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第二十二話 お化けもどき退治

ホラーみたいな敵が、僕らの依頼先に現れた。ノートには何も書いていないはずなんだけど……いや、これこそ魔王城へ行くヒントなのだろうか。

 屋敷内にいる、大きな魔物。どろどろと黒い液体が垂れており、まだホラー感を増していた。


 ええと、突破法は二つ考えてはいるが、どちらも現実的ではない。でも、一つ思い出した。


「レオンさん。」

「あ?なんだ。創作者。」


 レオンはやや不機嫌そうに言う。おそらくだが、依頼を魔物によって中断されたことに怒っている。もしくは、被害を受けなかった僕に対して文句があるのか。


 まあ、不機嫌だというのは変わりがない。


「レオンさんって、すでに勇者の力みたいのは使えるのですか?」


 ピクリとレオンの眉が動いた。少し考えたのち小さくうなずく。ーービンゴ。つまり、その力を使えば、あの魔物を退治できるのではないか。


「ああいう、お化け魔物には”光”が弱点なんですよね?なら、聖なる力でも可能だと思うのです。どうですか、ルマさん?」


 魔法使いに聞けばいいだろうという意味で、後ろでおびえているルマに声をかけた。ルマはびくりと体を固める。


「う、うん……たぶん行けると思う。」

「とりあえず、試してみませんか?それなら、建物を壊さなくとも攻撃が通ると思います。」


 そのアイデアが意外にも好評だったというより、ある程度の”こいつの言うことは大抵当たっているだろう”という予測の元、みんなは賛成した。


「リーダー、頼んだぜ?」


 ケイルが歯を見せながらにこっと笑っている。レオンはまだ不機嫌そうに廃墟に向かった。左手には剣。まだ、政権ではないが、かなり使いこなされた一級品だ。


「いくぞ。」


 そういうなり、胸の前に剣を構えた。そのままレオンは高々と剣を掲げる。


 そして、次の瞬間だった。


 その剣が避雷針になるかのように、空高くから光の柱が、レオンに突き刺さる。比喩であるため実際に刺さっているわけではないが。それはじわじわと範囲を広げていき、半径十メートルほどになった。

 最終的に剣にオーラがまとうようになり、レオンは剣を下ろした。


 そしてそのまま切りつけた。音もなく、レオンが切り終わった姿勢がパッと最後に見えるだろう。あの魔物の切り傷からはぽたぽたと黒い液体が漏れていた。


 どうやら有効的らしい。レオンは小さく息を吐くと、もう一度構えた。


「今度は効果力で行く。一応、衝撃に備えろ。」


 そう宣言して、勇者の力をこめ始めた。先ほどの倍以上の範囲が黄色なのか、白色なのかわからない色で光始めた。

 怒りに震える魔物は雄たけびを上げていた。衝撃派で、まだむしり終えていない草が揺れている。森の木々が震えるように左右に揺れた。


 それでもレオンは構え続けた。流石このパーティのリーダーなだけはある。その背中はとても勇ましかった。


 再度、剣にその力を纏い切りつける。今度は深くまで刺さったのか、魔物がのけぞるように倒れていく。


 あっけない戦闘終了……かに思えた。しかし、レオンが剣を構えなおす。


「お前ら!ケイルの後ろに隠れろ!!」


 切羽詰まった彼の声を僕は初めて聞いたかもしれない。指示を聞いたケイルは前に出て、僕らをかばうように盾を構えた。


「しっかり隠れておけよ。みんな。」


 レオンもこちらにかけてくる。一体何なのだろうか。そう思っていたら、それは発生した。


 館から無数のスライムが散っていく。……この世界のモンスターはスライムしかいないのだろうか。だが、いつもと違う高価だった。そのスライムに触れた草木、花は即座に枯れた。ケイルで守られていなければ、どうなっていたかわからないほどの量がなだれ込んでくる。あの大きな魔物はスライムの集合体だったということが分かった。

 それでもホラーよりの生き物だったと思う。


 そんな不思議な時間が数分続いた。




 数分後。ようやく勢いは収まったが、懸念点が一つ。みんなは廃墟を見て言葉を失っていた。


 黒いスライムの残骸が廃墟にへばりついているのだ。余計、洗うのが大変になってしまった。


「……。」

「あーあ、三日コースだな、こりゃ。」


 ケイルが困ったように頭をかいた。確かに困った話である。依頼を断るにしろ、この状態でほかの人に任せたところでいつまでたってもきれいにならないだろう。


 はあ、僕も手伝うのだろうか?


「おとなしく、水魔法を使うしかなさそうだね……。」


 ルマが小さくそうぼやいた。みんなもため息交じりにうなずく。べちゃべちゃで、真っ黒なスライムの残骸。それを片付けるには何時間必要なのだろうか。


 ふと、アンナが口元に手を当ててわなわな震える。


「まって、私たちの荷物大丈夫かしら?」

「あー……。」


 レオンが困ったという風に目をそらす。みんなの荷物は室内にある。だから、場合によってはスライムを浴びている可能性があるというわけだ。


 みんな、スライムをよけながら自分の荷物の前に行く。一回担当のケイルとアンナが嘆いていた。


「うわ、べちゃべちゃだ。」

「よかった……外側だけね。」


 全然よくはないんだが。二階担当のレオンとルマは無事だったようだ。


「問題ない。」

「僕も。」


 ケイルとアンナは恨めしそうに彼らを見ていた。もっと恨まれるべき人間は僕だと思うが。

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