【一章】第5話:実戦投入!
完成した規格外の武器を携え、いよいよ実戦テストへと向かうようです。
カッパー・ルーン・グレイブの威力とは!!!
「そこだ、防御カードで凌げ」
俺の指示に合わせて、盤面上の前衛キャラがエネルギーの楯を展開し、巨大なエネミー(オークの重戦士)の強烈な一撃を弾き返す。
チュートリアルを抜けた先の、少し難易度の高い探索クエスト。
俺とゼノンは盤面の外から、手札のコストを緻密にやり繰りしながら、三人の冒険者パーティを指揮して堅実な攻防を展開していた。
敵の猛攻を凌ぎ、隙を見て斬撃カードを叩き込む。
その壮絶なやり取りの末、ようやく相手のHPを三割ほど削り取った第四ターン。
俺のドローフェイズで、ついに『あのカード』が手札に舞い込んだ。
「……引いたか。ゼノン、コスト3消費。『カッパー・ルーン・グレイブ』を前衛の戦士に装備する」
「はいっ! 対象カードの実体化プロセス、起動します!」
光の粒子が盤面に収束し、前衛の戦士の手に、先ほど合成したばかりの重厚な長槍が握られる。
柄に刻まれたルーンが青白い雷光を放ち、分厚い青銅の刃が圧倒的な熱量を帯びて赤く明滅した。
システムに制御された戦士キャラが、迫り来るオークに向かって、その長槍を無造作に一振りだけ薙ぎ払う。
――閃光。
轟音と共に、雷光と灼熱の嵐が盤面を駆け抜ける。
先ほどまで激しい死闘を繰り広げていた屈強なエネミーは、断末魔を上げる暇すらなく、圧倒的な物理・魔法ダメージの奔流に飲み込まれて瞬時に蒸発した。
「…………」
ぽっかりと空いた空間と、『QUEST CLEAR』の文字を前に、俺はそっと息を吐いた。
「……だよな。あのステータスならそうなる」
俺は思わず苦笑を漏らした。
あれだけ苦労して削り合っていたのが馬鹿らしくなるほどの、まさにワンパン決着。
威力がコスト10相当の約十倍に跳ね上がっているのだから、当然の結果といえば当然だ。
「すごいです、マスター!!」
一方で、隣に浮遊するゼノンは、ホログラムの紙吹雪を盛大にまき散らしながら大はしゃぎしていた。
「一撃ですよ、一撃! あんなにタフだった敵のHPバーが一瞬で消し飛びました! 圧倒的です! これならどんな敵が来ても楽勝ですね!」
キャッキャと機体を弾ませて喜ぶ後輩AIを見ながら、俺は盤面をリセットした。
とりあえず、GMコールを送った甲斐はあるというものだ。この火力が序盤から振り回せるのは、やはりゲームバランス的に大問題だろう。
キャッキャと機体を弾ませて喜ぶ後輩AIを見ながら、俺は盤面をリセットした。
とりあえず、GMコールを送った甲斐はあるというものだ。この火力が序盤から振り回せるのは、ゲームバランス的にどうかとも思うが、俺個人としては久しぶりの無双で楽しいというのが本音だ。本編ではバランス意識して調整していたからなぁ。
「さて、戦闘面での火力実証はこれで十分だ。ゼノン、次の検証に移るぞ」
「はい! 次は何を試されますか?」
「このゲームの、もう一つの目玉機能についてだ」
俺は空中にメインメニューのウィンドウを展開し、一つの項目をタップした。
画面には『クエスト作成』の文字が浮かび上がっている。
「ユーザー自身が要件定義を与えて、クエスト、キャラクター、装備を自由に創造できる機能。これこそが、このシステムの真骨頂のはずだ」
「はい! テキストを入力するだけで、AIが背景画像から敵の構成、シナリオ展開までを一瞬で自動生成してくれる、夢のような機能です!」
ゼノンが誇らしげに解説する。
「……なるほどな。カードの合成であれだけのブレ幅が出たんだ。シナリオというより複雑なロジックを組ませた場合、このシステムがどこまで俺の意図を正確に出力できるか……非常に興味深い」
プロジェクトマネージャーとして、未知の仕様書を前にした時特有の、純粋な探究心が湧き上がってくる。
「ゼノン、シナリオ作成の入力フォームを開け。エンジニアとしての腕の見せ所だ」
実戦テストは想定通りの(?)ワンパン決着。
戦闘の次は、いよいよ物語そのものを構築する「シナリオ生成機能」へと挑むようです。
次はいったいどうなるのでしょうか?
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