9 ゴブリンは、仲間を呼んだ!
皆様どうも、義仲 昴です。
現在俺とナイアは森の奥深くでゴブリンに囲まれています。それも10匹や20匹ではなく数えるのも億劫になる様な大群にです。
「ちょっとなんでこんなことになってんのよ昴!!」
「お前が俺にそれを言うか!!」
『ふふっ、随分と大人数に囲まれんしたねぇ~、愉快愉快♪』
「何楽しんでんだよ妖刀のくせに!!」
どうしてこんなことに・・・
それは約3時間前へと遡る。
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~3時間前~
「おう来たか」
ギルドに入るなりガンテツが居た。どうやら俺らを待ってたようだ。
俺らを連れてギルド長室へと入っていき今日の目的である依頼内容の確認を行うこととなった。
「アイツ等の受けるはずだった今回のクエストの内容を説明させてもらう。クエストの内容は『森林奥地のゴブリンの村偵察任務』だ。」
ゴブリンとはゲーム等で見かける緑の肌で背の小さな、いい言い方なら小人、悪い言い方ならけだものである。
体長は成体で約1メートル前後だそうだ。
「内容としては大分簡単だな。様子見だけでいいんだろ?」
「確かに偵察任務だからな、内容としては簡単だが昨日も言ったが場所が問題なんだ。」
「場所は?」
「あんたは先日冒険者になったばかりだから知らないだろうが、スエイズの西に広がる『雷帝の森』が偵察場所なんだ。」
「それって例の幻獣の住んでるっていう?」
「なんだ、知ってたんですかい。」
「いや、城の図書室で調べてる時に司書のヘイストスからちょっとな。」
「成程、あの方なら知っていますね、でですが、その雷帝の森の奥深くにゴブリンが大規模な巣を作っているという話が観測者から出ましてな。」
「その話、信用できるのか?」
「勇者の方は皆さんそう言われます。この国に限らず観測者の職は自分ではなれず国からの勅命で要請されるんです、その条件は『スキルに未来視、もしくは予知能力があること』だそうでしてな」
「つまり情報源はスキルか、実際どうなんだ?この手の依頼は結構あるのか?」
「観測者の能力によりますがほぼ当たりますね、勅命を受けるということはそれだけ力の強いスキルですので信用度で言えばかなり高いです。」
国もそれだけ諜報には力を入れてるってことか、国王暗殺とかもあり得るから当然といえば当然だ。
「で、本題なんですがその観測者からの情報だと雷帝の森の奥深くに大規模なゴブリンの集落があるそうでして。ゴブリンは人を襲いますので早々に退治したいが規模がわからないので偵察をとのことでして。」
「偵察だからバレるわけにもいかないから少人数でランクの高い奴等に行かせるわけか」
「そうです。最低Aランクから受けていただいてますが、現在このスエイズにはSランク以上の冒険者はいないのであの二人に出向いてもらった訳だったんですが・・・」
先日ボコボコにしましたすいません反省してません。
「出発予定だった日付はいつだ?」
「一応今日からでしたが、いろいろ準備もあるでしょうからまた後日にと。」
「いや今から行こう、行くぞナイア。」
「私も行くの?、行きたくな~い (> <) 」
「うっせぇ奴隷!、ごねてないで行くぞ!!」
ナイアは行きたくないとか言ってるがこれは多分演技だろう。
自身の身分を偽りまくりの嘘だらけ冒険者だから素性がばれるのはまずい、まぁどうせ魔法で妨害してるから気にしなくても良さそうだが。
「い、いいんですか?、準備もなしに森に行くなんて無謀だ、それに昨日冒険者になったばかりだろう!?」
「その俺らに依頼押し付けたのはあんただ。まぁ気にするな、ナイアがいれば問題ない、な?」
「な?、じゃないわよ!、準備するあたしにもう少し気遣いとかないわけ?」
「やってくれるな?、ど・れ・い?」
「う、ウィッス」
ひとまずナイアには食料の買出しに行かせた。
あとは移動手段とかだがやはり馬だろうか?
