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第十七話 持ち武器を実物で探す

僕が熱で寝込んでいる間に、彼らは僕を鍛えるということを計画しているらしい。運動音痴の僕がどう特訓しても何も起こらないと思うが、どうするつもりなのだろうか。


 ああ、始まってしまった。そう思ったのは寝込んでからの次の日だった。初めてポーション?治療薬を飲んで体が軽くなったのを感じながら数時間後。見事、特訓日が来てしまった。文字というネタバレを食らった僕はなんだかげんなりしていた。


「どうしたのよ創作者。早く武器を選ぶわよ。」

 そしてみんなは、武器を選ばせてきている。僕は何ももてないと思うけど?


 ちなみに言っていたか、言っていないかはわからないがみんなの持ち武器を紹介しよう。


 リーダーレオンは剣。ふつうの剣でのちに勇者の証のついた聖剣を扱うようになるのだろう。


 サブリーダーであるアンナは弓使いだ。常に背負っているがいまだ使っているところを見たことがない。


 かわいい担当のルマは魔法使いということで普通の杖だ。僕の考えたキャラデザが普遍的で、木の枝をふにゃんと曲げたようなデザインである。よく見るやつだ。


 ケイルはタンクらしく、盾を持っている。大きくて亀の甲羅みたいな形だ。


 皆得意不得意を理解しているからこその選択だと思うが、僕にはそれがない。というか作者がそういう設定にしたからその武器を持っている可能性も隠し切れない。でも、様になっていてよかった。


「ねー、どれにするの?」


 しまった。みんなの武器の復習をしていたらみんなの視線が強くなってしまったようだ。

 さて、この僕に何が使えるだろうか。


「ちなみに、皆さんは僕に似合う武器とかわかりますか?」


 その質問にみんなは顔を見合わせる。そして各々考え始めた。こうまじめに考えてくれるのがうれしい。だけど、ないといわれる可能性も踏まえて僕はおとなしくみんなの回答を待った。


「……槍とか?」


 青い目をしたレオンがこちらを見据えてそんなことを言い出した。”槍”。確かに僕が戦闘ゲームをやったときに選びがちな武器である。弓とか槍とか。遠距離からじわじわダメージを与えるのが丁度いいと感じているのだ。


 だが、いざ使うとなれば話は違う。重心のかけ方も、どのタイミングで攻撃を仕掛けるのかという戦略も何もわかっていない。まあ、今から教えてもらえるのかもしれないが。


 そんなことを考えていると、実際に持ってみろと言わんばかりに槍を差し出された。実物はとてもかっこよくて大きい。自分の背丈ぐらいの長さがある。そして先端は鋭くとがっていた。


 受け取ると石でも持っているのか?というぐらいズシリと重みが加わる。気を抜けばそのまま地面に倒れてしまいそうだ。それほど重いし、大きいため持ちづらい。即座にレオンに返却した。


「重くてもてません。」

「相変わらず貧弱だな……。」


 ひどい言われようだが、事実である。筋トレをしなかった自分を恨みたい。


「槍がだめなら、こんなのはどうだ?」


 ケイルが持ってきたのは、短剣だった。レオンが持っている剣の三分の一ほどの大きさである。これなら持ちやすいし、包丁を使う身としては扱いやすいのかもしれない。だが、気になる点が一つ。


「あの、僕近距離戦できないと思うのですが……。」


 そう。リーチが短いと敵の真ん前まで向かわなければいけない。だが、僕はどうだろうか。五十メートル走の順位は後ろから数えたほうが早いだろう。シャトルランは八十回行けていい方だ。というように、運動神経も体力も皆無である。


 だから、前に行けてもざっくり切り刻まれるのがおちだ。


 僕の疑問にルマが答えた。のんびり、のほほーんと。


「投げナイフにしたら?投げる練習だけして、回収魔法を覚えれば使いこなせると思う。」


 皆納得したように「あー」と声をそろえて合図した。投げナイフ?ああ、どこでもやっぱりエイムがものを言うらしい。攻撃力よりも、どれほど魔法や攻撃を相手に与えれるかといった命中率が重要なのだ。確かに、投げ方と回収の仕方さえ覚えたら僕でも手助けできそうだ。果たして、それがうまくいくかはわからないが。


 だが、意外とみんなしっくり来たのか場所を移動し始めた。慌ててついていく。おいおい、僕の武器は投げナイフで決まりかい?最高じゃないかと思いながら足を動かした。




 着いたのは、ありとあらゆるナイフがずらりと並んだお店だった。先ほどとは別店舗である。ナイフというべきか剣というべきかはわからないが、そこには様々な長さの武器が並んでいた。


「さて、よさげな投げナイフを選ぶわよ。」


 アンナがそう意気込むのを皮切りにみんなも実際に手に取って確かめ始めた。これって使う本人である、僕が選ぶべきではないのだろうか。もしくは、おもちゃコーナーで試作品を触る子供の好奇心のようなものなのだろうか。


 悩んでいても仕方がない。役立たずにならないためにも、自分が使えそうなものを探さなくては。僕はとりあえず片っ端から手に取ってみた。


 サンプル品というのはためらわずに触れていい。それにしても小さなナイフでもずっしりと重いことが分かった。おそらく魔法を使ってもいいようにしているのだけど、やはり考えるのと実際に体験するのでは全く感覚が異なる。しばらく見比べたり持ち比べをしていた。




 数分後。ざっくりだが三つまで絞ることができた。投げナイフは形が同じものをいくつかそろえるか、違うものをそろえたりする。だから、ぶっちゃけこの三つを購入するのも一つの手である。


 一つ目は、軽めで遠くまで飛ぶが威力が弱い。だから囮に使うものだ。これで少しだけ視線を逸らすのに使えるかもしれない。


 二つ目は、逆に重くそこまで飛ばないナイフだ。これは極端な話、肩の力のない僕には不向きかもしれないと思っている。ハンドボール投げの記録を僕は思い出したくないほどひどい結果だった。


 三つ目はまあ、どちらの要素も取り入れた万能タイプ。これなら僕も使える自信があると思う。


「さて、どれにするリヒト?」

「じゃあ、これとこれで。」


 僕が選んだのは、一つ目と三つ目である。メイン戦力は他の人に任せてアシストしようと思う。レオンがその判断に満足そうにうなずくとそのまま即購入した。


 意外と武器選び楽しかったなと思いつつ、僕はこの後の地獄を待つのだった。

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