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キジンとデス・イーターの章21

そらは、いつ見てもいいね

あかきは空を見た。やはり、この空はきれいだ。この時代のこの空を、俺が、俺たち3人が守ったんだ。今回戦ったデスは、微妙だったから守ったと言えるかはよくわからないが、それでも、未来で、未来を守るための役には立ったと思っている。そしてこの飯。報酬ではないけど、戦いの後に食う飯は、こんなにもうまいのか。涙がまた溢れてきた。こんな涙ならいつでも流したい。それに、キジンはまだまだいる。俺はもっと強くなる。強くなって過去も今も未来も守るんだ。俺が、俺たちが守るんだ。

キッピーは、トウモロコシを見て思う。前と全く同じ味なのに、なぜこうもうまいんだ?俺はもし、ここに一人でいたら、俺は宇宙まで聞こえるような、俺は地球の反対側まで聞こえるような、ただひたすらに、ただひたすらにでかい声で泣いていただろう。知らなかった。いや、ただ忘れていた。俺は、がむしゃらだった。がむしゃらに生きていた。それなのに、俺は我を忘れてあかきとまで戦ってしまった。間違えれば、殺していた。俺は過ちを、死に等しい過ちを犯すところだった。それでも、あいつらは、俺を仲間だと言ってくれている。俺は、宿命から逃げる気はない。逃げる気はないが、俺は、宿命すらも克服してやる。自分をコントロールしてやる。そして、未来のデスを1匹残らず・・・、食い殺す。そんときのために、俺はデス・イーターを飼い馴らし、本当のデス・イーターになってやる。

しんごも空を見ていた。デスどもを全滅させるまで、俺はいろいろな時代のこの空を見続けて行くんだろうな。この不変の空に、この空を侮辱するデスどもは何匹いるのだろう?俺にしか探せない。俺にしかできないことがある。あかきじゃない。ましてはキックでもない。この俺にしかできない。自然と力がこもる拳に気が付き、空から拳に目を移す。それまでは死ねない。それからも死ねない。絶対に死ねない。デスどもを地球からいなくなった後の世界を俺はみんなと生きたい。いや、生きるんだ。

未来に行った、総長と言われていたデスが、アッシュと出会った。アッシュが作った宇宙船収納庫に、1つ目の初の宇宙船が収納された。アッシュは複雑な思いだったし、その宇宙船に仲間であるデスが乗っていたのだから、アッシュはますます困惑するとともに、一つの思いが強まったのも感じた。

「あなたが、アッシュですか?」

人間も当然いたし、人間たちは自分たちを見た瞬間に臨戦態勢に入っていたがアッシュのことの方が気になった。アッシュは、仲間のデスたちとはどこか違っていて、どちらかというとキッピーと呼ばれる人間、そう、人間に雰囲気が似てきていた。仲間の形なのに妙な違和感がある。

「まさか、仲間が乗っているとは思わなかったよ。キックによく、食い殺されなかったね」

「そういう君こそ、よく生きているじゃないですか。人間に利用されているのですか?」

アッシュはかぶりを振った。自らの意思だというし、ほかの人間はどう思っているかはわからないが、キックとは友達だと言っている。・・・人間とお友達?そんなことがあり得るのか?

「それで、君たちはなぜここに来たの?まさか、キックを殺したの?」

アッシュから、確かな怒りを感じた。総長どころか、ほかの過去から来たデスたちも、その怒りには単純に恐怖した。怒る姿がそのままデス・イーターと被って見えたからだ。

「こ・・・殺すはずがないです。逆に殺されてしまいそうなところを助けてもらったのですから」

アッシュの怒りが、思い出されるように、消えていった。納得しているようだ。アッシュもあったことはないが、あかきは未来でも有名なよう。いろいろと聞きたかったが、今はそれより、ワレワレの対処のほうが気になる。死刑なのか?だったらあの時キッピーに殺されても同じじゃないか?そこんとこどうなの?

「あなた方は、人間とは一緒にいられない。当然だし、分るよね?だから、僕と一緒に、この時代にいるデスたちと戦う道具を作ってもらうから。それが嫌なら、キックのご飯になってもらうよ」

ワレワレに拒否権はないらしい。拒んで戦ってもいいのだが、どうせ戦うのなら、人間と協力しても同じだ。今さら人間と戦うのなら、わざわざ過去に行ってまであんなことはしていない。ワレワレは、アッシュに同意した。そこで、アッシュにひとつだけ注意されたことがある。

「一応、僕もここの人間に囚われている身なので、変なことをしないように常に見張られているんだ。その見張り員の一人を紹介するよ」

アッシュが頭を動かすと、アッシュの陰にぴったりと隠れていた1人の男が姿を現した。名前はつばさ。ボロボロの服を着て無愛想だが、人間からすると二枚目らしい。無愛想なのは眠たいからだそうだ。キッピーの仲間だから、アッシュとは何とか仲良くやっているようで、ワレワレにはまだ(当たり前だが)警戒心を解いていない。両肩からマシンガンのような武器をぶら下げている。この人間は怖いな。

「わかりました。それで、ワレワレは何をすればいいんですか?」

さあ、未来も少しは動き出したようだ。反撃に向けて。少しずつだが。


現代に戻ってきた3人。しんごはすぐに2人を離れた。これからこの時代の国会図書館に行くらしい。過去の記述などを見て、早速怪しいデスっぽい事柄を探すらしい。キッピーもすぐに未来に帰った。この時代に来たのはあかきを送るためだけ。「また来るからな」と言い残し消えた。時間は、あかきが友達と別れてすぐだ。もしかしたら、まだどこかにいるかもしれない。友達が行きそうな場所に行ってみると、いた。簡単に見つかった。俺は、久々に友達に会った。時間にすれば、数分の話だが俺には何時間も経っていた。目をつむり、息を思いっきり吸い込んだ。そう。そうだ。そうなんだ。そうだったんだ。


読んでくれてありがとう。次もよろしく!!

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