18話 覚醒
「ディセスト <ルア>」
そうリオンが唱えると、リオンのすぐ横に小さな青い光が現れた。気が付くとリオンの目にも青い光が灯っている。そしてさらに詠唱をする。
我命ず 力の霧散せしを
すると青い光がうっすらとリオンを包み込んだ。
「テレスはダブルキャストで攻撃、マークはテレスの護衛、グンマは俺を離れたところから少しでも援護」
リオンが突然テキパキと指示を出し始めたことに一瞬戸惑うが、
「おっけー!」
「わかったよ」
「おう!」
3人でそれに答える。
「でもリオン、あいつに魔法は…」
「分かってる。それでいい」
言いかけてリオンにさえぎられる。
何をするのだろう?あの見慣れない魔法は?疑問は浮かぶが、リオンは「それでいい」と言った。ならばそれを信じるべきだろう。
そしてリオンがまた詠唱をする。
我 理を拒みし者なり
我 囚わるを嫌う者なり
我 望む 地の鎖より解き放たるを
そしてリオンは飛んだ。否、跳んだ。六腕の魔物の後ろに回ったリオンは再び唱えた。
「ディセスト ・ネクト」
そしてリオンを包んでいた青い光とリオンのすぐそばに浮かぶ青い光が消え、代わりに紫の光が現れた。六腕の魔物が魔法に備えようとリオンの方に何も持っていない手を向けようとする。
猛りし炎よ以て総てを焦がし尽くしたまえ
第一階梯、火炎
それをペンダントを使ってダブルキャスト。とっさに六腕の魔物は何も持っていない手2つでそれを受け止める。そして火の玉が返って…来なかった。見ると2つの腕の内側が赤くなっていた。
「あっ!」
なるほど、両手から同時に魔法を受け止めたせいで中で暴発してしまったのだろう。
そしてその隙を見逃すリオンではない。
素早く詠唱をする。
そは元来より死を招くものなり
そは元来より形を喪わせるものなり
その名は毒 その名は腐食
汝 毒となりて蝕むべし
六腕の魔物はそれを吸収しようとするが、フレアの対処に使った上に暴発まで起こした手はすぐにうまく動かない。紙一重の差で詠唱が先に完成する。すると紫の光が一際強い光を発し、六腕の魔物の体内に何にもぶつかっていないかのようにすっと入り込んだ。すぐさまリオンは後ろにバックステップで下がる。
だが六腕の魔物は体勢を立て直すと平然と剣を振りかぶってきた。
「ちょっとリオン!全然効いてないけど!?」
「…もうちょっと…」
反応が遅れて眼前に剣が迫る。素早くバックステップで避けるも剣先が足をかすめる。少しかすめただけで細く赤い線が走る。六腕の魔物はそのまま地面に突き刺さった剣を抜き…
抜かなかった。というより抜けなかった。力がうまく入らないようだった。そしてやがて六腕の魔物が倒れ伏した。
突然のことに戸惑いつつも、そこにマークが大剣を突き立てる。するとじたばたと動いていた六腕の魔物は完全に動かなくなった。
「勝った…んだよね?」
誰にともなく確認する。
「うん」
そう答えるリオンは、もういつもの眠たそうな顔に戻っていた。
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