15話 打開
「ちょっと待て!何するつもり!?」
マークが叫ぶが耳を貸している暇などない。
その形は定まらずしてその役は剣
汝あらゆるものを呑み込むべし
「ちょっ!?炎魔法は全然効かなかったじゃん!」
だが気になどしない。蛇が噛みつかんと飛びかかってくる。
今総てを焦がし貪りつくしたまえ
詠唱が完成すると同時に蛇の牙が腕に刺さろうとする。その寸前、蛇の口に手を突っ込む。
「はあ!?」
横でマークが頓狂な声をあげる。
そのまま細い腕に牙を突き立てようとした蛇の体が爆ぜた。
「なっ…!」
マークが唖然とする。さっきから驚いたり叫んだり忙しいな。
「ど…どういうこと…?」
簡単な話だ。殻は硬い上に得意の炎魔法も通じにくい。ならば殻で防がせなければいい。つまり殻の内側…体内に直接魔法をぶち込んでやればいいのだ。
「痛ったぁ…」
とはいえ流石に無茶であったことは否めない。右腕からは血が流れ出ている。
「…無茶し過ぎだろ…」
トカゲの方に向き直る。と、突然トカゲが逃げ出した。
「逃げてった…ね」
突然逃げ出したのは驚きだったが、とりあえずテントを解凍しなくては。
テントを解凍し、中に入ると倒れている人影が2つ。体にうっすら霜が降りているが、おなかが動いている。とりあえず生きているようでよかった。
「テレス~、2人は大丈夫そう?」
「うん、大丈夫。」
にしても体に霜が降りてなお寝続ける根性はいっそすごいな。
「…寝よっか」
さっきまで戦闘の興奮で感じなかったが、今となっては眠くてたまらない。
朝起きたら目一杯文句を言ってやろう…そう決めて寝袋に潜り込む。真夜中の睡魔の前に意識を失うのにそう時間はかからなかった…
朝起きるとまだみんな寝ていた。もう日が昇っているがマークが寝ているのは昨日の疲れだろう。リオンとグンマは…まぁ平常運転だ。揺すって起こしていく。
「「え!?マジで!?」」
朝ごはんを食べながら昨夜のことを話すと2人は驚いていた。あれだけやっといて全く気づかないなんて逆にすごいな。
「そんなことよりさ…」
「そんなことって…大変だったんだけど?」
「その紅い月ってのが気になるよね…」
無視してリオンが続ける。
「なんだったんだろうね?」
「紅い月…ブラッドムーン…!」
ブラッドムーン?なにそれ?
「ブラッドムーンってのは半分伝説みたいなもんなんだけど、紅い月のことをブラッドムーンって呼ぶの。そして『狂気』『闘争』とかを意味する。」
嫌な予感がして背中がゾワっとする。
「ラグライズの街は…大丈夫なの!?」
思わず叫ぶ。
「…話してなかったけど、ラグライズには僕の姉が住んでる。」
「…!」
「精霊使いでめちゃくちゃ強いから…よほどのことがない限り大丈夫なはず…」
その言葉とは裏腹に、リオンの顔は不安に溢れて見える。
「と…とにかく急ごう!」
食事もそこそこに、ラグライズに向かって走り出した。
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