一家団欒を、守りたくて
今度はみんなにんげんです。
助産師が、ベビードレスを着せている。
「かわいらしい双子の坊っちゃんですよ」
双子。区別つくかな、とちょっと不安になる。
最初に目に入ったのは、金と焦げ茶の小さな頭。
良かった、分かりやすい。
そう思って、ふと言ってしまった。
「ブロンドって、誰に似たのかね。」
色が違うのは二卵性双生児ならわかる。でも俺も奥さんも焦げ茶のダークブロンドだし、ブロンドはどこから来たのか。
「まさか、他にいたりして?」
「は?」ヤバい。虎の尾を踏んだ。
☆☆☆
一ヶ月経つというのに、奥さんの機嫌は垂直レベルで斜めである。赤子に向ける笑顔の、1/100くらいはこちらに向けてほしい。
「あらあら、ひいおばあさんの色だわぁ」孫を見に来た母の声だ。しまった、ウチの血筋だったか。
「それじゃあ、またね〜」と母は呑気に帰っていった。
ぞわり。背後に奥さんの気配が立った。
「そこに直れ。」
振り返れば、笑顔のこめかみに青筋が見える。
これは怖い。
「ハイ」大人しく、膝をつくことにした。
「ワタシは、」右足が引かれる。両手はこちらへ。
「貴方以外、」俺の頭をホールドして上半身をひねる。
「知りま!」額に迫る膝。ひぇ。
「せん!!!」ごっ。
なかなかどうして、良い膝蹴りだった。
反動で天井を仰ぎながら思う。
一発で済ませてもらえるのだろうか。
先に産まれたということで、ダークブロンドの方が兄、金髪が弟ということになった。
育って見れば、ずいぶんと違う2人。読書が好きでインドア派の兄に対して、弟はゴリゴリの肉体派。どちらもお互い「アイツを助けられるように」と、長所を伸ばしてきた結果らしい。
時は19世紀。
何も知らないまま、俺達の未来は明るいと信じていた。
☆☆☆
2人がこの世に産まれて20年後。
衛生兵として行方をくらませた俺を探すのだと。
強く優しく育った2人の姿は。
セヴァストーポリの塹壕の中にあった。
このあと2人共、包囲戦終結間際まで塹壕で頑張りますが、兄貴を庇って弟が被弾、その勢いに装備品の重さを乗せて兄貴を押し倒し、その足をへし折ります。
衛生兵!衛生兵ー!と呼ばれて出てきたのが親父(俺)。忙しすぎて手紙も出せてないだけでした。
弟は鍛え上げた筋肉のおかげで無事でした。
そのまま3人まとめて後方に送られて終戦を迎え、めでたく帰宅となりました。
涙腺崩壊した奥さん(定期)にポカポカ叩かれたあと、まとめてハグされる感じで。
Happy, ever after.




