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第十八話 地獄の訓練編

武器を調達した僕。みんなに連れられ、訓練場に来た。ああ、大嫌いな運動の時間だと僕はがっかりしている。そして同時に、わんちゃん転生者だからうまく使えないかな?という期待を胸についていった。

 訓練場は、その名の通りずらりと的が並ぶ質素な場所だった。今からあの的にめがけてナイフをなげ、ついでに魔法で戻す作業を覚える。さて、僕の脳と体は何体必要なのだろうか。おそらく倍以上である。


「さて。まずは試しに投げてみよう。」

「え、えと……まず刺さらないと思いますし、そこまで飛ばないと思うのですが?」


 ちゃんと伝えたほうがいいと思い、僕はそう馬鹿正直に言った。アンナは眉を上げる。


「なによ、それくらい把握済みよ。なめないでちょうだい。」


 いや、なめられてるのおそらくこちらなんですけど。まあ、いい。ひとまず他者に攻撃しないようにコントロールするひつようがあるということだ。


 ここで誰かにあててしまえば、投擲する武器が封印されてしまう。ロマンが潰れてしまうというわけだ。それだけは避けたい。


 とりあえず持ってみた。さて、どういう持ち方が正しい?元居た世界でもナイフ投げという競技があるくらいだ。正しい投げ方があるのだろう。


 いや、つべこべ言わずに投げてみよう。がっしり構えて、重心を落とす。ただしい形は後で教えてもらえればいいのだ。そうだ、僕は学んで強くなる。


 僕は何も考えずぶん投げた。

「えいやっ!」

 という情けない声を漏らして。


 投げたナイフはきれいに弧を描くように進んでいく。みんなの視線がそれを追うように動いていた。ちょっとだけねこっぽいと思ってしまったのは黙っておこう。


 そしてそのナイフはといえば……


 カランカラン。見事、的に届かず地面に転がった。僕もみんなも言葉を失っている。それはもう、見るからに的外れな場所に落ちていた。僕が大股でニ・三歩歩けば、拾えそうな距離である。


 そして案の定みんなに言われてしまった。


「下手だな。」

「本当にこれで大丈夫なのかしら?」

「……頑張れ。」

「ま、まあ、筋はあるんじゃあねえのか?」


 そのフォローはあまり、フォローになっていないと思うのだが。まあ、いい。とにかく人に危害を加える前に投げ終えた。


「もう一本やってみろ。」


 レオンがそういい、先ほどよりもちょっとだけ重い普通の投げナイフを渡してきた。くそ、二本買ったのを忘れていたようだ。


 でも、安心してほしい。僕はそこまで馬鹿じゃない。


「いきます。」


 先ほどよりも斜め上をめがけて、弧をもっと遠くの着地地点を狙うように。……というか、投げナイフって弧を描くように投げるのだろうか。あとで聞いてみよう。


 そう思いながら投げた。


 結果はさっきよりもひどかった。


「なんでですか……?」

 情けない、カランカランという金属が地面を転がる音が響いた。僕がそんな疑問を漏らすと、レオンが拾う。


「投げ方はいい。だけど力のかけ方が違う。お前は肩に全力を使っているが、ぶっちゃけ手首だけで解決する。ほらっ。」


 そういって実践してくれた。レオンの投げたナイフは一直線上に的に当たる。しかもど真ん中。見せつけてくれるな。だけど手の動かし方はわかった。僕は根本的に間違っていたらしい。


「なるほど、やってみます!」


 自分から拾いに行き、再度構える。すでに汗はかいていた。

 手首に力をこめるように力は肩ではなく、腕に、手に入れるように。


 そしてぴょいっと投げてみた。すると、どうだろう。先ほどよりも飛距離が伸び、何なら的をかすったではないか。


「おお!」


 思わず声が漏れてしまう。一回教えてもらっただけなのにこんなにも成長するんだと思い知らされた気がする。やっぱり練習って大事なんだな。


 そう思っていると、アンナがにこにこと笑みを浮かべて言う。


「今日はあてるまで返さないわよ?」


 それは脅しでしょうか。それとも、僕に対する決意アップのセリフでしょうか。否、多分両方である。

「……はい。」

 僕はしぶしぶそれに従うのだった。




 しばらく投げていた、何分、何十分、何時間?は大げさだったか。へとへとになった僕は結局一回あてることができ、休憩時間を迎えていた。はっきり言って才能はゼロに等しい。だからこそ、さらなる特訓が必要そうだ。


 そんな時だった。がやがやとほかの訓練者が現れたではないか。確かにここは貸し切りではなく、一時的に独占状態にあっただけだ。僕たちは日陰でのんびり休んでいた。彼らは気づいていないようだが。


「しっかし、最近魔物が活発してきたよな。さっさと魔王討伐してほしいぜ。」


 若者がそういう。すみません、本当に。僕のせいでシナリオはほぼ皆無に等しいんです。だが、僕が申し訳なさそうに思っていたつかの間、周りにいたレオン一同は違う反応を見せていた。


「あいつら、当事者でもないくせに。」

「いいよね。本当。NPCは。」


 おいおい。こいつら小説の設定だけでなく、メインキャラとサブキャラ、モブキャラの区別までついてるのかよ。なんだよ神か。しかし、それどころではない。サブキャラを馬鹿にするという最悪キャラに育った可能性があるのだ。


 創作者としてそれは止めなくてはならない。暴言反対!


 しかし、そんな不安とは裏腹にルマとケイルは言う。


「いいじゃん。僕たちがどうにかすればいい話でしょ?」

「そうだぜ、リーダー。そうかっかすんなよ。」


 意外にも、いや知っていた。彼らは謎に冷静であると。

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