↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
4/18

第1巻 第4話 金色の瞳を持つ者

第1巻


静かな月の下にいる生き物


第4話「金色の瞳を持つ者」


森の静寂は、ますます深まっていった。


レンは木々の間をゆっくりと進んでいた。小さな足音が、周囲の静けさの中で不思議なほど大きく響いているように感じられた。


あの青く光る石の光景が、まだ頭から離れなかった。


巨大な都市……見知らぬ場所……。


最も奇妙だったのは、これまで一度も見たことがないはずなのに、どこか懐かしさを感じたことだった。


レンは小さく首を振った。


「まずは、自分がどこにいるのかを確かめないと。それに、この身体はいったい……」


そのとき——


パキッ。


木々の向こうから、かすかな音が聞こえた。


レンはすぐに足を止めた。青い瞳が、不安げに暗闇へと向けられる。


最初は何も見えなかった。


しかし、次の瞬間——


生い茂る木々の影の中に、二つの金色の瞳が浮かび上がった。


冷たい風が森を吹き抜ける中、その人物はゆっくりと茂みから姿を現し、月明かりの下へと歩み出た。


一見すると、彼は落ち着いた雰囲気を持つ、整った顔立ちの若い人間のように見えた。やや長い淡い色の髪が、青白い月光の下で風に揺れている。深い金色の瞳は神秘的な輝きを放ち、わずかに尖った耳が、彼を普通の人間とは異なる存在に見せていた。


腰には、細身の美しい刀が一本、鞘に収められていた。


月明かりの下に姿を現すと、彼は前置きもなく静かな声で告げた。


「アークライト……」


レンの心臓が、一瞬止まったように感じられた。


彼は思わず一歩後ずさった。


「き、君は……誰なんだ? どうして……どうして僕の名前を知っているんだ?」


金色の瞳を持つ人物は、その場から動かず、ただ静かにレンを見つめていた。


彼は自分の名前を明かさなかった。


代わりに、落ち着いた真剣な声で答えた。


「その名は、この世界にとって未知のものではないからだ」


レンの困惑は、次第に苛立ちへと変わっていった。


「僕にとっては未知のことだらけだよ! こんな奇妙な身体で目を覚まして、自分がどこにいるのかも、この世界が何なのかも分からないんだ!」


謎めいた人物は、相変わらず落ち着いていた。


やがて、彼は尋ねた。


「それなら、あの力はどうだ? あの生き物をお前から遠ざけた力のことだ」


レンは目を見開いた。


「ちょ、ちょっと待って……どうしてそれを知っているんだ? あのとき、君もそこにいたのか!?」


その人物は、はっきりとした答えを返さなかった。ただ、わずかに首を傾けただけだった。


「ならば、お前は『エコー』についても知らないのだな」


レンは、その聞き慣れない言葉に意識を向けた。


「エコー……?」


「エコーって、いったい何なんだ?」


彼は落ち着いた口調で説明した。


「この世界に生きるすべての存在は、それぞれ固有の力を持っている。その力は『エコー』と呼ばれている」


レンは信じられないといった様子で彼を見つめた。


「じゃあ……僕にもエコーがあるの?」


「ああ」


「それじゃあ、あの青い光は……僕の身体の周りに感じた、あの不思議な光は?」


「お前のエコーが反応しているんだ」


レンの目がわずかに見開かれた。


「でも、僕はわざと何かをしたわけじゃない」


金色の瞳を持つ人物は、さらに真剣な眼差しでレンを見つめた。


「だからこそ、異常なんだ」


レンが次の質問を口にするよりも早く——


ドォンッ!


森の別の場所から、地面を震わせるような重い衝撃音が響き渡った。


何か巨大なものが近づいてきていた。


次の瞬間、恐ろしい二足歩行の狼のような捕食者が、暗闇の中から姿を現した。


燃えるような赤い目が、まっすぐにレンを捉える。


レンは恐怖で身体を硬直させた。


慌てて逃げようと振り返ったが、まだ慣れていない小さな足が思うように動かず、地面に激しく転んでしまった。


怪物は身を低くすると、レンに向かって突進してきた。


迫り来る怪物を前に、レンの脳裏に絶望的な考えがよぎった。


『僕は前の世界で死んだ……そして今、この新しい世界にいる。それなのに……また死ぬことになるのか?』


狼のような怪物が、今にもレンに襲いかかろうとした、その瞬間——


キィンッ!


鋭い金属音が森に響いた。


瞬く間に、金色の瞳を持つ人物が腰の鞘から刀を抜き放った。


刀身が青い月明かりを受けて輝く。


彼は驚くほどの速さで前へ踏み込み、レンと怪物の間に割って入った。そして、迫り来る怪物の攻撃を刀で受け止めた。


激しい衝突音が木々の間に響き渡る。


怪物が体勢を立て直すよりも早く、謎めいた剣士は身のこなしを変え、素早く刀を振るった。


その一撃が怪物を傷つけ、後方へと押し戻した。


怪物は痛みと怒りに満ちた唸り声を上げた。しかし、剣士の圧倒的な速さと正確な動きの前では、攻撃を続けることができなかった。


怪物は一瞬ためらった後、後ずさりしながら暗闇の中へと逃げ去り、木々の間に姿を消した。


金色の瞳を持つ人物は刀を下ろし、静かに鞘へと戻した。


それから、地面に倒れたままのレンを振り返った。


「大丈夫か?」


レンは震える身体を落ち着かせながら、なんとか起き上がろうとした。


あまりの恐怖に、まだ心臓が激しく鼓動していた。


彼が答えるよりも早く、遠くの森から再び奇妙な音が響いてきた。


謎めいた人物は、すぐに音のした方向へと視線を向けた。


「ここを離れるぞ」


レンは顔を上げた。


「どこへ?」


その人物は振り返り、青い月明かりを映した金色の瞳でレンを見つめた。


「お前自身について、もっと多くの答えを見つけられる場所だ」


レンは一瞬、ためらった。


目の前の人物が何者なのか。なぜ彼がアークライトという名前を知っているのか。そして、エコーとは本当は何なのか。


レンには、まだ何一つ分かっていなかった。


しかし、一つだけ確かなことがあった。


この森で一人きりでいることは、ますます危険になっている。


レンは深く息を吸い、小さな足でゆっくりと立ち上がった。そして、謎めいた人物の後を追い、暗い森の奥へと歩き始めた。


その背中を追いながら、レンの頭の中では、あの名前が何度も響いていた。


アークライト……。


かつてレンは、それをただ自分の名前だと思っていた。


しかし今、彼は気づき始めていた。


その名は、単なる名前ではないのかもしれない。


それは、自分がこの世界にやって来るよりも、はるか昔から始まっていた物語の一部なのかもしれなかった。


つづく……

皆さん、こんにちは!

第4話の展開と細部の描写をより良くするために、一部を書き直しました。この新しいバージョンを楽しんでいただければ幸いです!

もし物語や各話について何か気になる点や改善のアイデアがあれば、ぜひコメントで教えてください。喜んで修正・ブラッシュアップいたします。

読んでいただきありがとうございます。ぜひ感想やフィードバックをお聞かせください!✨

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。