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第八話 期待は苦手

ギルドにてSランクという言葉を受けた。完全にショックである。

「Sランクですか?」

「は、はい……私、初めて見ました。」

 その記念は僕じゃなくてもいいと思うんだが。

 十七歳、北条理人。運動神経も頭も大してよくない、自己中心的な僕が”異世界転移したらSランクでした”って誰が信じるだろうか。僕だったら絶対信じない。というか信じたくない。

「すごいですね……。」

「いや、間違いじゃありませんか?あの、パーって光ったりしないんですか?」

 僕は一つ疑問だった。このスタッフさんがただ大げさにおどろいているだけで、本当はSランクなんて大したことがないのかもしれない。謎にふんぞり返りながら回答を待った。


「いえ……そんなことはありませんが。」

 残念ながら違ったようだ。しかし、スタッフさんはそのあとに言葉をつづけた。

「しかし、それは今のランクではありません。」

「……ん?」

「”期待値”といいまして、最大Sランクになる可能性があるという意味ですよ。ただ、今のランクはEにも満たないので頑張ってくださいね。」

 痛いところをつかれたな、と思いつつ僕はほっとしていた。なぜかって?それは結論であって今成長してもすぐにSランクになるとは限らないからだ。さすがに一レベ上がっただけでSランクになるのなら、どこかでフラグが立ちすぎている証拠である。

 とは言え、珍しいという話もあるわけだから気をつけないといけない。僕はそんな気持ちを胸に、その部屋を出ていった。


 案の定、みんな僕の結果を気にしているようでソワソワしている。

「どう…だったの?」

 ルマがそう尋ねてきた。アンナもケイルも、腕を組んでこちらを見るレオンもみんな待っている。そんな様子に創作者はこう思う。

 うわ、サプライズしてぇ……と。告知があったら皆が沸くみたいに、僕ら作る側もドキドキハラハラしながら何かを企んでいるのではないだろうか。意外と裏方も楽しいものである。

 さて、どう伝えよう。

 僕が考えたシナリオは三つだ。

 一 素直に言う。

 二 大げさに言う。

 三 悲劇的に言う。

 僕に似合うのは確かに一だ。だが、三もいいかもしれない。二はちょっと勇気がいるけれど。ここにセーブポイントがあるなら間違いなくすべての選択肢をとるけれど僕はそれをしなかった。

 選んだのは……。


「僕、Eランクでした。」

 三に近く、一みたいな選択肢四である。

 みんなは肩を落とした。落胆だ、分かりやすいほどにみんながっかりしている。

「異世界人ってすげぇ能力とか使うんじゃないのか?」

「そうよ。チートスキル?というやつでしょ?」

 僕はその会話を小耳に挟みつつ思う。……どこ知識ですか?それ。それでも、みんながっかりしても言わないことがある。


 出ていけ

 無能め

 役立たず。

 とかね。


 間接的なものはいうけど、僕にきかないダメージだった。それがどれだけ助かるかを彼らは知っているのだろうか。ケイルがバンバンと強めに背中をたたいてくる。

「まぁまぁ、気にすんな。俺等が守ってやるかよ?ちゃんと育成しろよ?」

「はい……。」

 変なタイミングで返事してしまったが良かったのだろうか。みんなを育成するほうがよっぽど難しいのではないかと改めて思うのだった。




 ギルドの登録が終わりいよいよ、依頼を決めるときが来た。僕はしばらく後ろで様子を見ていだがレオンに声をかけられた。

「どれにする?創作者。」

「……僕が決めるんですか?」

「当たり前だろ。ほかに誰が決める?」

 いやいや、基準とかわからないけど。とりあえず眺めることにした。コルクボードに貼られる数多の依頼書はどれも目を引かれる内容だ。難易度の低いものは薬草採取や、キノコ採取。素材採取系である。たいていはこれから始めるべきなんだろうけどなんせ僕はもともとBランクのパーティにいるわけだ。だから、初っ端からモンスター退治も視野に入れないといけない。


「これはどうですか?」


 僕が選んだのは無難なダンジョン攻略。ここには色んな物語が詰まっているだろう。


 例えば、無理難題を強いられる罠たち。それの対処には頭を悩ませるだろう。


 次にボス。それを攻略するまでに、何人ものの先駆者がそのダンジョンを攻略してきたのだ。その事実を知ると意外にもワクワクするものだ。


 最後にきっと皆が考えていることだ。お宝。宝箱を見てワクワクしない人を見たことがない。大富豪でもきっと目の色を変えて近づくだろう。そんなものを逃す人はおるまい。そんな感じで僕はそこに決めた。

「どうですか??」

 二度目の質問である。何のためらいもない言葉。なんて、きれいなんだ。僕そんな事を考えているとレオンがポンと僕の頭に手を乗っけていう。

「いいな。決まり。」

 ワシャワシャと撫でるわけもなくただ置かれたその手。ゴツゴツとしている分け目もなければ、繊細というわけでもない。ただただたくましい手だった。


「よし、お前ら。明日はダンジョン攻略をするぞ。今日はその準備と軽めに食事を食べて就寝だ。」


『はい、リーダー。』


謎に息ぴったりで彼らは共にカウンターに進んでいく。僕はそれを雛鳥のようについていくだけ。自分の意志はあるのかないのかは定かではないが、満足している。

それが、北条理人という人物だ。

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