5.目を焼いたのは君という光①
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地球side
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いきなり現れた男の後を、ついていく地球。
男が足を止めた場所は、屋上前のドア付近だった。
屋上はどうやら閉まっていて、中に入れないらしい。
軽音部などの部室のある校舎は、地球の教室とは別で離れており
部活をしない人間には本来行くことはない所だった。
そのため地球は、この校舎の階段さえ登ったことはなく
屋上自体使用ができない、ということも初めて知った。
屋上ドア入口付近は踊り場のようになっており、
そこによっこらせ、と言いながら腰掛ける男。
地球は目の前に立ったまま、男に尋ねる。
「それで、ここまで連れてきてどうするつもり…」
「別に、何も?」
「は?」
とぼけるように話す、目の前の男。
(場が悪い、と言って連れてきたの誰だよ…)
男は誰だか知らないうえに、何で自分がこんな場所に
連れてこられたかもよく分からない。
「あそこにお前がずっと居たら居たで、
俺としては面白かったから良かったけど」
「…」
しかし、あのままあの場所にいたら動悸が止まらず、
どうすればいいのか分からないまま立ち尽くすしかなかったので、
結果的にはあの場から、離れられて良かったのだが。
「というより、お前は火星の知り合いなの?」
「それ…アンタに言わないと、いけないわけ?」
そもそもこの男は一体誰なのか、
火星との関係性は何なのか、を
自分から一切話そうとしないため、
『なんで俺が先に話さないといけないのか』と地球はムッとした。
「…言わないと、
何で火星があんな感じだったか、言わねぇよ?」
「…」
半分脅しのような口調で話す男に
地球は深くため息をついて、渋々答える。
「…一応、生徒会で知り合い」
「ふ~ん。なるほど、ね~。
じゃあ、1年前のことは知らないわけか~」
「1年前?」
「そう、火星の過去」
男は遠く見るような目で、目線を反らし
物思いにふけるような表情を一瞬したが
すぐに地球に視線を戻して、問いかける。
「…知りたいか?」
目の前の男はニヤニヤしながら、地球の顔を覗き込む。
「…それって、火星の許可なしに聞いていいやつ?」
「いや~、どうだろうね?」
「…」
火星の過去のプライベートの話を
本人の口からではなく、他人の口から聞くなんて、
火星に対して失礼じゃないのか、と感じた。
「気になるんだろ?火星のこと。
だから、あそこにいたんじゃねの?」
「…」
たまたま通りかかり、
火星の声と音がしたから駆けつけただけだが、
訂正するのが面倒くさいし、
正直なところ実際に気になっていたのは事実だったので、
地球は黙っていた。
「せっかく俺が教えてあげようとしてるんだから、
素直に聞いたら~?」
男の話し方にイラっとするが、
確かに興味がないわけではない。
でもそこまで仲が良いわけでもないのに
聞いていい内容なのかも、正直分からないでいた。
「で、どうすんの?
聞くの?聞かないの?」
あまりにも何も言わずにいる地球に、
男はさらに追い込むように尋ねる。
地球は改めて深くため息をつき、
考えるのを諦めた。
「聞く。
…けど、今から話す内容を俺がお前から聞いたって、
絶対、火星にいうなよ」
明らかに口が軽そうな男なので、釘を刺す。
そうでもしないと、
後から俺に話したといった事実を何食わぬ顔で、
火星に言いそうな気がしてならなかったからだ。
そもそも自分の知らないところで、
過去の自分の話をされるなんて思いもしないだろう。
しかもそれを話されたと知ったら、
火星はきっと嫌だろうと、地球は思った。
「しょうがねぇなぁ。
火星には今日のこと内緒にしてやるよ」
でも、本当かどうかも分からない話だとしても
『火星の過去が知りたい』と純粋に思ってしまったのだ。
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