【一章】第1話 未知のシステムと次世代カードバトルTRPG
出張先システムへのダイブ完了。
プロジェクトマネージャーフォージは、まずは現地の仕様の確認を行うそうです。
視界を覆っていた光の奔流が晴れると、そこは見知らぬ電脳空間だった。
無数の文字列が滝のように流れる背景。俺は和とサイバーパンクが融合した軽装甲アーマーに身を包み、右手に小太刀、左手にエネルギー状の楯を構えていた。
傍らには、球体型のボディにアンテナを生やした補佐AI、ゼノンが静かに浮遊している。
「それでゼノン? このゲームは改めて、いったいどんなゲームなんだ?」
俺が尋ねると、ゼノンは空中に半透明のプレゼン資料ウィンドウを展開した。
「はい! みんなが作って、みんなが遊ぶ、次世代カードバトルTRPGとのことです。AIがゲームマスターとなり、テキストの物語だけでなく、背景画像、カードのイラスト、キャラクターに至るまで、あらゆる要素が最新の画像生成AIによって自動生成されます」
「なるほど。ビジュアルも含めて、プレイヤーの要件定義を即座に反映するわけか」
「その通りです! バトルは戦略的な同時オープン制を採用しています。最大三十枚のデッキから、毎ターンドローされるカードをコスト上限内で自由に組み合わせ、敵味方同時にオープンして効果を解決する仕組みです」
ゼノンが一生懸命にウィンドウを切り替えながら説明を続ける。
「冒険で入手した素材を使って、キャラクターや装備を進化・強化できる成長要素もしっかりと実装されています。さらに、マスターが創ったユニークなキャラクターやクエストが、マーケットや買い物イベントを通じて、同じ世界の他のプレイヤーの冒険にも自然と登場するそうです!」
「ほう。独立したセッションではなく、自らの構築が世界全体に影響を与える共有型の箱庭でもあると」
「はい。無課金でも毎日遊べるエコシステムが構築されており、広告へのアクセス等でクエストを生成する機能などもあるようです。まさに無限の可能性を秘めたワールドですね!」
ゼノンがボディを上下に揺らして、報告を終えた。
「大体わかった。要するに、与えられた環境を遊ぶだけでなく、自らの手で仕様を追加し、その結果を楽しむシステムだな。エンジニアとしては非常にそそられる環境だ」
俺は小太刀の柄を軽く叩き、眼前に広がる広大なゲーム盤を見据えた。
仕様の概要は掴んだ。ならば次は、この構築の動作テストフェーズだ。
「実際にプレイしてみるぞ」
「承知しました、マスター!」
システムの仕様把握が完了したフォージ。
次はいよいよ、この世界での初陣です。いったいどうなるでしょうか?




