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第六話 いきなり始まるファッションショー

ギルドに行く前に、服を調達しに行くことになった僕たちは服屋の前にいた。……しかし、耳を疑うこの僕を"イケメン"などと言うのだから。

 店の中は意外にもこちらの世界とにていた。入ってすぐ目玉商品。壁際に並ぶのはシリーズもの。そして異世界ならではの鎧が一点だけそこに佇んでいて物々しさを放っていた。

「てんしゅ〜。」

 ケイルが馴れ馴れしく店主を呼ぶと奥から、しわくちゃな爺さんがやってきた。白いひげを伸ばしに伸ばして床につきそうだ。……不衛生とまではいかないけど、たぶん不便じゃないか?

 そう思っているとその店主がこちらにやってきた。甘い酒の匂いがする。

「おお……見たことない若者じゃな。」

「はい。」

「うんうん……元気でよろしい。」

 その返事に元気要素は一ミリもないと思うぞ爺さん。そう思っているといきなり腕を広げられた。油断していたというわけじゃない。爺さんは意外と凄腕のようだ。

 ざっと、ウエストサイズ?とかを測られて何着か持ってきている。全部僕にぴったりか誤差はあれどちょうどいいものだった。それはもう、スゴ技だった。


 目の前に並べられた服たちは今か今かと選ばれることを心待ちにしている。だが、ここで一つ問題が。僕は大のセンスがない男だ。創作するときも服なんて後回しにしがちだ。一番もったいないと自覚はしている、そしてそのせいで持てないことも知っている。だが、別にどうでもいい。

 ドヤ顔をしている暇はない。今からとの服を買うのかの話し合いと、ついでにそろそろあのノートに書いたイベントが発生するだろうから。メタとか言うなよ?そういう世界なんだから。一番メタを感じてるのは僕だから。


「それじゃあまず私から行くね。」


 アンナが、山のように積み重なる服の中から手ごろな黒とグレーベースの冒険服を僕の前に当てた。僕はマネキンじゃないぞ、言っておくけど。


 みんな意外にも好印象だったのか「おー。」という曖昧な反応をした。


「これは確定ね。あともう二着欲しいでしょ?」

「ああ。そのほうが安心だろう。」


 なんとも、頼もしい人たちだ。服に興味がない僕に向けていろんな服やものを準備してくれる。これが、助かる〜というやつだろう。しばらくみんなの服の組み合わせを試すマネキンとかしたのは言うまでもない。


「これとかどう?」


 ルマが当ててきたのは派手な桃色の冒険服。見事な蛍光色である。みんな善りの句で否定してくれなかったら危うく決定してしまうところだった。


「これはどうだ。」


 ケイルが当ててきたのはゴテゴテのとげとげしい冒険服。肩や肘など、余計な場所までアクセサリー程度についている。正直邪魔だし僕のキャラには合わないだろう。それは、アンナが全力却下した。


「……ん。」

 短い返事でレオンが当ててきたのは、シンプルめの冒険服。先ほどの黒やグレーベースと違い、紺色だ。まぁ、僕には良しあしがわからない。アンナがそれを見てあごに手を当てて考える。


「わたし的に創作者くんは緑なのよ。紺色もいいけど。」

「わかるぜ。なんか、自然!って感じ。」


 それ褒めてる?と思うのは僕だけだろうか。そんな感じでしばらく僕だけのファッションショーが続けられた。




 結局、あの紺色は購入し、ついでに緑っぽいのも入手した。僕は計四着持っているというわけだ。ついでに下着も買ってもらった。謎に細かいシステムである。

「さて。着替え終えたし、ギルドに向かうぞ。」

「えぇ〜。お腹すいたしご飯にしようぜ?」

 大の大人のケイルが駄々をこねている。今の時刻はざっと午後一時過ぎ。太陽が上から僕らを見下ろしていた。若干熱くて厄介である。


 レオンはケイルの言葉を受けてため息をつく。

「仕方ない。行くぞ。」

「おっ。さっすがリーダーノリいい〜。」

「ええそうね。いきましょ。」

「今度はナポリタン食べる。」

 息がいいのか悪いのか。みんなで今度はご飯を食べに行くらしい。さて、そろそろ例のイベントがやってくるだろう。


 そう思っていたその時だった。

「うわぁぁぁん!!」

 どこからともなく鳴き声が聞こえる。みんなの視線は流れるようにその声の方向を向く。声の主は子供。指をさしている。


「僕のぼうしがぁ…!!」


 必殺、帽子が謎の風で木に引っかかるイベントだ。これは良心だけでなく魔法の制御や、身体能力をみることができる。……と僕は思っている。四人はじっとそれを見ていた。


「ありゃ、木登りじゃあきついな。ルマ、魔法使えるか?」


 このパーティの魔法使いはルマ。いい判断だと思う。ルマは杖を構えて目を細める。

「んー……もう少し近づかないときついかも。レオンおんぶ。」

「はいはい……。」

 すると、レオンはその場にしゃがみルマを背中に乗せた。はたから見たら兄弟のように見える。そのまま立ち上がるとルマが杖を構えた。


「僕、いっくよ〜。」

 子供に声をかけると魔法を発動する。基礎的な風魔法だ。帽子を優しくつつみ込みゆっくり子供の前に降りてくる。グスンと鳴いていた子供はそれを受け取って泣くのをやめた。

 ぱあっと笑みを浮かべてペコリとお辞儀をする。なんとも、分かりやすいやつだ。


 レオンはルマを降ろしながらため息をつく。

「お前、おもんないな。」

「……失礼ですね。僕は調査してたんですよ。皆さんが優しい方かどうかを。」

 僕がそう言うと、レオンはじーっとこちらを見ている。疑っているようだ。だが、一つ言いたい。無茶振りをしているのはそちらだよと。

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