今の状況を『どうにかしたい』とは思って聞きに来たが、

そこまでは考えていなかった。




(…どうしてほしい、か)




いつもの火星に戻ってほしい、と一瞬考えたが

普段の火星を思い返す。




()()()()()()って、なんだ?)




「ん?どうした~?」


「いや…」



返答がなく、聞き返しても言葉を濁す様子に

苦笑いした男は地球の額に中指で勢いよく弾いた。




「~~~痛っ!」


「難しく考えすぎ(笑)」


「アンタが…!変な質問するからだろ…!」


「え~?そんなことないでしょ」





再度ニヤニヤしながら話す男に、

いきなりデコピンをされ腹立ちつつも


答えられない自分にも腹が立っていた。






(火星に、どうしてほしいか、なんて…)





「ただ、俺は火星が悩んでいるなら…力になりたい」



正直、今まで他人に興味なかった俺が言うのは

傍から見たら説得力がないかもしれない。



「俺は、もし火星が…

 一人で抱え込んでいるなら支えたいと思っている」



でもこれ以上、火星が元気がない状態を

見ていたくはなかったのだ。



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