「移動手段は馬か?、それとも徒歩か?」
「現地までは荷馬車を出します、ですが雷帝の森には馬は入れませんのでそこから徒歩になります。」
「森に馬が入れない?、そりゃ何でだ?」
「一応幻獣の縄張りですし、魔獣も出ますので通常の動物では入れないんですよ、適応した物だけしか生息してません。」
縄張りには勝手に入れないのか、成程、それで魔物だらけになっていると・・・
「荷馬車の準備をしますんで下で待ってもらえますか、すぐ準備出来ますんで。」
「わかった、現地まで頼む。」
移動用の足の話をしてから1階に降りてきたら冒険者の視線を集めてしまった、ギルド長と話をする奴等はあまりいないのかも知れない。
視線を気にしつつ部屋すみにあるテーブル席へと座り飲み物を適当に頼んでおく。
しばらくするとギルドの外の話し声みたいなものが聞こえてくる。
「よう嬢ちゃん、俺ら紅蓮の狩人の奴らと一緒に遊ばない?」
「えぇ~、どうしよっかなぁ」
「いいじゃんか、俺たちと一緒に楽しく遊ぼうぜ?へっへっへ」
複数人の男の声と小さな女の子の声、というよりナイアの声だ。
あいつ買出し行ったんじゃねぇのかよ・・・
「いいじゃん、夜まで一緒に遊ぼうよ。まぁ夜になっても帰れないかもしれないけどさ」
「ん~、それは勘弁してもらおうかな」
「そういわずにs『ズドォォォォオオオン!!』・・・え?」
「私しつこい人嫌いなの、だから全員おとなしくしてね?、『重力潰し(グラビティプレス)』」
そう聞こえるが早いか外から『ズズゥゥゥゥゥウウン!!』と地響きがした後から何食わぬ顔でギルドにナイアが帰ってきた。
むしろとてもいい笑顔で帰ってきた、お前なにしたんだよ・・・
「昴ただいま~、臨時収入だよ!、金貨18枚分の食料買ってきたのに道で金貨30枚拾ったの!、金貨12枚も増えちゃった♪」
「・・・拾ったのか?」
「そうよ?、『道に倒れてた』から拾ってきたのよ?」
凄い笑顔で言ってるけど眼が笑ってない、これは完全にヤってますわ、うん。
ガンテツが戻ってきて「荷馬車の準備が整ったから表に回しておいたぞ」と言ったので目的地に向かうことにした。
ギルド前の道に5人の屈強な男達が埋まってたが気にしないことにした。
森までは大体30分くらいで到着した。
「お疲れさん、夕方ぐらいにまた来るよ。」
「来ても俺らにはわからないぞ?」
「ギルドの旦那からは照明弾もらったから大丈夫さ、打ち上げればわかるだろ?」
御者の少年はそういいながらスエイズに向かって馬車を進めた。
「さて仕事と行きますか、地図も借りてるからある程度場所はわかるな。」
「私は魔法で探知すればいいから場所わかってるけどね?」
「じゃあその場所を見に行くか、案内してくれ。」
「はいよ、にしてもさ、猫かぶるのも大変で疲れたわ」
「お前それで猫かぶってるつもりだったのか?、人を陥れる本性丸出しじゃねぇかよ。」
森を進みながら周りの様子を観察するが特に変わったことはない。
「ここ本当に雷帝の森なのか?、そのへんの森と変わらないんだが?」
「昴には見えてないかもしれないけどこの森の魔素量すごいわよ?、森の奥から凄い流れ出してるもの。」
「そんなもんかね、俺には結構居心地いいんだがなぁ。」
などと適当な会話をしていると不意に視線を感じた。
その方向を見ると黒い毛並みの馬がこちらを見ていたが、すぐに走り去っていった。
「なんだ今の?」
「野生の馬でしょ?、珍しくもないわよ。」
そう言いながらナイアは笑っている。何かが引っかかるが解らなかった。
何か解らなかったのか考えているとナイアが止まった。
「どうした?」
「シッ、あれあれ。」
指差す方向にはゴブリンの集落があった、大きさは大したことないように感じられる。
だがゴブリンは繁殖力が強い種族であり数の問題なんて些細な事である、放置すれば瞬く間に数が増えることだろう。
「どうする?、一気にヤっちゃう?」
「そうだな、形が残るように頼む」
魔物討伐の証明には各部位が必要になる、ゴブリンやオーガは耳である。
逆にいくら倒しても証明部位を持っていないと報酬は貰えないことになっている。
「んじゃとりあえず、『雷の連鎖』」
ナイアの指先に魔力が溜まり電気の玉が出来た。ゴブリンの集落へと投げると電気の玉はゆっくりとした軌道で集落近くに落ちていく。
そして近くに居たゴブリンが気がついた。
