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第二十話 依頼探し

訓練を終えて、一日が過ぎた。次の日。流石にレベルを上げなければいけないということで、新たな依頼を探すことになった。僕はちまちまノートに出来事を刻んでいるが、いつ発動するかはいまだわかっていない。

 着替えを済ませ、朝食を食べ終えた僕たちは何日越しのギルドにやってきていた。順調にあのノートには出来事が刻まれ、僕が書かなくても、勝手に日記のように記されるようになる。現実世界で言う人工知能のようなもので大変助かっていた。


 さて、それはさておき、今日は依頼をこなしに行く。今のところ基礎を固めつつあるから、ここらへんで大戦闘を体験してもいいと思う。僕も、みんなも。実践経験を積んだ方が心境も安定すると思う。うん、完全に自己中心的考え方だけどね。


「さて、どの依頼にするんだ?」


 ケイルが腕を組みながら、みんなに尋ねた。以前は僕の発言により、ダンジョンに決まったが流石に今回は違うだろう。みんなは何を選ぶのだろうか?


 そう思っていると、レオンが言う。


「そろそろ別の街に移動してもいいと思うんだ。なぁ、創作者。書いてくれないか?」

「え?まぁ、いいですけど。要望はあります?」


 ここは、僕の思い通りになる世界。でも、矛盾点がここにある。僕は何も望まない。強いていえば主人公たちが楽しく冒険できるのならなんだっていい。自分の人生なんて、そんなものだ。


「すこし、歩きたい気分だ。」

「わかりました、遠方にしておきます。」


 それと、ここ数日で気づいたことがある。滞在すればするほど、細部が見やすくなるのだ。芸術品だったり、果物はおいしそうに。それから、高台に行ったときに見渡す景色が本当に綺麗だ。色とりどりの街並みが広がり、遠くの山が綺麗に連なっている……とまぁ、物語の具体性を求めるのなら時間を使うしかないということだろう。


 とりあえず、ノートに書いておく。


【数時間後、彼らは依頼を終えると新たな街を見つけた。】


 よし。どういう街なのかは、この世界にお任せするとして、まだ依頼を決めていない。さっさと決めないと、数時間が数日になってしまう。


 僕らは再度、依頼書の張られた掲示板を眺めていた。




 まあ、たむろしていても、一方に決まらないもので緊急依頼はないかと探すことになった。


「どれも高ランク対象ね。私たちはともかく、ひよっこのリヒトにはきつい話よ。」


 そういえば、最近アンナが僕のことを”リヒト”と呼んでくれるようになった。なんとも、嬉しいのか恥ずかしいのかわからない限りである。なんていったって、馬鹿にされているからな。この、実力主義者の世界め。これからも続けてほしいものだ。


「あ、これとかどう?廃墟の清掃!」


 そこにはこう書かれている。


 ナムレル鉱山の近くに建てられている廃墟。住む人がいないため、掃除して売ろうと思っているらしい。緊急依頼ではないものの、あまりの家の広さゆえにこの紙が出回ることはあまりないようだ。


「いいんじゃないか?これならリヒトにもできるだろう。」

「ああ。俺もいいと思う。」


 皆、賛成の傾向を見せた。……一人を除いて。ルマは恐る恐るといった様子で口を開いた。


「お化け、出ないよね?」

「ああ……」


 ケイルが言葉を濁した。そうか、お化けが怖いのか。


「なら、日中に行くのはどうでしょう?お化けは、日中に出ないのが一般常識です。こちらの世界では。この世界が僕の思考回路ならば、出ないはずです。」


 そう。この世界は元は僕が作り出した世界だ。だからところどころに僕の思考が埋め込まれている。だから、小学生の頃の僕は常識外の行動をとらないはずだと。


 まあ、出ても出なくても、僕はわくわくするので問題はない。


「じゃあ、お昼につくように……いこ?」

「わかったわ。リーダー、それでいいわね?」


 アンナが、レオンに許可を得た。コクリとうなずく。


「今日行くか?なら、馬車を手配しよう。」

「おう!いいな、それ!」


 ケイルがなんだか楽しそうだ。そういえば、訓練の合間の時間で言っていた気がする。馬が好きだと。


 そういうことで今日のプランが決まった。




 馬車に揺られること一時間。ようやく、目的地のお屋敷の登場だ。ツタが巻き付いており、草もぼうぼうに生えている。窓ガラスは割れているし、屋根も落ちている個所があった。


 見るからに廃墟の代表格、という顔をしていた。


「ずさんな管理ね。」


 アンナがあきれながらそういう。確かにそうだ。売る予定なら、せめて掃除ぐらいはしないと。蜘蛛の巣がちらほら見得ているし。


「とりあえず。分担するぞ。屋敷の階層は二階まで。だから、二人ずつで担当し、一人は外で草むしりだ。」


 うわあ、どれが来ても絶望しかない。二人きりというのはかなり緊張するし、草むしりは外敵が多い場合がある。落ち着くけど怖い。


「で、どういう分担にするかだが、ここは公平にこれで決めよう。」


 そういって取り出したのは、一本の棒。これをコマのように回した後たおれた人が選ばれるシステム。いわゆる異世界風のルーレットである。


 シンプルすぎて笑えてしまうが、彼らは真顔でそれをやっている。あまりにもシュールだ。


「よし。まずは一階からな。」


 こうして運任せの役割決めが始まった。どうなるかは、神のみぞ知る。

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