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第十四話 なぞ解きの先には

僕の知識から作られたであろうなぞ解きはあっさり攻略成功できた。お宝とかあるのだろうか。

 皆でぞろぞろと歩き出し、幻の部屋と思わしき先を進む。なんせ、聞いた話だから証明も何もない。だが、創作者の血が騒いでいる。この先には宝があるかさらなる謎が待っていると。


「しっかし、三階層以降いけるのかね?」


 ケイルが腕を組みながらそんなことをぼやいた。まだ、二階層をうろちょろしているからだろう。ちゃんと自覚していていいことだと僕は思った。


 そういや、序盤にアンナさんが二日かけていくって言ってたけど、このダンジョンの構造上なんか探索しきれないと思う。というか、戻るのにも二日かかるのなら、五日目にようやく宿屋に帰れるのだろうか。正直わからない。


 アンナはかしげながら言う。

「なんだか難易度が変わったみたいだから三階層までかもね。」

 まあ、最下層まで行けなくてもいい依頼だったはずだ。無理して十階層まで足を踏み入れる必要がない。


「そうだな!じゃあリーダー。ちゃちゃっとこの先は突破しようぜ!」

「ああ。」


 レオンもほどほどに反応しながら足を動かす。みんなもそれにつられて進む。以外にも廊下は長かったのだ。


 数分後。もう一つ扉が見えてきて、みんなの足が止まった。レオンがコンコンと扉をたたく。


「……普通の扉だな。」

「ええ。そうね。」


 アンナも近づいて、扉をみる。ルマはなんだかワクワクしていた。この先に宝があるのか、あるいは別の謎があるのかと何回目かのナレーションを挟んで、レオンは思いっきり扉を開けた。


 その先には、やはり宝箱がある。見るからに何か入っているかモンスターかだ。しかし、ダンジョンの難易度を底上げした以上、何が起こるかわからない。というか、ここで宝を手にしたら帰るんだろうか?いろんな疑問が飛び交ったが、最終的な選択はキャラクターであるレオン、ケイル、アンナ、ルマの物だ。僕は陰になろう。


「罠チェックするよ。」


 お手製の杖を構えて緑色の光を当てている。まるでサーマルセンサーのように宝箱全体から部屋の隅々まで広がっていく。それにしても魔法ってやっぱり便利なのか不便なのかわからないな。自分では使おうという感覚すらないのだから。


 そして、何の異変もないことを確認したルマ。ぐっと親指を立てている。

「リーダー開けて。怖いから。」

 完全なる押しつけである。お化け屋敷で言う、先に行って~パターンだ。怖がりなのかルマは。


 レオンはやれやれと言わんばかりに肩をすくめると、宝箱に近づいた。ひざまずき、じっと観察している。二重観察とはかなり几帳面すぎるだろう。考えてみてほしい。勇者が勇者の剣を見て罠と疑う場面がどこにあるだろうか。


 そんなバカげた景色はルマの魔法発動時間よりも長かった。

 数分後。ようやく宝箱のふちに手を置いて上に押し開ける。


 なかからは目をつぶりたくなるほど金色の光があふれてきた。いや、演出でよくあるけど実際にあるとは思わないじゃん。僕は目を細めながら尋ねる。


「何があったんですか?」

「……なるほどな。」


 はい、出た。すぐ教えないやつ。わくわくするからやめてほしい。じりじりと近づくと、中には布切れが一枚入っていた。

 俗にいう”宝の地図”である。きたよ、二段階構造。これだから冒険はやめられない。レオンもまた同じような表情をしていた。



 宝の地図をたらいまわしで見ながらふとアンナが言う。

「実物ないの助かるわね。ダンジョン内にある武器は基本持ち帰る前に壊れちゃうもの。」

「そうそう。すぐ割れるからな。創作者がくるまでダンジョン見つけて宝箱から出てきたアイテム、帰るころには破片すら残ってなかったぞ。」


 悲惨なものである。ようやく手にした宝が、見る影もなくなり価値が暴落するなんて。この宝の地図はどうやらダンジョン内ではない、どこかの場所を示している。つまり、価値暴落の可能性が減るというわけだ。これはかなり革命的だろう。


「これはあんたが預かってくれ。」

「え。」


 僕は言葉を失った。この無能にそんなものを託すのか?姫プするつもりかい?おろおろしていると、行き場を失った手にそのまま入れられた。


「お前は荷物係だろう?」


 いや、その設定忠実に守らなくてもいいのだけど。しぶしぶ僕はこくりとうなずくことになった。でも、別に悪い気はしない。荷物係なのだから、当然のことをしたまでだと思うことにしたから。




 そのあとの日程は、この幻の部屋で一泊するという話で落ち着いた。二階層は動く床で三階層に潜るまでの体力が今の僕たちにはなかったためだ。あと、ニ・三回魔法を使ったルマへの配慮である。こんな硬い床で寝れるかどうかは不安だが、まあ妥協しよう。


「はい。創作者。ごはん。」


 渡されたのは硬いパン。それと木の器に入っているシチュー。ほのかに甘い香りが漂っている。即席料理にしてはとてもおいしそうだ。


「いただきます。」

「おう。」


 硬いと思っていたパンは意外とカリッカリで、噛み応え抜群だった。そしてシチュー。これが最高だ。ゴロゴロと皮もついたままの野菜が、疲れ切った体に染み渡るように広がっていく。のろまで陰キャな僕が食レポをするぐらいには衝撃的な組み合わせだった。


 こうして何日目かは覚えてないが、異世界転移生活はまた眠る。明日は三階層に行くのか、はたまた引き返して宝探しをするのか。僕は楽しみである。

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