キジンとデス・イーターの章19
決着!!
そこに、あまりにも放っておかれ過ぎたデスたちが、今まで隠れていた部屋の隅っこから出てきて声をかけてきた。しんごが、「忘れてた」と、ボソッと漏らしたのが、はっきりと聞こえた。忘れるなよ。ここどこだよ?宇宙船だろ。と言いたかったがやめた。デスたちが何やら話したがっているからやめてやった。
「ワレワレはどういたしましょうか?」
「そうだな」
「あかき・・・責任もってどうするのか決めろよ。俺が決めてることは食うこと以外にないからな」
しんごは状況の意味が分かっていないので、「なになに。どうなってんだ?」と完全に部外者のように振る舞っているのでとりあえず、無視することにした。
「そ・う・だ・な・・・取り敢えず、アッシュて人に会わせてみたらいいんじゃない?」
「そう言うと思ってたわ」
キッピーはため息混じりに吐き捨てた。
デスたちとはもう少しだけ話をしてみた。キッピーとしんごはもう終わったんだからさっさと帰って休みたかったが、あかきにはいろいろ聞きたいことがあった。
「あの、チュカカブラたちはなんなのさ?」
「あれは、地球上の生き物を遺伝子操作して大きくしたものです。確か、ノミという生き物です。あいつらにはワレワレも全滅しかけられたので、倒していただけてすごく助かりましたよ」
「いやーそうかい。でも、あれは俺たちを待ち受けるために用意していたの?」
そうじゃないとデスは答えた。デスたちの趣味みたいなものらしく、それでデスたちも地上に放ち、観察していたらしい。遺伝子操作した生き物はもって4日ほどとしか生きないらしい。
「や・・・やたらに大きな宇宙人と戦ったことがあるんだけど、あいつらはなんなの?一応仲間でしょ?」
その質問には、デスたちもざわついた。デスたちがあかきたちを慌てた様子で見てくる。
「あいつらと、戦ったことがあるのですか?あいつらは、特殊です。昔、ワレワレの星でもいろいろありまして、その中で生まれた特別変異です(本当は人為的に生み出されたデスだが、このデスたちはそんなことは知らなかった)。やつらは、ワレワレなどとは比べ物にならないほどに野心、侵略心、凶暴性、エゴを兼ね備えています。しかし、そんな奴と、あなた方はどこで出会ったというのですか?」
キッピーは早くしろよ。と言いたげにそっぽを向きながらもプレッシャーをかけてきている。しんごは、聞き入っていた。あかきは、デスの質問に答える。
「どこでって?過去でだよ」
なぜか少しだけカッコつけて言った。少しだけな。誰にも気づかれないぐらい少しだけなのに、キッピーが大袈裟にため息をつき、あかきの顔は赤くなった。
「じゃ・・・じゃあ、帰ろうか」
「おお」
「おお。・・・て、あーーーー、ちょ、ちょっと待ってくれ2人とも」
「なんだ?」
「忘れてることがあった」
とにかく、3人はこの宇宙船から降りて、未来に送った。送ったところで、今の地球は何も変わらなかった。地球というか、人々の意識は。3人が成したこと、それが誰に伝わらずとも、3人が再び地球を救ったという事実は残る。誰にも伝わらずとも、真実は残る。誰も英雄になりたいなんて思っちゃいないし、ただ、未来を奪い返したいだけだ。でも・・・。
3人はまだ1980年代のアメリカにいた。というか、あのトウモロコシ畑にいた。2人がしんごを見た。しんごは、口ごねる。ますます胡乱気になる。その答えに答えたのは、しんごではなかった。このトウモロコシ畑の主だ。主は、なんだかうれしそうにしんごの肩に手を回す。
「よく戻ってきたな、坊主。じゃあ、続きをよろしくな」
「はいはい」
あかきとキッピーがしんごを見るも、しんごは背中で2人を見ていた。じっとりと、その背中から汗が噴き出てくるも、止める術は知らない。
「忘れてたことってこれかよ」
キックがため息をつく。しかし、これをやらされているのはキックの提案のせいだということを忘れずに。「やれやれだぜ」
あかきは、ニヤッと笑い、2人の手を引いた。その笑顔は、まったくやりたくもないことだが、なぜかやる気が出てくる。不思議な奴だよ、あかきは。
「さっさとやって、心置きなく帰ろうぜ」
「でも、なんで俺までやらなきゃならねーんだよ」と言ったキッピーにあかきとしんごが同時に叫んだ。
「だから、キッピー(キック)の案 (せい)だろうが!!!」
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