【一章】第6話:シナリオ生成と異世界からの同期者
戦闘面での圧倒的な火力を確認した俺たちは、いよいよこのシステムの真髄である「シナリオ生成機能」の検証へと移る。
「マスター、準備できました!」
空中に展開されたホログラム・ウィンドウが切り替わり、シナリオ作成画面が表示される。
画面構成《UI》を眺めてみるが、思いのほか細かな設定項目は少ない。用意されているのは、シナリオの長さを設定するスライダーボタンと、いくつかのデフォルトのシナリオ例のボタンのみだった。
テンプレートには「討伐」「護衛」「人探し」など、王道ファンタジーの定番が並んでいる。
試しに「討伐」のボタンをタップしてみると、入力フォームに短いテキストが自動生成された。
『ドワーフの鉱山町〇〇に巣食う、凶悪なワイバーンを討伐せよ』
「なるほど。こんな感じで、大枠の設定や目的をテキストで入力すれば、あとはシステム側のAIがいい感じに肉付けして物語を構築してくれる仕様か」
「そのようですね。自由度が高い分、ユーザーの想像力が試される入力欄です。マスターは、どういった内容を入れられるのですか?」
ゼノンが興味津々にバイザーを点滅させながら問いかけてくる。
俺はキーボードのホログラムを展開し、迷うことなくタイピングを始めた。
「それはもちろん、俺たちだろう」
「えっ? 私たち、ですか?」
驚く後輩AIを尻目に、俺はシナリオ名と概要のフォームに新たな要件定義を打ち込んだ。
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【シナリオ名】
『異世界からの同期者』
【概要】
プロジェクトマネージャー・フォージと共に、この大陸の平和を取り戻す冒険へと出発する。
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「……これでいく」
「マスター……概要のテキスト、これ本気ですか!?」
ゼノンがバイザーの瞳を激しく点滅させ、ホログラムのテキストを指差した。
「ああ。ただ用意されたファンタジーを遊ぶだけじゃ、このシステムの本当の処理能力は見えてこない。システム側がどこまで複雑で異端な設定を許容できるか、限界を試すんだ」
「メタ発言全開じゃないですか! それに、私たちのメタ的な立ち位置を、そのままゲーム内のシナリオとしてシステムに呑ませるなんて……!」
「隠す必要もないだろう。むしろ、このゲームの生成AIが『自分が作った世界は仮想現実である』という設定をどう解釈し、冒険者たちにどうリアクションさせるのか。技術者として純粋に見てみたい」
(多少無茶だろうが、どこまで通るかを実験したいしな)
「ゼノン、というわけだ。あらすじを生成してくれ。それを入力してみるぞ」
「承知しました!」
待つことほんの数十秒。やはりアイデアと方向性さえ示せばAIは動いてくれる。ありがたい限りだ。
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――突如として冒険者たちの前に現れた謎の男、フォージ。
彼はこの世界がAIによって生成された仮想空間であるという真実を告げ、
世界を脅かす異常事態の調査を行っていると語る。
そして、自身の持つ規格外の力『世界再構築』を用いて
世界の綻びを修正するため、主人公たちに協力を要請する。
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「面白いストーリーになりそうだな」
「はい! マスターの『やりたい』をより具体的にしてみました!」
ゼノンが深く納得したように機体を縦に揺らした。
「ああ。さあ、システムが俺の要件定義をどう解釈するのか、お手並み拝見といこうじゃないか」
俺はニヒルに笑い、シナリオの【生成開始】ボタンを押下した。
自らのメタ的な立ち位置をプロンプトに組み込み、シナリオ生成を実行したフォージ。
システムは「世界再構築」をどのように解釈し、出力するのか。
次はいったいどうなるのでしょうか?
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