「??、グギャギャ?」
言葉の様なものを発しながらゴブリンが玉に手を伸ばすと『バチィ!!』という音と共にゴブリンへ電流が流れた。
そしてその電流は近くに居たゴブリン達へと連鎖して広がっていき集落には立っている者はいなくなっていた。
「随分派手にやったな。」
「何言ってんのよ、これでも威力抑えたんだからね?、さぁ耳刈りよ!」
そう言いながら小さいナイフを取り出したナイアだったが集落の端から新たなゴブリンが出現した。
状況に気がついたゴブリンが葉っぱで出来た小さな筒の様なものを口に持っていき
「ピィィィィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!」
という甲高い音を出したかと思うと周囲から『ゲギャギャ!!、グギャ!』とゴブリン共の声が聞こえてくる。
失敗した、どうやら集落は一つではなく複数あったようだ。しかも集まってくるゴブリンの数か尋常ではない。
ざっと見ただけでも100匹、いや200匹はいるであろう大群である。
「あ、ありゃ?、これ私達かなりやばい状況じゃない?」
「最悪だ・・・」
そして冒頭へと戻る・・・・
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「おいこれどうすんだ、もう逃げられるような状況じゃねぇぞ!」
「もう一回『雷の連鎖』撃てば一網打尽よ!」
「待て待て!、それ俺らも巻き添え食うんじゃねぇだろうなぁ!?」
「・・・・・・・・。」
「なんか言えぇぇぇぇええええ!!!」
そしてゴブリンの大群が襲ってきた。
「ちぃっ!、仕方ねぇから各個撃破だ!」
「仕方ないわねぇ!、『雷撃』!!」
各個撃破といっても数が多いのでかなり劣勢だ。ナイアが大規模攻撃をしようとすると巻き添えを食らう、だが威力が小さいと倒しきれない。
俺は俺で腕は2本しかないので迎撃も追いつかなくなりそうだ。
『のう主殿よ、妾は使わんのかえ?』
「見りゃわかんだろ、そんな暇ねぇんだよ!」
『じゃあゴブリンの一体を妾にくりゃれ?、突き刺すだけで構わぬぞい?』
「そうかよ!」
そう言いながら妖刀を目についたゴブリンに突き刺してやった。
するとゴブリンは刺さった妖刀を抜こうとするのだが、掴んだ手に妖刀が寄生した。
瞬く間にゴブリンは寄生されて行き寄生が頭まで到達すると妖刀を引き抜いて、凄い笑顔のようなものをこちらに向けて仲間であった他のゴブリンを斬り始めた。
ゴブリンをくれってそういうことかよ。
だが3人で迎撃出来たおかげで大分楽になった、寧ろ妖刀のおかげでゴブリン同士が混乱している。
今のうちにどんどんやってしまうことにした。
10分後・・・・・
そこには大量のゴブリンの死体が転がっていた。
あるゴブリンは黒焦げ、あるゴブリンは真っ二つに、あるゴブリンは撲殺されていた。
そしてその中央で座り込む俺とナイア、そして一人妖刀を持つゴブリンだけが立っていた。
「はぁ・・・はぁ・・・マジやべぇ、偵察だけにしとくんだったぜ。」
「な、なんで私まで・・・こんな目に・・・一応邪神なんですけど?」
「ゲギャギャギャギャギャ、ヒサビサニタノシカッタワイ」
ゴブリンがしれっと仲間みたいになってる・・・・
「ソレジャ、コノカラダハヨウズミダェ」
そう言いながら妖刀を地面へ突き刺し、その刺した妖刀に首を滑らせてゴブリンは絶命した。
おかげで生首が転がってきた、マジ勘弁。
しかもあの妖刀、周りから血を吸い上げてるよ。かなりおぞましい光景だがそれで妖刀の力に還元されるのだからいいのだろう。
「でもまぁこれで一応依頼達成だな、はぁ疲れた~」
「しっかり耳刈りして行くわよ、これ何体いるのかしら?・・・」
『フフッ、お主らといると退屈しないわいな。愉快じゃ、それと主殿気がついておるかの?』
「・・・嗚呼、一応気がついてるよ。ずっと気になってた。」
ゴブリンとやりあってる時、途中から誰かの視線を感じていた。
それもまるで値踏みするかのような視線をだ。
「はぁ・・・こりゃゴブリンだけじゃなさそうだな、ナイア!、早めに済ませろ!」
「私だって気がついてるんですけど?、フヒヒヒ、耳いっぱい。」
「ナイア気持ち悪いぞ。」
そして耳刈りを終えて撤退準備を始めるが、その視線は俺達の後をつけてきた。




