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第二十一話  平和でない、廃墟清掃

僕らは、互いに向き合う形で役割を決めることになった。棒倒しで。そして、結果が決まった。

 森の静かな風を浴びながら、みんなで向かい合う形で運任せの役割が決まった。


 そして結果。


「じゃあ、リヒトくん。草むしりは任せたよ。」


 みんなぞろぞろと屋敷の中に入っていく。案の定、一人になってしまった。まあ、中に行かなくて正解かもしれない。

 暑苦しい、季節で言えば夏。木漏れ日をみながらの草むしり。うん、全然異世界っぽくない。というか、この依頼自体、なんだかボランティアみたいで冒険とはまるで思えない。ここが終わったら本当に街につくのだろうか。


 それはさておき、依頼だ依頼。まるで社会人になったみたいな気分だ。一本、二本と雑草を抜いていく。意外とあっさり抜けるようで安心した。


 それはさておき、今日書いたメモ。実は街を見つけることだけではなくもう一つ。月一の魔王への道を示しすように書いてみた。今回は手始めに、手記が見つかるものにしたけど一体中身はどうなるのだろうか。というか、世界線がまともに決まっていないのに魔王城はあるのか。


 そういうものを確かめるために書いた。まあ、なくても書けばできるのだから困ることは特にない。きっとレオンたちが見つけてくれるだろう、この館の清掃中に。そんなのんきなことを考えていた。


 数十分後。山盛りになった草の束を見つめながらのんびりしていたその時だ。どたどたと階段を駆け下りる音がした。


「お化け~!!」


 ルマが泣きながら飛び出し、僕の背中にすがるように隠れた。え、”お化け”。そう思っていると、みんなぞろぞろと降りてくるではないか。嘘だろ、本当に出たのか?


「違うぞ、ルマ。魔物だ魔物!」


 ケイルがそう叫びながら僕らを守るために盾を構えた。ああ、何だ魔物か。そうおもっていたが、出てきたのはそんなかわいらしいものではなかった。


 最後にレオンとアンナが同時に出てきて安堵していた次の瞬間。


 グアアアアア。


 唸り声とともに、黒い手、ドロドロと溶けるスライムみたいな、人間みたいなとにかく気味が悪いやつ。それが三メートルぐらいの大きさで入り口をふさいでいる。


 ええっと、ここはダークファンタジーだったっけ?完全に子供が見たら夢に出てきそうなフォルムである。どおりでルマがおびえるわけだ。


 それをお化けと呼んでもいいぐらいには恐ろしい存在である。


「こいつ、今までの魔物と桁違いだ。」


 レオンが言った。あのレオンが、桁違いだと。唸り声をあげる魔物は廃墟から出てくる気配こそないが、威圧感が半端ない。本当にやばそうである。あれが、ノートに書いた魔王城へのヒントなのか。


 あるいは、僕すら予知できない物語の変異点なのかは、誰にもわからないだろう。




 僕はへなちょこ投げナイフを構えながら指示をあおる。レオンも判断に迷っているようだが。


「ちなみにどこで出たんですか?」


「それがわからないのよ。気づいたら唸り声が聞こえて、ルマが泣き出して飛び出すからびっくりしたわ。でも、こまったわね。」


 彼女は窓の先を睨むように見上げた。どうやら道具等を置いてきてしまい、このままではあの魔物の胃に入ってしまいかねないらしい。

 それはかなり困るし、想像したくはなかった。絶対無事では済まされないだろう。てか勝てるのだろうか。実力的には問題なさそうだと勝手に思っているが。それでも大きな魔物はこれが初めてである。


「とりあえず。作戦会議だ。あいつはどうやら光に弱いらしい。館から出る気はなさそうだ。」

「光……それって炎で代用できるかな?」

「だめよ!この廃墟は傷一つない状態で依頼完了しないといけないの。この魔物がどんな価値があるかわからない以上、価値を減らすわけにはいかないわ。」


 ごもっとも。だが、命より金を優先するところアンナは肝が据わっているようだった。さて、僕はどうしたらいい。囮といってもここからじゃ、あまり意味がないし、出てこないのなら仕掛けようもない。本当に光を使わないといけないのだろうか。


「とりあえず、日が沈む前までに対策しなくては。館を出てきたら強制戦闘だ。」


 レオンが冷静に言うとみんながじっと魔物を見る。やらなきゃらやられる。どの世界でも同じらしい。


 さて、創作者である僕も一応考えたほうがいいだろうか。ぐしゃぐしゃとまるで幼児が描いたイラストのようなもの。目なのか口なのかわからない白く塗りつぶされたそれが、こちらを射抜いている。


 おいで。

 こっちにおいで。


 本当にお化けのようなセリフを言っているではないか。怖え。お化けならよく言うのは確かに光。そして物理攻撃は効かないという話だ。なら、魔法で戦うしかなさそうである。じゃあ何属性が効くか。光は確定だとして、ほかには何だろう。塩でお化けを撃退できるから、水とかどうなのだろうか?さすがに海までお化けが住み着くわけがない。


 うーん。だが、水浸しにしていいものだろうか。まあ、乾くだろうけど素材自体なら腐るかもしれない。


 そんな予測をしているうちにも一刻と夜がやってくる。タイムリミットは近づいていた。僕らのすぐそこまで。

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